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INTERVIEW

「鈴木光さんのようになりたい!」北海道の女子高生が叶えた夢 
東大王候補生・紀野紗良インタビュー(前編) 

TBSで放送中の人気番組『東大王』で、4月から新たに登場した東大王候補生たち。東大王候補生のこれまでの歩みと『東大王』に対する想いをインタビューする連続企画。1人目は、謎解きサークル「AnotherVision」にも所属する紀野紗良。鈴木光に憧れてきた紀野の、『東大王』にかける夢とは?
(2019年6月28日収録 聞き手:大門弘樹 撮影:玉井美世子)
©TBS

頑張れば、きっとできる
苦手なものを苦手と思わないことが大事

――失礼ですけど、身長はどれぐらいですか?
紀野 えー、いきなりそれですか?(笑)

――すいません。でも、紀野さんが初めて『東大王』に登場された時のツイッターの反応が、みんな「小さくてかわいい!」って感じだったので。
紀野 あはは(笑)。でも、実は身長は150cmあるんですよ。152cmですね。

――じゃあ、皆さんが思っているほどは小さくないかもしれないですね(笑)。と、いきなり横道に逸れてしまいましたが、本題に入りましょう。まずは紀野さんの生い立ちから教えてください。ご家族は何人ですか?
紀野 4人家族で弟がいます。

――弟さんがいらっしゃるのですね。ちなみに、弟さんはおいくつですか?
紀野 16歳ですね。

――弟さんはどんなタイプの方ですか?
紀野 すごいスポーツが好きで、ずっとテニスをやっていたり、ゴルフをやっていたり……。私よりもだいぶスポーツができる感じです(笑)。

――でも、紀野さんも番組中の中で「スキーの腕前がすごい!」なんて紹介されていましたよね?
紀野 はい。スキーだけは弟よりできるんです(笑)。

――へぇ~。ちなみに、スキーは小さい頃から?
紀野 あまり覚えてないんですけど、たぶん3歳くらいから滑っていると思います。

――3歳から! さすが北海道ですね!
紀野 あはは(笑)。まぁ、家族がみんな好きなんで。

――ちなみに、どのあたりのスキー場に行かれてたのですか?
紀野 小学校3年生の終わりまではずっと北見だったので、その辺りのちっちゃいスキー場で滑っていた感じです。

――で、家族の皆さんとスキーを楽しみつつ、バレエも習われていたと。
紀野 はい。バレエは3歳の時から、ずーっと習っていました。

――バレエを習い始めたきっかけみたいなものは?
紀野 私が母に「バレエをやりたい!」と言い出して始めたそうです。母も小さい頃バレエを習っていたそうなのですが、直接的な関係はないみたいです。

――バレエは今もやられているのですか?
紀野 本格的にやっていたのは高校2年生の終わりまでですね。今は習ってはいないのですけれども、たまに本郷までやりに行ったり、っていう感じで。

――本郷というのは東大のキャンパスですか?
紀野 はい。実は本郷キャンパスでバレエができるんですよ。なので、たまにバレエをしに行ってます。

――それはサークルとかではなく?
紀野 サークルではなくて、なんというか……。ほかの大学の大学院の方が教えに来てくださってるんだと思うのですけど。その方に習うような感じで、まぁ軽く。

――なるほど。ちなみに、バレエをやって良かったこととかありますか?
紀野 うーん、打たれ強い感じになったというか……。バレエって、先生に言われたことをそのままこなすのもアリなんですけれど、それよりも自分で改善点を見つけて、それを直していくことによってどんどん上達していくものなんです。なので、先生にキツいことを言われても、それで「もうダメなんだ」って思わないようになったというか。むしろ、キツいこと言われたからこそ「頑張ろう!」と思えるようになったのかな、って思いますね。

――じゃあ、紀野さんの忍耐力はバレエで培われたと?
紀野 そうだと思います。

――では、テレビ番組はどうですか? ずっと観ていた番組は?
紀野 それはもう、クイズ番組がホントにずっと好きで! 小学校の頃は『高校生クイズ』をずっと観ていたし、中高生あたりからは『Qさま!!』と『東大王』、あとは『ネプリーグ』なんかも観ていました。

――『東大王』が始まった時って、まだ高校生ですよね? 最初の特番が16年の秋で、レギュラーになったのが17年4月ですけど……。
紀野 じゃあ、レギュラーになったと同時に高3ですね。

