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佐藤二朗「この番組が一番超逆境」。リモート早押しで乗り越えた『99人の壁』

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「『超逆境クイズバトル』とかいって、この番組が一番超逆境じゃないかと」(佐藤二朗)

『99人の壁』は3月7日放送の「ディズニーSP」以降、収録ができずにいた。100人の挑戦者がスタジオにひしめく現場はまさに「3密」の真っただ中。新型コロナウイルス感染対策を講じなければ収録はできない。しかし、1人vs99人の対決を実現するにはどうしたら……。

その「超逆境」を跳ね返したのは、「リモート早押しシステムを自作する」というウルトラCだった。収録が再開したのは5月24日。前回収録した2月15日から、偶然にも99日ぶりの収録だったという。

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2つの「超逆境」を乗り越えろ

スタジオには4枚の巨大モニタが東西南北に配置され、4面×25人=100人の東大生がリモートで参加。“リモートの壁”となってチャレンジャーを取り囲む。

早押しボタンは、番組が独自にスマホアプリを作ることで実現。それぞれの家でアプリ上のボタンを押せば、スタジオに従来の効果音が響き渡る仕組みだ。「みんはや」などのクイズアプリがすでに実現していることを思えば、タイムラグの問題もない。同じシステム上で公平に戦うため、スタジオにいるチャレンジャーの早押しボタンもタブレットである。

リモートの壁に加え、チャレンジャーとMC佐藤二朗の間に巨大アクリル板を設け、コロナ対策は万全。……だが、番組にはもうひとつの「超逆境」があった。

過去の放送回で、人数が不足した際に「解答権のないエキストラ」を置いていた問題が発覚したことだ。6月6日放送では冒頭の約1分間にわたり、お詫びと反省のテロップが流れた。

番組内でも人数には神経質になっていた。画面左上に表示されている「東大生99人をやっつけろ」というテロップは、リモートの回線が切れるたびに「東大生97人をやっつけろ」などと正確な数字に変えた。

MC佐藤二朗はTwitterで「褌(ふんどし)を締め直した彼らと今後も作品を創ると決めた」と綴り、番組内でもカメラに向かって「あくまでも正直にやっていきます」と語っている。

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アンタ柴田の自然体、ロザン宇治原の意地

今回は一般参加者をスタジオに呼べないため、チャレンジャーは芸能人のみ。この人選にも工夫があった。初登場の阿部亮平(Snow Man)以外は、前回出演時と同じジャンルでのリベンジマッチ。因縁があるのはもちろん、既に番組の空気を把握しているため、リモートにも対応しやすい。

「世界の動物」で挑戦した柴田英嗣(アンタッチャブル)は、東大生相手でも「1問目はウォーミングアップぐらいの感じで」と全く緊張感なし。3問目の早押しも、ボタンに手をかけず全く構えていなかったが、「ケニアのツァボ国立公園に/」でフワッとボタンを押し、「たてがみがない」を正解。4問目で敗退したが、しっかりと見せ場を作っていた。

また、ロザン宇治原は、自分自身も大阪からリモートで参戦。そう、リモート早押しシステムがあれば、スタジオでボタンを押す必要もないのだ。クイズ番組なのに、スタジオに解答者が1人もいなくなった。

ジャンルは以前も挑戦した「外来語の難読漢字」。前回は一般参加者が相手だったが、今回は東大生が相手。難読漢字で戦うのは分が悪いが、京大出身のロザン宇治原は東大生に敵意むき出し。リモートをいいことに「日本で2番目の大学」などとディスりまくり、全て問題を“100人の壁”にしてほしいと頼む。結果は敗退だったが、「(解答の「ピザ」は)ピッツァじゃないですか」と負け惜しみも忘れなかった。

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みやぞん、ファイナルで勝負に出た

今回、唯一ファイナルステージまで駒を進めたのは、ジャンル「花」のみやぞん。4thステージの早押しでは、東大生が立て続けに誤答するなか「葉牡丹」を正解。花屋に勤務した経験から、その知識量で東大生を圧倒する。

しかし東大生も負けてはいない。ファイナル1問目。「この花の絶景で知られる国は?」で東の壁がブロックに成功(正解は「ベルギー」)。しかし、東大生は花の知識ではなく、建物などの雰囲気から“肌感覚”で正解を導いていた。誤答覚悟のブロックに対応しなければ、ファイナルは勝ち残れない。

ファイナル2問目。みやぞんは勝負に出る。途中で画像が出る早押し問題で、「花がある鳥に似ていることから名付けられた/」で、みやぞんにランプが点く。画像はまだ出ていない。じっくり考えた末に出した解答は「ストレチア」。極楽鳥花とも呼ばれ、鳥に似た花を咲かせるが……。判定は無情にも不正解。画像に用意されていたのは「サギソウ」だった。

さまざまな課題を同時に解決する「リモート早押し」

ここ最近テレビ番組に導入されているリモートは、時に音声が聞こえなかったり、フリーズしたりもする。そのハプニングも「リモートだから」と、そのまま演出として使われることもある。

『99人の壁』のリモートも、収録時は回線が切れたり、音声がミュートになっていたり、ハプニングはあったようだ。ただ、勝負にかかわるクリティカルな部分で致命的なトラブルはなく、編集後の映像では『99人の壁』がしっかり成立していた。巨大なモニタに映る25人の「壁」は圧迫感として十分だったし、早押しは「見えない相手」と戦う緊張感もあった(出演者と二朗さんのワチャワチャしたやり取りが起きづらいのは寂しいけど)

今回作られた「リモート早押しシステム」のアイデアは、同時にさまざまな問題を解決している。ロザン宇治原のように遠方から挑戦できるなら、地方の一般参加者が参戦するハードルも低くなる。欠場者が出た場合の補充もしやすいだろう。コロナウイルス対策だけでなく、エキストラ問題までも解決できてしまう。

さらに、この早押しシステムは『99人の壁』のみならず、フジテレビの資産にもなりうる。マイナビニュースの『99人の壁』千葉Dインタビューによると、「理論上は“1000人の壁”も可能」だそうだ。TBS『オールスター感謝祭』のような、クイズのお祭りがフジテレビで実現するかもしれない。

「超逆境」を乗り越えた『99人の壁』、今後の展開が楽しみでならない。


『超逆境クイズバトル!!99人の壁 東大生をやっつけろ!99人リモート参戦SP』(2020年6月6日放送)
MC:佐藤二朗
解説:伊集院光
チャレンジャー:阿部亮平(Snow Man)、宇治原史規(ロザン)、柴田英嗣(アンタッチャブル)、丸山桂里奈、みやぞん(ANZEN漫才)

【ライタープロフィール】

井上マサキ
路線図マニアでテレビっ子のライター。『99人の壁』でグランドスラム達成(ジャンル「路線図」)。著書に『たのしい路線図』。宮城県出身。二児の父。

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