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INTERVIEW

『歴史迷宮からの脱出~リアル脱出ゲーム×テレビ東京~』はこうして作られた(スタッフ座談会PART1)

歴史迷宮からの脱出1105撮影:平山諭(加藤隆生の写真のみ)

いよいよクライマックスを迎える『歴史迷宮からの脱出~リアル脱出ゲーム×テレビ東京~』。その最終回となる第6話の放送を前に、このドラマの仕掛け人である3人に直撃取材を行った。
これまで何度か試みられてきた『リアル脱出ゲーム』のドラマ化はいかにして成立したのか、そしてこの『歴史迷宮からの脱出』はどのように生まれたのか。そこには「楽しいこと」に全力をかけるクリエーターのぶつかり合いがあった。
(2020年10月16日収録 聞き手:大門弘樹 写真:神保達也)

加藤隆生(かとうたかお) 1974年、岐阜県生まれ。京都府で育ち、音楽バンド「ロボピッチャー」のボーカル・ギターとして活動。2004年にインディーズ音楽イベント開催のためにフリーペーパー「SCRAP」を創刊。2007年に「リアル脱出ゲーム」を京都で初開催。2008年に株式会社SCRAPを設立し、イベントプロデュース、店舗経営などを行う。

乾雅人(いぬいまさと) 1964年、岐阜県生まれ。テレビ朝日でアルバイト後、1990年にライターズオフィスに入社。2004年に有限会社フォルコムを設立。『SASUKE』は第1回から総合演出を担当。その他の代表作に『クイズ100人に聞きました』『スポーツマンNo.1決定戦』『筋肉番付』『DOORS』『Dynamite!!』『K-1 WORLD MAX』『世界卓球』『ワールド・クイズ・クラシック』『ゼウス』など。

山田大一(やまだたいいつ) 1981年、東京都生まれ。アミューズメント施設運営会社やオークションサイト運営会社などを経験後、2013年に株式会社ドワンゴに入社。2016年からN高等学校の職員として通信制高校における生徒間コミュニティ構築に従事。2019年にスマートニュース株式会社に入社。コンテンツ開発アソシエイトとして、ニュースアプリ「SmartNews」のコンテンツマーケティングを担当。

関連記事:視聴者参加型ドラマ「歴史迷宮からの脱出 〜リアル脱出ゲーム×テレビ東京〜」が10月2日から放送スタート!

