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『高校生クイズ2019』輪投げは入らずモアイは歩かない…!2年目の「地頭力」は困難をどう乗り越えたか

9月13日に放送された『第39回全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ)。今回から地区予選大会が廃止され、代わり「全国どこでもスマホ一斉予選」を実施。全2527組から選ばれた代表校50校+シード枠1校の51校で優勝を争うこととなった。

『高校生クイズ』は昨年から「340kgのタイヤを30m先に運ぶ」「200個の風船を早く割る」など「地頭力」が必要とされる形式に変わり、今年もこの路線は継続。正解がひとつに決まらない問題に挑んだ高校生たちの姿を中心に振り返りたい。

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専門家の答えより高校生がスマート!?

1回戦は「プロジェクションマッピングクイズ」「笑点謎かけクイズ」など、バラエティに富んだ形式のクイズが出題され、51校から16校が勝ち抜け。

2回戦は「ジャイアント リングトス」。輪投げの成績を競うのだが、輪を入れる柱は5mの高さ。とても普通に投げただけでは入らない。柱のそばには段ボールやロープ、アルミ製のパイプ2本などの道具が用意されており、使い方は自由だ。

トップバッターは3連覇を狙う桜丘高校。パイプを柱に立てかけ、下から輪を投げてくぐらせようとするがうまくいかない。30秒経過したところで諦め、残りの時間を「シンプルにただただ投げる」という力業で4本を入れる。

その後、各校の挑戦が続くが、多くが0本でフィニッシュ。まさか力業の4本で桜丘高校がトップになってしまうのか。その記録を打ち破ったのが、京都代表の洛北高校。全ての輪を1つにまとめ、2本のパイプの先端に挟むようにロープで結ぶ。そのままパイプを一気に起こし、柱の先端に輪を引っかけた。一発で全部の輪が柱に入ってしまったのだ。

専門家が用意していた正解は、「1人がロープの輪を手と足にはめて柱の頂上までを登り、残りの2人が下から輪を投げ渡す」というもの。番組では命綱を用意していたが、不安定な5mの柱の先端に座るのはやっぱり怖いだろう。高校生が導き出した答えのほうが、安全でスマートに感じるのだった。

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水鉄砲で風船がどんどん床に落ちてくる……!

9校で行われた3回戦は、Tシャツの醤油シミを白くするものを選ぶクイズ。脱落は1校のみだが、ここでなんと桜丘高校がまさかの敗退。3連覇の夢は途絶えたが、同郷の四日市高校に優勝を託して姿を消した。

4回戦「乃木坂BINGO」、5回戦「二択ウォール」を経て、準決勝に進出したのは「恋する男 番匠君と理系脳」富山中部(富山)、「IQ158の女王 片山が君臨」清真学園(茨城)、「ヘルメット師匠と天才たち」洛北(京都)、「陽気なおっちょこちょい3人組」AICJ(広島)の4校。準決勝は自作の道具で200個の風船を落とす「ドロップ・ザ・バルーン」。

去年は200個の風船を割るタイムを競ったが、今回は割らずに回収した風船の数を競う。道具の材料を買い出しにホームセンターに向かった一行だったが、広島AICJの伊崎くんは「買ったものをカゴごと店に忘れる」というおっちょこちょいぶりを見せていた(スタッフが届けてくれてセーフ)

結論から言うと、トップは洛北の149個。T字型に組み合わせたパイプの横棒に両面テープを巻き、風船の紐に引っかけることで一気に回収したのだ。両面テープから紐をはがすのは早々に諦め、道具ごと回収ボックスに投入する潔さも功を奏した。

圧巻だったのは富山中部が用意した「水鉄砲」。風船に直接手をかけるのではなく、風船の紐を湿らせ重くして落とすという。水は真水より重い食塩水を用意した。その思惑通り、水鉄砲に狙われた風船がどんどん落ちていく……!

落ちた風船を回収するために作ったネットが機能せず、最終的な成績は63個と伸び悩んだ。しかし、まるで風船が水鉄砲に撃ち落とされたように次々と落ちていく様には思わず声が出た。一問一答の難問に正解するのとはまた違う、「地頭力」ならではの気持ちよさがあった。

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このモアイは自分では歩かない

準決勝で清真学園が脱落。洛北、富山中部、AICJの3校が決勝に駒を進めた。決勝戦は300kg超えのモアイを運ぶ「ムーブ・ザ・モアイ」だ。

モアイを運ぶと聞いてすぐに思い浮かべたのは、「歩いて移動させる」方法だった。イースター島のモアイは、左右と後ろの三方向からロープを引っ張ることで、まるで歩いているかのように移動させていたという報告がある(下記は4.35トンのモアイのレプリカで実験した映像)

洛北がすぐこの可能性に思い至った。しかし、実際にやってみると3人の力ではロープを引いて動かすのは無理だとわかる。今回用意されたモアイは、転倒を防ぐために重心が下にあるのだ。

ロープ以外にも、モアイを動かすための道具には段ボールや水、角材などが用意されている。富山中部はガムテープと角材で車輪を作ろうとするがうまくいかない。一方、AICJは道具の下に敷かれていた2枚のアクリル板に目を付けた。

1枚のアクリル板を水で濡らし、モアイの下に滑り込ませて摩擦を減らそうとするAICJ。実はこの方法、番組が用意した正解に限りなく近かった。2枚のアクリル板の間に水を入れ、モアイの下に滑り込ませれば摩擦が大幅に減ったのだ。

それにしても、前回の「340kgのタイヤを運ぶ」でも番組が用意した正解は「道具の下に敷かれているブルーシートをタイヤの下に敷いて運ぶ」だった。2年連続で「道具としては説明していない敷物を使う」が正解だったとは……。

さて、洛北は歩行運搬法を諦め、すぐに別な方法を模索した。ロープをモアイの下に滑り込ませて後ろから押してみる……少し動いた……!

ロープがコロの役割を果たし、モアイを前に進めたのだ。それがわかれば話は早い。20mのロープを右へ左へと這わせ、その上をモアイが移動するようにセッティング。3人で押してはロープを整える。一方、AICJもロープをコロにすることに気がついた。モアイたちによるスローなデッドヒート。勝負を制したのは、洛北高校だった。

思い返せば、風船もモアイも「諦め」や「切り替え」の早さが洛北高校のピンチを救ったと言える。一つの失敗にこだわらず、次の方法を模索する。これも「地頭力」のなせる業かもしれない。

「地頭力」に形式が変わってから2年目。輪投げや風船などは、独創性が気持ちよさを生む展開となったが、「乃木坂BINGO」や「二択ウォール」では各校で運や難易度の違いが目立つ場面もあった。地区予選大会が廃止され、お祭り感が減ったのも寂しい。高校生たちが夏の思い出として参加してくれる、魅力的なクイズを来年も待っています。

『第39回全国高等学校クイズ選手権』(9月13日放送:日本テレビ系列)
【総合司会】桝太一(日テレアナウンサー)
【メインパーソナリティー】千鳥
【スペシャルパーソナリティー】杉野遥亮
【メインサポーター】乃木坂46

【ライタープロフィール】

井上マサキ
路線図マニアでテレビっ子のライター。『99人の壁』でグランドスラム達成(ジャンル「路線図」)。著書に『たのしい路線図』。宮城県出身。二児の父。

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