8月29日にオンラインで開催され、ネットで生配信された『第4回ニュース・博識甲子園』の全国大会。出場した8校のうち、1回戦を勝ち抜いたのは開成高等学校(東京都)、東大寺学園高等学校(奈良県)、名古屋大学教育学部附属高等学校(愛知県)、栄東高校(埼玉県)の4校。ここからさらに準決勝で2校に絞られ、決勝で日本一の高校が決まる……!
【準決勝進出チーム】
どの試合も接戦となった1回戦を突破し見事準決勝へコマを進めたのはこの4チーム!果たして決勝への切符を手にするのは?戦いはますます激しくなります! #ニュース博識甲子園 pic.twitter.com/n2VWsCGBlL— ニュース・博識甲子園【公式】 (@JQS_koshien) August 29, 2021
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準決勝「勝ち抜きボードクイズ」最後まで横一線の熱闘!
準決勝は4チームで戦う「勝ち抜きボードクイズ」。12人全員に対しボードクイズが出題され、それぞれ個人が解答。5問正解した者から勝ち抜けとなり、最終的にチーム全員が勝ち抜けば勝利だ。決勝に進めるのは上位2校。問題数は20問のみ。同点の場合はサドンデスとなる。
チーム対抗戦でありながら、個の強さも求められるこのルール。それぞれが別々の場所からオンラインで参加しているため、チーム内で励まし合うのは難しく、相手チームが次々勝ち抜けても平常心を保てるかが鍵となる。
序盤戦で頭一つ抜けたのは栄東だった。1問目「先月イギリスのオークションで日本円で13億円で落札された、クマの頭のデッサンは誰によって描かれたもの?」では、3人全員が「レオナルド・ダ・ヴィンチ」を正解。その後、「昨年発足した、新型コロナウイルスワクチンを共同購入し、途上国などに分配する国際的な枠組みを指す言葉は?(COVAX)」「自分の頭を外すキャラクター『コントロールベア』でお馴染みの、日本のファッションブランドは?(グラニフ)」では、栄東の國雲くんが単独正解を決める大活躍。
開成も負けてはいない。6問目「道成寺にまつわる安珍・清姫伝説の舞台としても有名な、和歌山県を流れる日本一長い二級河川は何でしょう?」では、他チームが苦戦するなか「日高川」を3人全員が正解。実力者がポイントを重ね、7問目で開成の西頭くんと、栄東の國雲くんが同時に一抜けする。
9問目で名大附属の松本さん、栄東の佐々木くんが勝ち抜け。東大寺学園は出遅れた形になったが、10問目の「レーンモントフ」、11問目の「書肺」で連続3人正解を達成し、松崎くんと八木くんが勝ち抜ける。全チームが順調に勝ち抜ける中、13問目「絵本でお馴染みのキャラクター、バーバパパの体の色は何色?」で開成が2人同時に5ポイントに到達するミラクルで、決勝進出が決定!
この時点で、残り3チームは1人ずつ残っていた。ポイントは東大寺の津田くんが3P、名大附属の佐藤くんが4P、栄東の稲葉くんが3P。名大附属の佐藤くんは6問目まで0Pだったのに、ジワジワとリーチまでやってきた。14問目「立った状態から腕立て伏せのような姿勢になり、再び立つという動作を繰り返す筋力トレーニングをなんという?」では、その佐藤くんだけが「バービー」と答え、MCの日高大介も勝利を確信したが……なんと正解は「バーピー」。勝利はおあずけに。
続く15問目、16問目も全員不正解。17問目「別名をローゼンタール効果ともいう、教師が期待することによって学習者の成績が向上する効果を、古代ギリシャの王の名前を取って何効果という?」では、東大寺の津田くんと栄東の稲葉くんの2人が「ピグマリオン効果」で正解。これで、全員が4ポイントで並んだ……!