テレビに対する不信感から、なかなか企画が決まらなかった

――現在、テレビ東京で放送中の『歴史迷宮からの脱出』ですが、この番組はSCRAPの加藤さんやフォルコムの乾さんといった、『リアル脱出ゲームTV』(TBS・2013~14年)を手がけられたスタッフが再結集されたと伺いました。ということで、『歴史迷宮からの脱出』について語っていただく前に、まずは『リアル脱出ゲームTV』がどのように誕生したのかについてお聞かせください。
 当時、千駄ヶ谷にあったSCRAPに企画を持ち込んだんですよね。
加藤 いや、その前があったはず。千駄ヶ谷の前に、初台のめっちゃ狭いマンションの一室みたいなところがあったんですよ。最初はそこでお会いしたと思います。なんにせよ、乾さんは最初期にうちの事務所に、企画書を持ってきてくれたんですよ。で、僕が「ちょっとこれはやりたくないです」みたいなことを言って……。
一同 (爆笑)
 あの時は一時間ぐらいお時間いただいたんですけど、「前の打ち合わせが押してるんで」っていうことで加藤さんはなかなか登場せず。「やっぱり新進気鋭のクリエイターは、そんな時間通りになんか来ないよな」というところから始まっているわけですよ。で、あの時はソファーと椅子が一個ずつあって、編成2人とプロデューサー2人と僕の5人がいた。なので、オッサン4人がソファーに一列に座ってね(笑)。
加藤 3人用のソファーに4人座ってたんですよね(笑)。
 で、加藤さんが来て「どうもどうも、遅くなりました。で、なんですか?」って話になって。そこで「こんな番組をやりたいんですけど、ご一緒できないですかねえ?」と言ったら、紙を見て「うーん、つまらないからやりたくない」って。それで5分で終わったんすよ。
――5分ですか!
 その時にお見せしたのは「芸能人が謎解きをやる姿を収録して放送する」というような企画書だったんですけど……。
加藤 どういう言葉使いだったかははっきり覚えてないですけど、「これはクイズ番組の企画じゃないですか? 僕らが今、作ってるような問題じゃないから、ちょっと違うと思います」「そういう番組なら、もっと上手に作れる人たちがいるんじゃないですか?」みたいななことを言ったんですよ。あとはもうひとつ、「どうせやるなら、テレビが新しくなるような参加型のものをやりたい」みたいなことも言いましたね。
 そうそう! あとは「我々はタレントさんに謎解きをやってもらうんじゃなくて、イベントに参加した一般のお客様に謎解きを体験をしてもらう会社なので、芸能人なんかに謎を出さないよ」って言われたんですよ。
加藤 うん。言った。
 で、みんな「ガチョーン!」ってなった。「えっ、そんなにタレントが嫌いなの?」というところから始まった……ということですよね?
加藤 うん。だって「顔がいいってだけで、ちょっと優遇されすぎだな」と思ってたから。
一同 (爆笑)
 そうそう。加藤さんって、テレビのキラキラした世界のことが嫌いでね(笑)。
加藤 劣等感というか、憎しみがありましたね。「なんであいつらは選ばれたんだろう?」「なんで僕が選ばれなかったんだろう?」っていう……。
 すごく暗ーいとこから始まってるんですよ。
――かなりの距離感ですね。
 で、「他にも何かありますか?」って聞かれたんだけど、その企画書以外は何もなかったんですよ。それで、しゃべることがなくなっちゃって。そしたら、ちょうどイベントで使ったばかりの、木の箱で謎解きをやる「謎箱」みたいなのが余っていたらしく「それ、お土産にどうぞ」って言われたんだけど……。
加藤 「あげます」って(笑)。
 「いらんがな!」って言って終わった。それが最初のプレゼンですよ。でも、悔しいじゃないですか。だって、僕たちが雁首そろえて行ったのに「お前らとはやりたくない」って言われたわけだから。それで「じゃあ、この人は何だったら面白いって思うんだろう?」って思ったんですよね。
――なるほど。
 で、「次のスケジュールをください」って言ったら、加藤さんが「そうやっていろんなテレビ局の人たちが来ては、2回目以降来なくなりましたけど」っておっしゃられて。
一同 (爆笑)
加藤 ホントに全局来たんですよ(笑)。で、みんな肩を落として帰っていって、それっきり連絡がなくなって……。「また連絡します」って言っても、一度も連絡してこなかったから。中には、当日になって「道に迷ったんで、今日は行けないです」って言われたこともありますね(苦笑)。そもそもテレビというものに対する偏見があるのに、さらにちょっと来ただけですぐに来なくなる。なんなら「来る」って言った奴も来なかったりするし。「なんだよ、こいつら!」って思っていたところに、乾さんたちが急に大人数で来たと。それに対して「いやいや、人数そろえたからって関係ないぞ」っていう気持ちが沸々と沸いたんじゃないですかね(苦笑)。
 そんな感じだった(笑)。で、次のスケジュールまでに企画書を作り直さないといけないんで、緊急企画会議をやって……。そのあと、たしか3回ぐらい行ったんですよね?
加藤 それくらい来たと思います。。
(このあと、方向性が決まるまでの紆余曲折をたっぷり聞くも、諸事情によりカット)

――で、苦労されて完成した第1回(2013年1月)では70万人近い参加者を集め、さらに第3回(2013年8月)の特番では、ついにゴールデンに進出しましたね。
 「深夜でやってた番組を、どうやってゴールデンに上げるんだ?」というときに、SCRAPさんが持ってきた謎があまりにも素晴らしかったんですよ。だって、放送の枠がちょうどサッカーの日本代表とウルグアイの試合の直後に決まっていたので、それを鑑みて「だったら、そのサッカーの試合の結果がそのまんまドラマに直結していくなんて面白くないっすか!」なんて言うんですよ! でも、テレビ側のロジックで「いや、それは作業的なことを考えるとちょっと無理なんですよ」と言ってしまったら「ですよねえ」って終わっちゃうから。「こんな面白いことができるんだったら、どのセクション、どの部署でもいいから乗り込んでいってやったほうがいいんじゃねえか」って思ったんですよね。
――あの時はサッカーの得点経過がどうなっても対応できるように、VTRを何パターンも用意されたそうですね。
 たしかドラマを30パターン以上用意しましたね。あの時の監督は英勉さんでしたけど、「0対0の時のシーン、用意、ハイ!」っていう感じで、30何パターンも役者にやらせるわけじゃないですか。普通は「そんなの、どうでもいいじぇねえか」ってなるのに、それを撮り切った英さんはすごいですよね。