――高3だと、そろそろ受験を意識し始めるくらいのタイミングだと思うのですけど、リアルタイムで『東大王』を……。
紀野 観ていました。家族みんな好きなので、録画することもありましたね(笑)。

――視聴者として『東大王』を観た時、どんな印象を受けましたか?
紀野 最初の頃は、東大のほんとにトップの鶴崎(修功)さんとか水上(颯)さんが、自分の知らない知識をどんどん答えるのを見て、とにかく「すごいな」って圧倒される感じだったんですよ。でも、(鈴木)光さんが入ってきてから、なんか和んできたというか、身近になったというか……。女の子が出てきた頃から「応援したいな」っていう気持ちが強くなりましたね。

――その頃は「自分もいずれ東大に入って、この番組に出よう」みたいなことは……。
紀野 全然思っていなかったですよ!(笑)

――ちなみに、東大を志望するにあたって、『東大王』の影響みたいなものはありましたか?
紀野 東大を目指そうと決めたのは高1の終わりか高2の頭だったので、直接的な影響はなかったと思います。

――では、その頃に「東大を受けよう!」と思ったきっかけは?
紀野 高1の3月終わりに塾の講習に行って、そこで東大の話を聞たんですよ。その時に「やっぱり東京には各方面の優れた人が集まるんだなぁ」と思って。で、「東京に行ったほうが豊かな人生送れるのかな?」と思い直して(笑)。

――なるほど。で、東大を目指して勉強し始めたくらいのタイミングで『東大王』が始まったと。
紀野 そうですね。たまたま『東大王』が。たぶんほかにも東大生が活躍していた番組はあったと思うのですけれど、なんか「より東大生を取り上げている番組だな」と思っていました。

――『東大王』を見て、東大生に対する印象が変わったりしましたか?
紀野 そうですね……。「やっぱ、すごい人がいるなぁ」と(笑)。「東大にはこういう人がいるんだな」とか「実際に入学したあとにこういう人材と触れ合うことができるんだな」と想像すると、ほんとゾクゾクするな、という感じでしたね。

――なるほど。でも、そうは言っても、東大ってめちゃめちゃ狭き門じゃないですか?
紀野 いや、「受験はまぁ、大丈夫かな」と思っていたんですよね(笑)。

――あ、そうなんですね! では、当時の勉強法を教えていただけますか?
紀野 今もDMで「東大を目指すために、どういうことをしてましたか?」みたいな質問がきたりします。

――それ、個別に返すのは大変だと思いますので、ここでバシッと答えちゃいましょう(笑)
紀野 あはは(笑)。そうですね、どんな教科でもあっても、あまり苦手意識を持たないのが大事なのかなと。やっぱり「これは苦手だ」と決めつけてしまうと、本当にできなくなってしまうと思うので。例えば物理だと、電磁気がダメだとしても、ほかの分野ならできるかもしれないじゃないですか? だから、ひとつのジャンルがダメというだけで「物理が苦手だ」とか思っちゃダメで。むしろ、そういう時は電磁気の問題をたくさん解いて、少なくとも苦手にはしないということが大事なのかな、と思います。

――いいアドバイスですね!
紀野 いやぁ、なんか漠然としたことしか言えないんですけれども(苦笑)。

――でも、そうだと思います。どっかで折れちゃうと、そこで止まっちゃいますもんね。
紀野 ですよね。そういう意味では「常に成長し続けることが大事なのかな」とは思っています。

――ちなみに、紀野さん自身はどうですか? 見ていると「苦手なことがないのかな?」なんて思えるのですけど。
紀野 いや、苦手なものはもちろんあります。むしろ、満遍なく苦手なのかもしれないですし……。ただ、それを苦手だと思いたくない自分がいるので。

――なるほど!
紀野 私、けっこう負けず嫌いなので(笑)。特に高校の時とか、周りの人はみんな「数学は苦手だ」なんて言っていたのですけど、私は絶対に言いませんでした。それを言ったら負けというか、自分ができないことを認めてしまう感じがしたので。なので頑張って勉強して、少なくとも苦手とは思わないようにはしていました。

――確かに「苦手」と口にしてしまうと、暗示とかにかかっちゃいそうな気もしますよね。
紀野 そうなんですよね。ホントはできるはずなのに、自分で「できない」と言ってしまったせいでできなくなるというのが本当に嫌でした。

