『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』公式twitter(@tvasahi_qsama)より
「今まで出た中で一番嫌な番組かもしれない」
以前、そのように語っていた東大OBのクイズプレイヤー、伊沢拓司が1年8か月ぶりに参戦。
6月24日放送の『Qさま!!』(テレビ朝日系列)は「本当に強い戦国武将ベスト15&大反響KESHiMASで激突!3時間スペシャル」。
今回の出演者は17名で、過去最高である17段のらせん階段が用意された。高所恐怖症の伊沢、大丈夫か。
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『Qさま!!』はめちゃくちゃ難しいと語る伊沢
約2年前、伊沢は自身が運営するウェブメディア「QuizKnock」にて『Qさま!!』対策を語っていた。
「(らせん階段では)とにかく誤答はしない。ペナルティで2段下がるということは他が上がるということだし、さらに問題も続くのでヒントを与えることにもなる」
「インタビュークイズのように徐々にヒントが出てくる問題は勘でいってしまうと危ない」
「その代わり一枚絵がバーンと出るような問題は落とさずに確実に押していきたい」
また、形式に慣れているレギュラーの芸能人は本当に強い、とも。
『Qさま!!』の問題は非常に練られており、全く読めないため難しいと話す伊沢。さらに自身は高所恐怖症なので、らせん階段を上り下りするプレッシャーからメンタルコントロールが難しく、思いがけないミスを犯してしまうとのことだった。
それでも、対策がとても難しいだけにすごく楽しいと語る伊沢が、今回1年8か月ぶりに『Qさま!!』に参戦した。
今日19時から!久々だ! https://t.co/oijHDowuqG
— 伊沢拓司 (@tax_i_) 2019年6月24日
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頂上が霞むほどの巨大らせん階段登場
『Qさま!!』ではおなじみの形式。クジで決めた順に1段目から17段目(頂上)まで出演者が並び、一斉に早押しクイズを行う。
司会者の1人、さまぁ~ず大竹も「ここから上段の人の表情が見えない」とらせん階段の巨大さを表現。
今回は、歴史学者や日本史の先生など「歴史のプロ」の方々が選んだ「本当に強い戦国武将ベスト15」を下位からランキング形式で発表しつつ、それに関連したクイズが出題される。
間違えば2段降りなければならず、正解すれば3段登ることができる。
何もしなくても他者の誤答により上段に行けることもあるので、まさしく伊沢が言っていた「誤答はしない」が肝になってくる。それだけに、特に初めての出演者は誤答の恐怖からなかなかボタンを押せない。
第1問目は戦国武将について街の人に聞いてみるインタビュークイズ。
伊沢が「勘で行ってしまうと危ない」と言うように、皆慎重にインタビュー映像を見ていく。
大崎八幡宮を建てたというヒントで、レギュラー陣のカズレーサーが「伊達政宗」と正解。
「統率力」「知力」「政治力」「個の武力」「人望」のレーダーチャートから分析された、歴史のプロが選ぶランキングは、私たちの感覚と少し違う場合もある。そのため「伊達政宗はもっと上の順位だと思っていた」とのカズレーザーの言葉通り、先入観を持ってしまうと躊躇し、早いポイントで押せなくなるのだ。
今回のテーマは戦国武将だが、それに関連した問題では、地理や国語の知識も必要となる。
次の映像問題は「伊達政宗が交流していたこの国はどこ?」
「支倉常長の銅像がある」のヒントで伊沢がメキシコと答え不正解。続く「世界遺産の要塞がある」のヒントでは現役東大生の猪俣大輝がスペインと答え不正解。その後さらにいくつかヒントが出てから、石原良純が正解のキューバを導き出した。
実は、伊達政宗が家臣の支倉常長を遣欧使節として派遣したのは「メキシコ」「キューバ」「スペイン」の順。伊沢と猪俣は歴史の知識があったために惜しい誤答をしていたが、そこに地理の知識が加われば、早い段階で正解を導き出せる問題だった。
伊沢は自らが話していた「徐々にヒントが出るような問題は勘でいってしまうと危ない」にハマってしまった。