当日は加藤のみzoomでの参加となった

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コロナ禍でも楽しめるレジャーを作りたかった

――スマートニュースの山田さんは、そんなTBS版の『リアル脱出ゲームTV』をご覧になっていたそうですね。
山田 はい。僕は初回から一視聴者として参加していました。で、あのサッカーの回は、その前の試合も見ていたので、奇跡的にすぐ解けて。僕、その時はまだ大学生でしたけど、「こんなすごい謎を作れる人たちと一緒に仕事をしたい」という気にさせてくれたすごい番組でした。だから、いまこの企画に関わらせていただいて、驚きの連続ですね。
――テレビ東京では、2013年の『リアル脱出ゲーム密室美少女』という番組がありましたが、今回、TBS版を制作された乾さんを中心に企画が始動することになったのはどういった流れだったのでしょうか?
山田 これは僕が言い出しっぺです。今年の2月ぐらいからコロナの影響が出始めたじゃないですか? だんだん外にも出られなくなって、ちょっと塞ぎ込んでいたときに「こういう企画がやれないだろうか?」と考え出して。で、弊社はニュースアプリの会社なので、「ニュースアプリで『脱出ゲーム』をやるにはどうしたらいいのか?」ということを整理していくところから始めました。
――具体的にはどのようなことをされたのですか?
山田 僕の部署はマーケティング、つまり「アプリをダウンロードして継続的に使ってもらうにはどうしたらいいか?」を探る仕事をしているんです。ただ、アプリを使ってニュースを見る人はすでに一定数いるというのはわかっているので「じゃあ、それ以外に何かしら能動的にアプリを使ってくれようとしている人たちを探せないか?」というのが課題で。そこから「『リアル脱出ゲーム』の人口がこれぐらいいる」みたいな数字を入れて社内向けの企画書を書いたんですけど……一発でハネられて(苦笑)。それでも諦められず、何度か書き直しをしたんですよ。そうこうしているうちに、緊急事態宣言が出て。
――4月ですね。
山田 はい。で、ある日、どうしても病院に行かないといけなくて東京駅を通ったんですけど、夜6時の八重洲口に人が1人もいなかったんですよ。この光景を見た時に「エンタメとかレジャーが死んでしまう」と思って。それで「なんとかして皆さんにレジャーを楽しんでいただく場を作らないといけない」と思って、どうにか社内で内諾をもらえるところまでこぎつけたんです。それで5月の中頃ぐらいに乾さんにご相談したんですね。
 (スマホを見ながら)いま、いただいたメールを遡って見てるんですけど……。たしかに5月ですね。
――メールではどんなやりとりをされたのですか?
山田 最初に予算感をお伺いして、「これぐらいの規模でしたよ」というご返事をいただいて、それを会社に戻して、「この額ならいけそうです!」とこちらの感触を伝えて……。で、最終的な会社からのゴーがもらえた段階で「本格的にやらせていただけないですか?」ということで、あらためて乾さんにお声かけをさせていただきました。
――乾さんは山田さんからアプローチがあった時、どのような感じで動いたのですか?
 まず「スマートニュースさんがスポンサーをされることになるんでしょうか?」「会社からOKが出たので、そういう話で進めていただいて結構です」という確認のやり取りをさせていただいて。で、山田さんから企画書をいただいてすぐに加藤さんと大映テレビの渡辺さんに共有したんですよ。その時の加藤さんからのLINEの返信が「おっ、なんかすごそう。やりたい!」って(笑)。で、僕が「イエーイ!」って返したら、加藤さんから「モテるかどうかだけが懸念だ」って。
一同 (爆笑)
 それで山田さんに「加藤さんもノッてます」と返事をして。
――今回は新たに『歴史迷宮』という設定となりましたが、これはどのように作られたのでしょうか?
 まず、予算を見た時に渡辺さんから「警察モノは無理だよ」と言われまして。で、「じゃぁ歴史モノにしよう」と言ったのは……加藤さんだっけ?
加藤 俺は「『視聴者がただ謎を解く』よりは、『視聴者が誰かに指示を出して、他人の人生に介入する』みたいな番組にしたらどうですか?」みたいなことを言ったんですよ。そしたら、渡辺さんから「バグが起こって歴史上の偉人の人生に介入する」という企画書が返ってきた。そこには「加藤さんが言ったことをテレビっぽくしました」とだけ書かれていて、それを見て俺はうなずいたと(笑)。
――TBS時代の喧々囂々のエピソードを聞いた後だとすごく感慨深いですね。
 そうですねぇ。「いっぱいケンカした甲斐があったなあ」と思いましたね。
――山田さんは「歴史モノになる」と聞いたとき、どう思いましたか?
山田 皆さんを信頼してますので、スマートニュースとしては一切口出しをしてないです。もちろん「公序良俗に反するものとかはそういうのはやめてね」というのはありますけど、基本的には「出てきたものをやります」という姿勢ですので。
 「こんなことをやろうかと思うんです」みたいな、途中経過の話も全然してないですもんね。
山田 してないです。実際、できあがった企画書が来たときも、全く問題なかったので即OKを出しました。もちろん、ちゃんと中身は見てますよ(笑)。