――いいお話をありがとうございます。で、話を戻しまして、紀野さんが実際にどういう勉強をされていたのかについて、ぜひ教えていただけたら。
紀野 私の場合、「東大を目指したから勉強を始めた」というわけではないんですよね。中1の頃からずっと「なるべく上を目指したい」ってことで勉強を積み重ねた結果として、常に東大を目指せるレベルにあった、っていう感じだったので。だから、特に「無理して勉強をやった」みたいなことはないんですよ。積み重ねが大きかったと思います。

――ちなみに、1日どれぐらいの勉強時間を積み重ねてきた感じですか? 水上君なんかは勉強時間が少ないという話なんですけど、紀野さんどうですか?
紀野 私はそんな天才型ではないので(苦笑)。まぁ、普通に学校の課題をこなして、そのあとで自分のやりたい勉強をして……。そんなのを1日2~3時間、ずっとやっていた感じです。

――1日2~3時間の勉強で東大に入っちゃうってのも、立派な天才型ですよ!
紀野 いや、でも高3の時はさすがにもう少しやりました(笑)。

――なるほど、受験の年はもう少しやったと。
紀野 はい。過去問を解く時間も必要なので。

――東大の受験問題は、ほかの大学と比べてどう違うのでしょうか?
紀野 私が「東大を目指して良かったな」と思うことのひとつに「東大の入試問題が好き」というのがあるんですよ。癖がないというか、綺麗な問題を出すんですよね。だから、なんか解いていて「うれしいなあ」という感じで。「日本トップの教授さんがみんなで作っているんだなぁ」って感じの問題なので、解くのがすごい好きでした。

――なるほど。でもそれって、あとで聞こうと思っている謎解きの話に……。
紀野 あー、繋がります!

――ですよね! きれいな解法が出てきたりとか。
紀野 そうですよね。

――まぁ、そのあたりの話は後ほど改めてうかがうとして、もう少し勉強のことを。高校時代に得意な科目は何でしたか?
紀野 国語と英語ですね。

――語学系が得意なのですね。
紀野 はい。理系なんですけれども(苦笑)。

――あれ、でも数学もお得意だったのでは?
紀野 数学はたぶん、東大志望者の中では人並みにはできた感じで。

――確か高校時代に数学の賞を獲ったとか……。
紀野 あぁ、獲っています。でも、あれは北海道内のコンテストなので(笑)。出題範囲は数学オリンピックと同じように高1で習う範囲で、たしか30位までが賞を獲れるんです。で、参加したらなんとかその中に入れさせてもらっていた感じというか。だから、「北海道の中では」という感じなので……。自分の中では「そんな数学はめちゃできる」とは思っていないというか。

――なるほど。
紀野 正直、あまり語るようなことでもなかったんですけど(苦笑)。

――でも、数学を解くのはお好きなんですよね?
紀野 あぁ、それは楽しいですね! 解けたらすごいうれしいですし(笑)。

――お話を聞いていると「文系が得意」といいつつ、理系も含めどの教科も好きで得意なんだな、という感じがするのですけど。そんな中で、大学で理系の学部を選んだのはどういう理由でしょう?
紀野 研究がしたかったんですよ。とにかく、昔からずーっと研究がしたくて。中でも生物系というか、生命に何かしらの形で関われる研究したかったんですよね。それで、とりあえず理系を志望しました。

――生物が好きだったんですか?
紀野 いえ、生物は履修してないんです。実は生物って大学から始めても全然遅くないので。でも、とりあえず生命に関わる何かをしたかった、ということで進路を選んだ感じですね。

――とはいえ、「生命に関わる研究をしたい」と思ったきっかけはあったのですよね?
紀野 うーん、「生命って、なんか神秘的だな」と思ったからですかね(笑)。あと、家族にお医者さんが多かったので、元々は「医者になりたいな」と思ってたんですよ。そこから派生して「生命系の研究ができたらいいな」と思うようになったのだと思います。……でも、今は「材料系の研究をしたいなぁ」と思っているんですけど。

――材料系ですか?
紀野 はい。まぁ、それはバイオマスを利用したものなので、ある意味では生物にも関わっているのかな、と思いますけど。

――すみません、ちょっとわかりやすく教えて欲しいのですけど、バイオマス材料というのはどんな感じの研究テーマがあるのですか?
紀野 今、東大でやっているものとしては、微生物の体内でプラスチックを生産したり、セルロースナノファイバー(木の繊維を細かくして綺麗に揃えたもの)を使って透明な紙を作ったり……。