ヒリヒリする展開のまま18問目。「陸上の100m走で9秒台の記録を持つ日本人選手は、山縣亮太、サニブラウン・ハキーム、桐生祥秀と誰でしょう」。正解の「小池祐貴」を答えたのは……名大附属の佐藤くんだけ! 優勝したかのようなガッツポーズで喜びを爆発させる佐藤くんに、スタッフルームからも「スゲぇ~!」という声が漏れる。大逆転で名大附属が決勝進出決定!
栄東と東大寺学園はここで敗退。「時事問題をちゃんと共有しておけば……」と悔しがったり、「洲崎綾さんにリモートで会えたのでよかった!」とポジティブに捉えたり、さまざまな顔を見せる高校生たち。1時間近くの激闘、おつかれさまでした……!
【決勝進出は・・・】
大会の歴史に残るといっても過言ではない熱戦を制して見事決勝へ進出したのは開成そして名古屋大学附属!このあといよいよ決勝! #ニュース博識甲子園 pic.twitter.com/ztBqZXOYRB— ニュース・博識甲子園【公式】 (@JQS_koshien) August 29, 2021
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決勝戦「一問一答ラリークイズ」両者とも譲らない幕開け
いよいよ向かえた決勝戦。1次予選ウェブ試験の結果だけ見れば、開成高校1位、名大附属29位と番狂わせが起きたように見える。ただ、2次予選で最高得点をマークしたのは名大附属のほう。ここまで残った2校、どちらも優勝は「ある」。
決勝戦で行われるのは「一問一答ラリークイズ」。各チーム1人ずつ、交互に一問一答問題を出題。1問正解1ポイントで、3ポイント先取すれば「1本」獲得。先に3本を取ったチームが優勝だ。
必ずしもチーム全員がポイントを取る必要はなく、大将が3回正解しても1セット獲得となる。ただ、相手より先に3ポイントを稼ぐには、全員の力を合わせるのが近道。全国大会が始まってからここまで3時間強、なんとか最後まで気力体力も持たせたいところ。
1セット目は開成の大将・西頭くんからスタート。「タレント時代には『クイズの女王』とも呼ばれた、現在参議院議長を務める政治家は?」に「山東昭子」を答え、幸先良く1ポイント獲得。その後、名大附属の大将→開成の副将→名大附属の副将→……と交互に順番が回るが、正解に結びつかない。5問目で開成の先鋒・大谷くんが「ヨギボー」を正解し、開成2ポイント。さらに7問目で再び順番が回ってきた開成の西頭くんが、「ペトルーシュカ」で決める。大将が2問正解する活躍で、まずは開成が1本を取る。
2セット目は名大附属の大将・中島くんから。出題は「新型コロナウイルスのワクチンでも行われる、原液に水や溶媒を加えて濃度を下げることを漢字2文字で何という?」。一見難しく聞こえるが、答はシンプルに「希釈」。中島くんはきちんと抑え、名大附属が決勝初ポイント。このあとしばらく不正解が続き、2週目になり再び中島くんが「パークアンドライド」を正解し2ポイント。1セット目と似たような展開が、今度は名大附属で起きている。
2セット目の最後を決めたのは名大附属の松本さんだった。「ブリオッシュ生地にたっぷりの生クリームを挟んだ、今年日本で中奥を集めているローマの伝統菓子は何でしょう?」に、ニッコリと「マリトッツォ」をコールし正解。名大附属が1本を返す。
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3人連続正解、先鋒の大活躍……シーソーゲームは続く
3セット目は開成の先鋒・大谷くんから。「カナダにある、世界最大の無人島はなんでしょう」に「デヴォン島」を絞り出して正解。開成が1ポイント先制するが、後がなかなか続かない。一方、名大附属は佐藤くんが「山崎玲奈」、中島くんが「蒙古襲来絵詞」、そして松本さんが「チンダル現象」と3人連続正解し、あっという間に名大附属が2本目を獲得。優勝に王手をかける!