――新しい仕掛けの中でも特に驚いたのは、Zoomを使った出演者との秘密のオフ会です。あのアイデアはどのように思いつかれたのですか?
 順番で言うと、まず加藤さんから「前回バカリズムさんが出していたような、『一枚謎』と呼ばれる『はい、これ見て』のパターンはやりたくない」「今回はドラマの中身に謎が入っているのをやりたい」というお話があって、まずそれがひとつ。で、もうひとつは放送形態ですね。今回はテレビ東京の地上波以外にいろいろな媒体での配信があるということで、生放送で電話をつなぐみたいな仕掛けはできないというのがあったんですよ。それで「何かないのかなあ?」って考えていたときに、たまたま僕が春からBS日テレでやってるアプリを使ったクイズ番組があって。
――『Q-フェス』ですね。
 はい。スマホでクイズを解いて、全国のランキングが出て、1位の人に電話番号が送られるという仕組みの番組なんですけど。そんなのをやってたんで「謎解きの正解者にURLを送って、Zoomでミーティングみたいなのをやったらどうか」って思いついたんですよ。で、それを加藤さんに言ったら、めちゃくちゃノってきて。僕の言うことはだいたい「うーん、それはどうかなぁ?」みたいな空気なのに、そのZoomだけは「面白いじゃん、それ!」って(笑)。「ドラマの主人公と会えたりしたら最高じゃないですか!」なんて言ってくれたんですよ。
加藤 もちろんそれもあるんですけど、「正解者だけが出演者としゃべれるご褒美です」みたいに言ってたそのZoomのミーティング自体が、あとになって実際のドラマに絡んでくる、という番組上の仕掛けをやりたかったんですよ。
 そうそう。
加藤 渡辺さんが前に作っていた『SICKS』(テレビ東京・2015年)という番組があるんですけど、この番組は「ただのショートコントの寄せ集めなのかな」と思いきや、「実はコントとコントが繋がったドラマである」というのが6回目ぐらいでわかる、っていう衝撃的な仕掛けがあって。その「あとになって全部、ドラマの中で辻褄が合う」というメタ構造ががもう衝撃的だったんですけど、今回の脚本家さん(土屋亮一)がその『SICKS』と同じ方だったので「あれをやりたい!」と。なので「一見、ドラマの外のただのサービスだと思われてたものが、ドラマの中ですごく重要になってくる。そういうことができると、ドラマとして僕がすごく好きなものになります」みたいなことを一生懸命言った記憶があります。
 10分ぐらい、一人で「ああだ、こうだ」としゃべってましたよね。しまいには「『SICKS』のDVDくれよ!」みたいな話まで……。
加藤 うん、もらった。すっげえ観た。
一同 (爆笑)
 なんで、僕としては「Zoomで主人公たちとしゃべれれば、視聴者へのサービスになるじゃん」ぐらいのアイデアだったのが、加藤さんによってワアーッとなったと。「ああ、なるほど。加藤さん流の面白がり方だなあ」と思いましたね。
――さっきのサッカーの謎の時とは逆で、乾さんのアイデアを加藤さんが拾いあげたのが面白いですね。
 そうなんですよ。この番組は僕、ほぼ何もやってないんで。まあTBSの時もほとんど何もやってないんですけどね(苦笑)。加藤さんが持ってくる謎に「うーん、なんか面白くないですねぇ」って感想を言ってるだけの人なので。
加藤 乾さんが「面白くない」と言うと、みんなも「確かにそうですね」みたいな空気になるんですよ!
 あははは!
加藤 だから、乾さんに認められないと通らないんですよね(苦笑)。
 いやいや、そんなことないですよ(笑)。
山田 でも、乾さんが言うと納得感ありますよ。
 そうですか? そう言ってもらえるとありがてぇな!