――なんか聞いているだけでも「すごい技術だな!」って感じがしますね。
紀野 はい。そういう新素材を開発できたら面白いなぁ、と思いまして。

大学でハマった謎解きのおかげで
ひらめき系問題が得意に

――現在は東大の謎解きサークル「AnotherVision」に所属されていますが、謎解きは元からお好きだったのですか?
紀野 いや。謎解き自体を知らなかったんです。いまどき珍しいと思うんですけれとも(苦笑)。でも、北海道の人にとっては「謎解き」って、そんなに身近ではないんですよね。今でこそ少しは広まってきたとはいえ、高校まで北海道で過ごした私には未知の文化でした。

――では、AnotherVisionに入ったきっかけというのは?
紀野 最初、「クイズ研究会に入ろう」と思って、クイズ研の新歓に行ったんですね。そうしたら、同じく新歓に来ていた1年生に「AnotherVisionって謎を作るサークルがあるんだけど、行かない?」って言われて。それで行ってみたらとても面白くて「ここに入ろう!」と。

――ちなみに、クイズ研究会には新歓に行ったきりですか?
紀野 実は、今も一応、入ってはいるんですよね。

――じゃあ、サークルを掛け持ちしている感じですか?
紀野 いや、そうとは言えないですね。謎解きのほうをメインでやっていて、クイズのほうはあんまり行けてない感じなので。

――じゃあ、クイズの方は「一応、籍は置いているけど……」くらいの。
紀野 はい。

――『リアル脱出ゲーム』のような謎解きイベントに参加したりとかは?
紀野 けっこう行きますね。

――先ほど、「北海道には謎解きの文化がなかった」とおっしゃっていましたが、初めて謎解きイベントに参加した時の衝撃みたいなものは……。
紀野 私が最初に参加したのは、自分が入ったサークルの新歓イベントなんですけど。そこで謎解きを初めて体験して。私、ひらめき系はもともと得意だったんですけれど、「こういう視点があるのか!」「最終的にこう覆るのか!」というのが、もうホントに面白くて。なんというか、すごく新鮮な気持ちでしたね。「これはもう、入るしかない!」と(笑)。

――しかし、謎解きにどっぷりハマったという紀野さんが『東大王』に挑戦したというのも面白いのですけど。だってこの番組って、謎解き要素はあまり無いじゃないですか? そんな紀野さんが「なぜ『東大王』に関わるようになったのか?」という流れをぜひ教えて欲しいのですけど。
紀野 光さんのことが大好きで、「もしかしたらお会いできるかも?」みたいなのがきっかけですね(笑)。「自分も光さんと一緒の番組で活躍できたらうれしいな」って気持ちで応募したんですよ。

――なるほど。でも、オーディションは大丈夫でしたか? 『東大王』は知識系の番組なので、普段サークルでやっていることとは、また違う能力が要求されたと思うのですけど……。
紀野 それが、そのオーディションではひらめき系の問題が多く出されたんですよ。あの時は「AnotherVisionに所属していて良かった~」という感じでしたね。

――へぇ~、そうなのですね。ちなみに、オーディションに向けて「テレビで『東大王』を見て対策した」みたいなのは……。
紀野 それが、当時はテレビがなかったんですよね。

――え、そうなのですか?
紀野 はい。『東大王』に出演が決まるまでは家になくて。だから、東大に入ってからは全然観れてなかったんですよ。夏休みとか帰省した時に、わざわざ観るくらいで(苦笑)。

――では、どうやってオーディションの告知を知ったのですか?
紀野 番組のホームページですね。たまたま見たら「オーディションがある」と書いてあって。

――なるほど。で、告知を見てすぐ申し込んだ感じですか?
紀野 いや、けっこう悩んだんですよね。やっぱ「私のレベルだと、ちょっと厳しいんじゃないかなぁ?」とか思って……。でも、同じクラスの友だちも応募するということで「よし、私もやろう!」と応募しました。

――しかし、番組を見ていないのに、たまたまホームページで見つけるとは、かなり運命的なものを感じますね。
紀野 そうかもしれないです(笑)。まさか募集しているなんて……。いや、ほんとビックリしました。

――『東大王』って、普通のクイズ番組みたいに頻繁に募集しているものじゃないですもんね。おそらく伊沢(拓司)くんの卒業が無かったら、メンバーが変わることは無かったでしょうし。
紀野 ですよね。だから「えっ、チャンスあるの?」っていう感じで(笑)。

