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『99人の壁』歴代チャンピオンが登場!「路線図」のグランドスラム獲得者が一部始終を振り返る

『99人の壁』歴代チャンピオンが登場!「路線図」のグランドスラム獲得者が一部始終を振り返る

フジテレビ公式twitter(@fujitv)より

8月3日放送『99人の壁』は「歴代チャンピオン vs 99人の壁~真夏の100万円争奪SP~」。グランドスラム獲得者4名と壁100人がそれぞれチームとなり、勝ったほうが100万円山分けという特別ルールで行われた。その歴代チャンピオンチームに……筆者も「路線図」で加わっていました。今回は収録時のレポートをお届けします。

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実は「シークレット」だった歴代チャンピオン登場

実はこのチャンピオン企画、収録日(7月13日)までシークレットで進んでいました。壁側が企画を知ったのは収録当日のこと(当日は2時間SPとの2本撮り)。誰がチャンピオンとして登場するかも内緒で、収録中に登場して初めて知るようになっていました。恐らく事前に対策を立てられないよう配慮されたんだと思います。
そして、当日までいろいろ知らなかったのはチャンピオン側も同じ。出演オファーは収録の1週間前で、どんなルールなのか、自分以外に誰が来るのかも知らない状態。とりあえず自分のジャンルを大急ぎで対策するしかありません。

収録当日。壁の皆さんより一足早い、朝9時30分に湾岸スタジオ集合。ここでようやく他のチャンピオンと遭遇します。「超難読漢字」の山中さん福田くんペア、「水族館」の福迫さんの他に、見覚えのないもう1人……。この時まだオンエア前だった「伝統野菜」の湊くん(7月20日放送でグランドスラム達成)。最年少記録が破られたことを、福田くんはこのとき初めて知ったそう。

案内された控え室は、壁の皆さんと別の部屋。ここでようやく今日のルールを知ります。チーム対抗戦であること。1人ずつセンターで挑戦すること。誰か1人でもファイナル突破したら全員で100万円山分けなこと……。「ということは、もし全員1問目で負けたら……?」「結果を残さないと番組が成立しないのでは……?」「負担がすごくない?」と震えるチャンピオンたち。ほぼ初対面にも関わらず、「どうしよう」を中心にひとつにまとまる一同。ピンチが距離を縮めます。

壁のみなさんが集合しはじめたあたりで、こちらはリハーサル。筆者が『99人の壁』収録に立ち会うのは約1年ぶり。しかも昨年8月の特番「夏の大花火」でのグランドスラム達成だったので、レギュラー回のダークな雰囲気に興奮……も束の間、全員でジャンル札を見渡して「あの列はヤバい」など一層不安をかき立てられ、再び控え室へ。

そこから収録まで約1時間待ち。それぞれ自分のジャンルを振り返ったり、意味もなく全員でストレッチしたり、緊張のピークに達した山中さんが「アルプス一万尺できる人いませんか…!?」と突然言い出すので一緒にアルプス一万尺をやったりするうちに、いざ本番です。

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「路線図」挑戦の一部始終とあの涙の裏側

収録がはじまり、リハの通り扉から登場します。登場時のポーズは、かつて「キツネ」で挑戦した山中さん考案のもの。入場後、さっそく佐藤二朗さんは山中さんに「お前がみんなにやらせたのか」とツッコんでいました。

いよいよ対決がはじまります。湊くんが勝ち上がり、福迫さんが破れ、1勝1敗。オンエアではこのあと「超難読漢字」でしたが、実際は「路線図」「超難読漢字」の順で収録していたんです。MCの佐藤二朗さんとのトークもちゃんとあり、「100万円の使い道」「周りのリアクション」など受け答えをしていました(自著の『たのしい路線』の宣伝もしたのですがバッサリとカット)

ステージ正面の壁には、ダーリンハニー吉川さん、鉄道アイドル木村裕子さん、そして栗原叶くんといった“鉄道壁”の皆さんが陣取っています。叶くんは「タイの路線図ならわかる」と言いだして二朗さんを困らせる一幕も(ちなみに僕は特番時代のグランドスラム獲得なので、生で栗原叶くんを観るのは初めて。テレビで見た人だ……!と興奮してました)

1問目は「穴埋めサドンデス」。日本の地下鉄路線図から都市を答える問題で、特番時代にQAR行きになった「仙台」をようやくちゃんと回答。2問目は「線つなぎサドンデス」。東京メトロのラインカラーを答えるものでしたが、これはブロッカー(アイドルの小池美由さんでしたね)の誤答でクリア。

3問目は「ワンミニットクイズ」。世界各国の路線図を見て、全ての都市名を答えるもの。6つの路線図がモニタに表示されます。ロンドン、パリ、モスクワ、ソウル、メキシコシティまではすぐにわかったものの……最後の1つが出ない。

二朗さんに「近くで見ていいよ」と言われ、モニタのそばによると、3本の路線と真ん中を貫く川の姿が。「カイロ!」とピンときました。出題に使われた路線図は公式のものではないので、時間がかかってしまったんです。カイロ地下鉄の公式路線図は、背景が砂漠の砂を思わせるブラウン。3色の路線がはっきり見え、ピラミッドのイラストも入っています。何はともあれ、3問目を突破。4問目以降は早押しで99人と対することになるので、ここが正念場。出題は「ビジュアル早押しクイズ」。路線図から都市名を答えるもの。モニタに映ったのは「?」のような形の路線図。即座にボタンを押しました。広島のアストラムライン。形が特徴的で好きな路線図のひとつです。運良く壁に押し勝って、ファイナルステージ進出……!