山田 いやいや、ほんとに。ちなみに、今回は解答のシステムを全部スマートニュース側で作っているんですね。なので、僕がそのZoomの話を最初の全体会議の場で聞いた時には「うちのニュースアプリの中にZoomのリンクを入れるの?」みたいな感じで一瞬戸惑ったんですけど(笑)。でも、「ここまで乾さんが言っているということは、何かしらの仕掛けをするんだろう」というのを直感で理解しまして。
――直感で(笑)。
山田 はい。「こういう裏の意図がある」みたいな説明はまったくなされなかったんですよ。単純に「Zoomのリンクを入れます」としか言われなくて(苦笑)。
加藤 なんで言わないの、それを?
 お金を出してもらってるのにね(笑)。
山田 でもその場で「じゃあ、やります」と言って、すぐにシステム制作を始めました。
――では、その先の展開を知った時はどう思いましたか?
山田 それはもう「やっぱりやったか!」と思いましたよ。
 だって、加藤さんが「それ、面白いんじゃん!」ってノっちゃってたじゃん。なのにやらないと「へぇー、できないんだ。じゃあ、もうやりたくない!」って、すぐ言いだすからさ!
加藤 俺、すぐに「やめる」って言うから(キッパリ)。
一同 (爆笑)
 「加藤さんが『あっ、面白いじゃん!』ってなった時のエネルギーは、なんとか実現しないといけないな」というのは、おそらく渡辺さんとか脚本の土屋さんとか、他のみんなも感じていたと思いますよ。
加藤 土屋さんはホント素晴らしいですよね。すごく謎に寄り添ってくださるというか……。「ドラマを優先する」とか「謎を優先する」ということより、「一番高いところに行くためにはどうすればいいのか?」ということをきちんと考えてくださる。ものすごく幅広い、自由度の高い脚本家さんだなあと思います。
 土屋さんって、Zoomの会議で「今回の謎はこういうのができたらいいですね」みたいな話をすると、いつも困った顔をなさるんですよ(笑)。
加藤 でも絶対に否定しないですよね。
 そう、絶対に否定しないね! 「こうやったらできるかなぁ?」って、いつもおっしゃっていて。すごい人ですよ。
加藤 ホントにすごい人だと思いました。
――あと、今作の監督は及川拓郎さんですね。
山田 及川さんは日テレの『ザ・クイズショウ』の第1シーズンで監督をされた方なんですけど、僕はあのドラマも好きで毎回観ていました。そういう大好きだった番組を作った方々が、スタッフとしてオールスターみたいな形で集まってくださったので、「こんな奇跡ないわ!」と思いましたね。
――今回の『歴史迷宮からの脱出』の発表をしたときの、反響はいかがでしたか?
山田 まず「スマートニュースでやる」ということに、ホントに良いインパクトをもって受け入れていただいたと思います。
――スマートニュースさんがこうした映像作品と根幹の部分でコラボされることは、これまでにもあったのですか?
山田 いえ、初めてです。スマートニュースはアグリゲーションのアプリなので、基本的に編集部というものがないし、ニュースを作ったりもしないんですね。なので当然、制作にも入らないという立場でした。
――なるほど。
山田 でも、今までいろんなメディアさんと連携してニュース記事を頂戴してたわけですから、それに対して「何かしらの形で恩返しできないか?」というのは常々、話をしていたんですよ。テレビCMなんかはいろいろやらせていただいているけど、「それだけじゃなく、もっといろいろな形で皆さんと繋がることはできないか?」みたいな感じで。その一環としてタイミングよくハマったのが、今回の話でしたね。
――これまでクイズ番組にはいろいろな企業がスポンサーとして関わってきましたが、ニュースアプリの会社がこういった形で企画の立ち上げから関わられるのは、おそらく史上初ですよね。
山田 ほとんど僕の強い想いで動かしたという感じですよね。そういう意味では「会社に迷惑をかけたな」とも思ってるんですが(苦笑)。
 ……ここは笑えないところですよね?
山田 いやいや、大丈夫です(笑)。