あとが無くなった開成。4セット目も先鋒の大谷くんからスタートし、「ブランテージ」で再び先制。だが今度は味方がついてきた。開成の大将・西頭くんに出題されたのは「タイトルの食品がひたすら溶けていくアニメを用いた1時間の予告映像も話題になった、今年5月に発売されたBTSの新曲は何でしょう?」。落ち着いて「Butter」を正解し2ポイント目。誤答が続き「他の人に出された問題は分かるのに……」と引きの弱さを嘆いた西頭くんに、ようやく笑顔が戻る。
順番は一巡し、再び大谷くん。「栃木市の山元総本店が販売する銘菓の名前にもなっている、少年・相川吾一の成長を描いた山本有三の小説は何でしょう?」という出題に、うなづきながら仲間に向けて静かにガッツポーズ。コールした「路傍の石」は見事正解で、開成は2本目を奪取。勝負は最終セットに……!
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最終セットの最後の最後、紙一重の勝負を制したのは……
ここまで消費した問題は29問。1セットあたり7問ほどしか消費しておらず、正解率の高さに両チームの強さがうかがえる。いよいよ勝負は最終セット、ここを取ったチームの優勝だ。
最終5セット目は名大附属の先鋒・佐藤くんから。「赤と緑の瞳を持つフクロウ『オーリー』をマスコットとしてる、世界最大級の旅行口コミサイトは何でしょう?」に、考えこむが答えが出てこない。正解の「トリップアドバイザー」に「あぁ……」と目をこする。
続く開成の大将・西頭くんが「鳩山一郎」で正解すると、名大附属の大将・中島くんが「くすぐり」でポイントを返す。続いて開成の副将・多田くんが「競馬で、シーズン最多勝を挙げた騎手のことを英語でなんという?」に「リーディングジョッキー」で正解し、開成が2ポイントで優勝にリーチ。
追い詰められた名大附属だが、ポイントは取っておきたい。次は先鋒の松本さん。「先月、『北海道・北東北の城門遺跡群』として世界遺産に登録された、復元された大型掘立柱建物が有名な青森市の遺跡は何でしょう?」に、か細い声でコールした「三内丸山遺跡」は正解! 決勝戦の最後の最後、2本2ポイントで両チームが並ぶ大激戦……!
プレッシャーのかかる場面で順番が回ってきたのは、ここまで活躍してきた開成の先鋒・大谷くん。ただ祈るしかない名大附属の3人。出題は35問目「スーパーで売られている刺身の下に敷かれている、いわゆる『ドリップ式吸水シート』の商品名は何でしょう?」。このとき大谷くんは「刺身の下」で確信したという。静かに微笑み、左の拳を握った。ラストコールは「ドラキュラマット」。この瞬間、開成高校の初優勝が決定!
「絶対答えてくれると確信していた」(西頭くん)、「最後は2人に助けられた。優勝できてよかった」(多田くん)と、喜びを分かち合う開成高校の3人。名大附属は「「惜しかったけど満足感が上回った」(松本さん)、「やっていて楽しかった」(中島くん)と、充実した戦いを振り返る。名大附属は全員が2年生、「絶対戻ってくるんで!」(佐藤くん)とリベンジを誓った。
以上で『第4回ニュース・博識甲子園』は終了。149チーム452名の高校生の頂点に立ったのは、開成高校でした。前回同様オンライン大会なので、今年も優勝トロフィーと賞状は消毒のうえ別途郵送。第5回こそ再び会場に集まれますように……!
神回だったのでは…?(絵文字)
ご覧いただいた方、ありがとうございました!#ニュース博識甲子園— 日高大介 (@hdkdisk) August 29, 2021
改めて、開成高校の皆さん、おめでとうございました(絵文字)激闘でした…!惜しくも敗れてしまった皆さんも、本当に素晴らしい闘いっぷりでした!お疲れ様でした(絵文字)(絵文字)(絵文字) https://t.co/TEro1fcI6K
— 洲崎綾 (@suzaki_aya) August 29, 2021
「ニュース・博識甲子園」公式サイト
https://quiz.or.jp/taikai/koushien/
路線図マニアでテレビっ子のライター。『99人の壁』でグランドスラム達成(ジャンル「路線図」)。著書に『たのしい路線図』。宮城県出身。二児の父。