――ちなみに、その時のオーディションには何人ぐらい来てたのですか?
紀野 私が行った時は30人ちょいだったと思います。あんまり詳しくはわからないんですけれど、おそらく複数回やっていたと思うんですよね。

――なるほど。何回もやっていたとすると、もっと多くの人数が受けていた可能性もありますね。
紀野 かもしれません。

――手応えはいかがでしたか?
紀野 ひらめき系はかなり解けました。それがもううれしくて(笑)。あとの筆記問題は、自分の持てる力を出し尽くした感じでしたね。で、筆記のあとに面接があったんですけど、それが集団面接だったんですよ。そこで一緒になった人たちの中には、クイズ研究会の中でもすごく強い人とかがいらっしゃって……。

――じゃあ、集団面接の顔ぶれを見た時には……。
紀野 「これは無理だ……」って(苦笑)。なんか「出だしから遅れたなぁ」っていう感じがして、すごく怖かったですね。

――その面接ではどうしました? もう開き直って自己アピールしたとか……。
紀野 面接の時は話す順番が2番手だったんですよ。なので、前の方が何かを言っている間、必死に自分のアピールできることを考えまくって。で、番が来た時にそれをひたすら出したって感じでしたね。

――なるほど。で、その自己アピールの結果、「合格です」という連絡が来たわけですよね?
紀野 それが、私の場合はなんか「ドッキリ」みたいな感じだったんですよ(笑)。

――え、「ドッキリ」って一体?
(同席した番組スタッフ) 実は「これから最終オーディションがあるよ」って言って呼び出したんですよ。で、来てもらった後で「合格でした!」って明かしたという。
紀野 もう、ビックリしたんですよ!

――ちなみに、それは収録していたのですか?
(スタッフ) いや。カメラを回したりとかは全然してなくて。

――じゃあ、「ちょっと驚かしてやろう」というスタッフの遊び心だったわけですね。
(スタッフ) って感じでしたかねえ(笑)。

――あはは(笑)。一方、騙された側としてはどうでしたか?
紀野 私は完全に「これからオーディションだ」と思って行ったんですよ。なのに、現場に着いたら自分しかいなくて。それで「なんか変だな?」とは思いつつも「もしかしたら、個人個人で面接やるのかなあ?」なんて……。そうしたら、なんか偉そうな人たちがいらっしゃって……。「あれ?」と思ったら「おめでとうございます!」と言われたんですよ。

――おぉ! その時のお気持ちは?
紀野 「……えっ?」って(笑)。

――ははは(笑)。でも、これからオーディションだと思っていたところに、いきなり祝福の言葉をかけられたら、そりゃ反応に困りますよね。
紀野 はい。でも、無事に東大王になれたということで、「いやぁ、ビックリだなあ」と(笑)。

――「東大王に選ばれた」ということを、誰に最初に伝えましたか?
紀野 すぐ母に連絡しましたね。というのは、母には「次のオーディションがある」っていうことを伝えてあったので。

――お母さんの反応はいかがでしたか?
紀野 「候補生になったよ」って伝えたら、「えっ、ホントに!? うそー? すごいー!」ってビックリしてました(笑)。でも「ホントだよ」って言ったら、すごく喜んでくれて。それで「ああ、良かったなあ」と。

――東京に送り出した娘が、毎週テレビで元気な姿を見せてくれるなんて、親からしたら夢のような話ですよ。
紀野 ですかねぇ(笑)。ちなみに、父と母には伝えてたんですけど、弟には伝えなかったんですよ。

――え、それはなぜでしょう?
紀野 伝えてしまうと、たぶん周りに言っちゃうと思ったので。

――なるほど、ネタバレを避けるために。
紀野 はい。でも、初回放送(4月3日放送)の時に弟は自習室で勉強していたらしいんですけど、友人たちから「お姉ちゃんが東大王に出てるよ!」とLINEメッセージが来て、びっくりして家族LINEに「どういうこと?」とメッセージを送ってきたんです。でも、みんなは知ってるから「知っているよー」って冷静な返事が(笑)。

――じゃあ、一家の中では弟さんだけが……。
紀野 はい。一人だけビックリしていましたね。あれは面白かったです(笑)。

【プロフィール】
紀野紗良(きのさら) 2000年、北海道生まれ。立命館慶祥高校卒。2018年に東京大学理科Ⅱ類に合格し、入学。東大クイズ研究会と謎解きサークル「AnotherVision」に所属している。趣味はバレー、スキー。

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