関連記事:乾 雅人インタビュー 『QUIZ JAPAN vol.1』より抜粋

第1回の放送で前代未聞のトラブルが発生!

――このインタビューをさせていただいているのは、ちょうど第3話の放送前(10月16日)になりますが、第1話・2話が終わった段階での感触などはいかがですか?
 おっ、聞いちゃいます? これは昨日、テレビ東京の佐久間(宣行)プロデューサーが 『オールナイトニッポン』でお話していただいたネタなんですけど……。
――ぜひお願いします!
 初回は「謎を早く解けた人たちがZoomのURLに飛ぶと、そこにもう1問スペシャルな謎解きがあります」っていうサプライズ企画をご用意していたんですよ。で、その司会をやってもらうために、番組の俳優さんにテレビ東京に来ていただいてたんです。22時前ぐらいに入って、入念なリハーサルを4時間して……。で、「さあ、第1回の『歴史迷宮からの脱出』、いよいよ放送だ!」ってことで、テレビ東京の会議室にプロデューサー陣がみんな並んで、加藤さんたちともLINEで繋がって、あとは「どんな人たちが集まってくるのか確認しよう」と、先にZoomの部屋に入って待機しているスタッフもいたりして……。
――準備万端で初回のオンエアを迎えたと。
 そしたらですよ、何やらツイッターに「答えが出てる」って書き込まれていて……。
――あぁ、その話は私のタイムラインにも流れてきました。あれは答えをツイッターに書いちゃったのですか?
山田 いや、番宣をしたり、ニュースを出したりするテレビ東京のオウンドメディアですね。
 そのサイトに放送後にアップされるはずだったものが、放送開始と同時にアップされちゃって。
――解禁時間を間違えちゃったと。
 そうです。「答えが出てるってどういうこと?」ってことで、テレビ東京のメディア担当の方で「今すぐ消します!」ってなったんだけど、すでに漏れちゃってたんで。だから、ドラマの謎解きのシーンが始まった途端に300人ぐらい正解者が出ちゃった(苦笑)。加藤さんからは「1秒でこんな解けちゃっているけどなんで?」ってメッセージが来るし……。
――うわー!
 でも、Zoomには答えを見ちゃった人も、ちゃんと正解した人もどちらも入れるわけですから、誰がホントに正解した人なのか区別がつかない状況になっちゃったわけですよ。
――それは判別できないですよね……。
 なので、役者さんには4時間もリハーサルしたのにお帰りいただいて。で、番組のチーフプロデューサーの森田(昇)さんがZoomでお詫びをしたというのが初回だったんですよ。
――そんなことがあったのですね……。
 加藤さんは「まあ、しょうがないよね」って大人の対応をしてくださったんですけど。
加藤 ただ、そのZoomの件に関して言うなら、俺は「謝罪は謝罪としてすればいいけど、用意していたものはちゃんと提供するべきじゃないのか?」っていう主張はしてたんですよ。声が小さすぎて現場には届かなかったですけど。
――どういうことですか?
加藤 だって、答えを見ちゃった人に罪はないじゃないですか。たまたま目にしただけで、ズルでもなんでもないんで。むしろ「その情報にちゃんとたどり着いて正解した」という勇者じゃないですか。なので「答えを見て正解した人にも、ちゃんと用意されたコンテンツを提供するべきだった」と思ったんですよ。
 つまり「Zoomの部屋に来れた人全員に謎解きをやらせろ」ということですか?
加藤 そう。「用意されたZoomの番組をやるほうが誠実だな」と思ったんですよね。……だけど今、話を聞いてて「でも、エピソードとしては謝ったほうが面白いな」と(笑)。だから、謝罪したことについては自分の中で納得がいきましたね。
 この番組って30分番組じゃないですか。なのでワアワアしている間に、どんどん時間が過ぎていくわけですよ。1時間番組だったら「じゃあ、せっかくだから謎解きをやろうか」という判断ができたかもしれないけど……。しかも深夜なので、テレビ東京の偉い人たちにお伺いを立てておくわけにもいかず。
――あぁ、なるほど。
 だからプロデューサーに全部背負っていただいて、「すみませんでした!」とお詫びをしたと。結果的に『オールナイトニッポン』のネタにもなりまして。
加藤 最高の番宣になりましたね(笑)。
 でも、視聴者参加型のクイズ番組なのに「問題と答えが冒頭から露出した」なんて、後世に語り継がれるべき面白ネタですよ(笑)。僕のクイズ史上でも初めての経験なんで。
――私も聞いたことがないです(笑)。しかも問題が矢継ぎ早に出る番組ならともかく、たった1問しかない、まさに番組の心臓部ですからね……。
 役者さんも「しょうがないですね」って、文句も言わずにわかってくださって。まぁ、スタッフも反省してるんで、今後はこんなことはないでしょう!
(しかし、このインタビュー直後に放送された第3話で「スマートニュース側のシステムのトラブルにより解答画面に入れない」というまさかの事件が発生……)