あーよかったと席に戻ります。最後の挑戦は「超難読漢字」の山中・福田ペア。どちらもクイズの猛者で、番組側もトリにしているし、今回の本命だなぁと思ってこちらはすっかり安心していたんです。2人とも順調に正解を重ね、運命の4問目。途中でビジュアルが出る早押し問題で、ビジュアルが出る前に福田くんが押しました(あとで聞いたら「ビジュアルが出る前に押す」のは決めていたそう)。しかし結果は無情にも……不正解。

問題が読み直され、漢字を見て「宮沢賢治だ……!」と崩れ落ちる福田くん。「宮沢賢治って知ってたの、ちゃんと放送で使おうな」とスタッフに確認する佐藤二朗さん。4人全員の挑戦が終わって、一旦収録が止まります。佐藤二朗さんは落ち込む福田くんに歩み寄り「大丈夫だから。な?」と肩を叩き、東の壁の富永美樹さんも遠くから「かっこよかったよ!」と励まします。緊張の糸が切れたのか、涙を見せてしまう福田くん。ファイナルに残った僕と湊くんは、彼らの分までがんばろうね、と話していました。

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ファイナルステージでまさかの大トリ、そして……

さて、ファイナルステージに進出したのは「伝統野菜」の湊くんと「路線図」の筆者。挑戦順は先ほどの通り。

ちょっと待って、このままだと僕が大トリになってしまうのでは……!? いやでも、湊くんが突破してくれれば僕はやる必要もないし、湊くんめっちゃ強いし……と、弱気になっていると、センターに立った湊くんが「後ろに井上さんがいるので、純粋にクイズを楽しむ気持ちで」とコメント。大トリかも!? と、うろたえている自分が恥ずかしくなりましたね……大人なのに……。

湊くんはファイナル1問目を「ホウキグサの実を完熟/」で「とんぶり」を正解。あまりの無敵ぶりに、これはもう行くだろうという空気のなか、ファイナル2問目を落としてしまいます。ただならぬ緊張感のなかで3問目「『おやじ』という意味の方言から名付けられた/」でジャンル「日本の村」の方がブロックに成功……! 本人曰く、だだちゃ豆が出るかもとヤマをはっていたそうです。

かくして湊くんは惜しくも敗退……。あれ……ということは……このSPの最後の最後、僕がカギを握るの……!?

かつてない重圧です。平たく言うと「やばい」です。チームメイトたちを振り返ると、たぶん自分が最年長。佐藤二朗さんにコメントを求められ「もうやるしかないですね」とセンターへ。

ファイナル1問目。ビジュアル早押しクイズですが「徐々に完成するこの路線の名前は何?」という変化球の問題。徐々に……? 完成する……? と戸惑っているうちに、モニタには路線図が。海際の環状線。この形はディズニーリゾートライン……だけど徐々に増えるのかな……と、一瞬の迷いをブロッカーは待ってくれませんでした。収録では駅が出る前の状態でジャンル「料理の鉄人」の方がブロック。回答は「ディズニーリゾートライン」。ブロック成功です……。

いま思えば、ファイナル1問目だから不正解でも次があったんです。ここは勝負すべきところ。やっぱりディズニーリゾートラインだった……というショックも残ります。その様子を察したのか、チームメイトたちが「井上さん深呼吸!」「リラックス!」と応援してくれます。心強い……。

後がなくなったファイナル2問目は、「この路線図の『?』の部分に入る駅名は何?」というもの。僕は路線図には明るいんですが鉄道にはそこまで詳しくなく、駅名は自信がありません。困ったことになった……と弱気になったところに、モニタに映ったのは古地図! え……と固まったところで、ブロッカーに押されてしまいました。ジャンル「球技のルール」の方の答えは「新橋」。そうか鉄道発祥の地か……!と思い至ってももう遅い。しばしの静寂の後、正解音が鳴り、ブロック成功……!

壁チームの勝利が決定し、大歓声に包まれるスタジオ。金色の紙テープも飛び出し、100万円を100人で山分けする結果に終わりました。カメラが止まったあと、二朗さんの第一声は「いやぁ面白かったねぇ」でした。

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こんなに「ちょうどいい」展開になるなんて

個人的に反省点も多々ありますが、チームで戦うのはとても楽しい経験でした。たった1日のうちの数時間で苦楽をともにして、控え室に戻ってからも別れるのが名残惜しかったです。

振り返ってみれば、歴代チャンピオンチームは4人中2人がファイナルステージ進出し、最後まで勝負の行方がわからない展開。チャンピオンが早々に敗退しては企画が成立しないし、かといってチャンピオン全員が軽々とファイナルを突破するのもそれはそれで興ざめでしょう。チームとして負けたのは悔しいものの、ガチで戦ってここまで「ちょうどいい」展開になるものかと不思議な思いです。数々の奇跡を生んできた、壁の神様の采配でしょうか。

番組の最後では全国オーディションの告知があり、まだまだ『99人の壁』で奇跡を見ることができそうです。自分たち以外にもグランドスラムを獲得された方がたくさんいますし、これからまだまだ現れるでしょう。また忘れたころ「歴代チャンピオン vs 99人の壁」をやってほしい、そしてそのときは自宅のリビングで安心して見たい……! と思うのでした。

【ライタープロフィール】
井上マサキ
路線図マニアでテレビっ子のライター。『99人の壁』でグランドスラム達成(ジャンル「路線図」)。著書に『たのしい路線図』。宮城県出身。二児の父。

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