関連記事:『SASUKE』の演出家が素人参加のクイズ番組を手がける理由 乾雅人インタビュー(前編)

視聴できない地域があることは不公平。だから同時配信にこだわった

――今回のメインキャストの3人(要潤・福本莉子・飯島寛騎)についてお聞かせください。
 要さんにあんな衣装を着せて、ロッカーから飛び出させるというのは、渡辺プロデューサーの辣腕ですよね。
山田 いろんなものが混じってますよね、あれ。
 「違う局でタイムスリップものをやっていただろうに」って感じで(笑)。で、主役の高校生役として、売れっ子のお二人に茶番にお付き合いいただいたと。「ありがたいなあ」って思いますね。
加藤 僕らは週に1回、7~8人くらいで定例会議というのをZoomでやってるんですよ。で、その中の一人の方が撮影現場から会議に出られたとき、その人の後ろをシュッと女子高生が通ったんですよ。それが主役の福本莉子さんだったんですけど、その時に「あっ、莉子ちゃんだ!」と名前を呼んだら、「わー、どうも!」って画面上でみんなに挨拶してくれて。その感じが……もうホントに可愛くて!
 わかるよ(笑)。
加藤 覚えてるもん、あの時のシルエット。Zoomだからすごい小さい画面なんだけど、まだ残像を覚えてるぐらい。しかも、見ず知らずのオッサンたちにちゃんとカメラ目線で挨拶してくれるし、そのあとも撮影の合間合間に後ろを通るたびに、パーッと手を振ってくれるし……。僕は役者さんに詳しくなくて、名前も顔も存じ上げなかったんですけど、「うわっ、そりゃ売れるわ、この子!」って。
一同 (爆笑)
加藤 心の中で「俺は謎を作ることしかできないけれども、なんかできることがあったら手伝うね!」って言いましたもん(笑)。……でも、こんなふざけた茶番に、あんなに一生懸命になってくれて。しかも見ていて気恥ずかしくなる感じも全然ないから、「素晴らしいなあ」と思いましたね。
 さすがですよね。あと、飯島さんはサウナ好きだということが発覚して、僕とずーっとサウナトークをしてる(笑)。
――乾さん、サウナお好きですもんね(笑)。
加藤 彼は先週のZoomの番組の時も素晴らしかったですね。
 飯島さんには役を背負ってZoomに出ていただいたんだけど、素晴らしかったよね。
――番組で演じる「江畑伶人」としてZoomにも出られたのですね。
 そう。第2話の時は飯島さんにそういうていでやっていただいて。第3話は福本莉子さんに同じようにやっていただくと(※第3話のZoom会議はシステムトラブルにより、正解者ではなく先着1000名を対象に行われた)。
――まもなく最終回を迎えますが、見どころを教えていただけますでしょうか。
 ネタバレを避けて話すとすると……。「Zoomがどう活きてくるのでしょうか?」という感じですかね?
加藤 ですねえ。
山田 あとは「我々の歴史はいったいどうなってしまうんでしょう?」ということですかね。いろいろひっくり返りますから。
 まあ、「SCRAPが作った謎に乞うご期待!」ということで。
加藤 ……いま思い出したんだけど、今回の最終の謎っていうのは、テレビの向こう側の世界をぼんやり眺めているのではなく、現実とテレビの向こう側の世界がきちんとリンクしているんですよ。観ている人がまさに参加者になれるような謎だと思うし、物語もそれをちゃんと支えてくれてるので。だから、ホントに新しいし、観ていて初めての感覚になる素晴らしい最終回だと思います。
――それは楽しみです! それにしても、加藤さんはブレないですよね。「今まで誰も見たことないものをやらないと意味がない」というのは、TBS時代から変わらないですし。
 だって、テレビに恨みがありますもんね!
加藤 (深くうなずく)
山田 強くうなずかないでくださいよ(笑)。
加藤 でも、「テレビが今までやってこなかったことはなんだろう?」っていうのは、僕だけじゃなくチームの中で何度も話し合われたことですし、「テレビを使った新しい遊びとはなんなのか?」っていうキーワードはずっと考えてもいたものなので。だから、くだらないアイデアも山ほど出たんですよ。「役者さんが一人、こっそり入れ替わっている」とか「照明さんが時々映り込んじゃう」とか(笑)。
 加藤さんって、Zoomでホントに適当なことばっかり言うのよ! だから、ある時「思いついたことばっかりしゃべるな!」って言ったんですよ。そうしたら「俺は全部思いつきで仕事してるんだ!」つってキレて。
――それは名言ですね(笑)。
 で、「うちの会社を否定するな!」ってことで大ケンカが始まるという。
加藤 でもさ、アイデアを出すために呼ばれてるのに「思いつきでしゃべるな!」と言われても。
 あー、面白い(笑)。そういうZoomの会議をやってるんですよ。
――でも、そうやって大人が本気でケンカして、本気で言い合っているからこそ、こんな面白いものができるんですね。
 そうそう。……って言っても、Zoomの会議で揉めているのは僕と加藤さんと渡辺さんだけなんだけど(笑)。まぁ、テレビが嫌いな人たちと毎週テレビについて話すっていうのは、なかなかないんで面白いですよね。特に「否定から入る」っていうのが面白いんですよ。
山田 スマートニュースとしてはスマホアプリにもかかわらずテレビに遊び場を作っていただいて。しかも、それをテレビだけではなく、いろんなところで展開してくださるというのは、僕らとしてはめちゃくちゃありがたい話で。こんな作品をこのタイミングで作れたのは、ほんとにラッキーだったなと思います。
――「いろんな展開」といえば、今回TVerで地上波と同時に配信されるのはすごいですよね。全国どこに住んでいてもリアルタイムに楽しめますからね。
山田 そうなんです。リアルタイム性を考えたとき、視聴できるエリアが限られているのは不公平ですからね。
 そこはテレビ東京さんが頑張ってくださってね。
山田 ちょうどTVerさんが地上波の同時配信みたいなのを始めるタイミングだったので、そこに上手く乗っけていただいたという感じですね。
――これからどんどん同時配信されるような時代になると思いますが、いい前例を作ったということになるのでしょうね。地上波だと、どうしてもカバレッジエリア(電波の送受信が可能な地域の範囲)の問題がありますから。
 そうそう、そういうことです。最初にお話をいただいた時に「BSでやる」って考えたのはそこなんですよ。BSだと日本中で観れますからね。
山田 この遊びを享受できない人間がいるのはもったいないですよ!
 あと、コロナもあったんで、SCRAPのイベントに行けない人たちもいっぱいいたわけですよ。だから「せめてテレビでSCRAPの謎を楽しんでいただきたい」というのももちろんあって。ねえ、加藤さん?
加藤 そうですね。……でも、すごい反響ありましたよ。「やってくれてありがとう!」って。あとは「『リアル脱出ゲームTV』が帰ってきた!」みたいな書き込みもすごいありました。SCRAPのお客さんは、この番組のことをすごく温かく迎えてくれたなという気はしますね。
 うん。ありがたいですね。
加藤 ありがたいです。
――それでは、後半の展開を楽しみにしています!

【番組概要】
ドラマ25「歴史迷宮からの脱出 ~リアル脱出ゲーム×テレビ東京~」
テレビ東京ほか / 毎週金曜深夜0時52分~1時23分
【出演】 福本莉子 飯島寛騎 要潤

【第6話(11月6日放送)あらすじ】
純(福本莉子)と江畑(飯島寛騎)は、謎の男・ハーデスが何かしらの目的で謎解きマスターたちを集めているという事実を知る。いつもはロッカーの中からタイムスリップしてやってくるビル・フジタ(要潤)は未来に戻ったままなかなか現れず…。すると突然、いたるところに謎が現れ、純と江畑のいる現代は大混乱! 世界を救う為、謎を解読しようとする2人だったが普段と様子が異なる人々に振り回され…。果たして2人は世界を救うことができるのか! 謎の男・ハーデスの正体とは!? そして、純と江畑の行く末はいかに!?

【配信情報】
テレビ東京ドラマ25「歴史迷宮からの脱出 ~リアル脱出ゲーム×テレビ東京~」は、
動画配信サービス『TVer』『ネットもテレ東』にて同時配信を行っております。
さらに、『ひかりTV』『Paravi』では放送直後にご覧いただけます。

【番組公式HP】 https://www.tv-tokyo.co.jp/escape/
【番組公式Twitter】 @tx_escape  https://twitter.com/tx_escape

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