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プレッシャーに打ち勝てるかが勝敗のカギ
形式に慣れており、かつ知識もあるカズレーサーや石原良純はわかる問題を確実に取り、下位から上位にじわじわと攻めあがってくる。逆に初登場の芸人TAWASHIやフリーアナウンサーの森山るりは、果敢にボタンを押すものの誤答が続き自爆。伊沢が言うように、戦い方を知っている者、慣れてない者の差が如実に表れる結果となった。行けるタイミング、待った方がいいタイミングの精査が勝敗を分ける。関西ジャニーズjr内ユニットAぇ!groupのメンバーで現役国公立大学生の福本大晴も、イケメンらしからぬ一発ギャグで存在感を示すも、緊張からかここまでなかなかボタンを押すことができないでいた。
そんな中、志垣太郎を父に持ち、独特のキャラが際立つタレントの匠が、MENSA監修のなぞかけ問題に正解し、一気に10段UP。
問題「北条時宗とかけて漫画家ととく。どちらも〇〇〇〇に立ち向かいます」
正解「げんこう(元寇/原稿)」
歴史の知識に加え、ひらめきが必要な問題だが、初登場とは思えない果敢な攻めで正解をもぎとる。17人もいると爪痕を残すだけでも大変だが、大金星であった。
乃木坂46イチの歴女・山崎伶奈はプレッシャーがあったのかうっかりミスをしてしまう。
悔しい気持ちを表す2つの四字熟語を「汚名返上」と「雪辱をはらす」で誤答。「誤答は他者へのヒントになる」と話していた伊沢が、すかさず「雪辱を“果たす”」と言い直し正解。きょとんとした表情をしていた山崎だったが、冷静になれば正解を出せる問題だっただろう。
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前回好評だった「プレッシャーマスドリル」「漢字ケシマス」再び
上位10名と敗者復活の2名をあわせた12名が2つのチームに分かれて次のラウンドへ。
「プレッシャーマスドリル」は前回に続き2度目の形式。7問ワンセットの問題を6人のチームメイトが順番に解答するクイズで答えがわからない場合、チームメイトから1文字分のヒント「助けマス」をもらうことができる。1問でつかえる「助けマス」は3枚。
伊沢率いる青チームと、カズレーザー率いる赤チームで戦う団体戦。負けたチームは全員脱落となるため、さらにプレッシャーがのしかかる。
まずは「夏が旬の魚介類」の漢字の読み方を答える問題。
さすがここまで勝ち残ったメンバー。序盤では「助けマス」を使わず、アンカーの超難問で匠が伊沢へ「助けマス」でヒントを出し、青チームはパーフェクト達成。赤チームもアンカーのカズレーザーが石原良純から「助けマス」をもらい、難読漢字「老海鼠(ほや)」を正解。しかしラストの「止比呼(とびうお)」が読めずに時間切れ。「と〇う〇」と2文字の「助けマス」をもらっていたにも関わらず、“夏が旬の魚介類”ということにしばられ、食べられると思っていなかった「とびうお」という答えが出てこなかったのだった。
2問目の「世界一○○な生物の名前」は両チームともにパーフェクト達成。序盤で「助けマス」を2枚も使ってしまい一瞬ヒヤリとした青チームだったが、結果、現役東大生猪俣からの「助けマス」でひらめいた東大OBの伊沢が、世界最速の魚類「バショウカジキ」を正解した。結果「プレッシャーマスドリル」は2問ともパーフェクトを達成した青チームの勝利となった。
#Qさま ありがとうございました!
過去悔しい負け方をしているだけに数年ぶりの出番で気合十分。常に集中をキープできてかなり良い戦いができました!
チーム戦も若手男子4人たまたま楽屋が同じで、アツく戦えました!次は問題を引き寄せるほんの少しのラックだけ!
今回は満足!また更に研究! pic.twitter.com/NPopCUwdgc— 伊沢拓司 (@tax_i_) 2019年6月24日
前回SNSで「楽しい!」「感動した」「アプリでやりたい」と高評価だった形式「漢字ケシマス」が再登場。
ルールはこちら→(https://quizjapan.com/?p=6956)
途中で消し方を間違えるとマスが残ってしまい、パーフェクトが達成できないため、こちらも団体戦のプレッシャーがかかるが、さすが前回の経験者も多かったこの形式。先読みが必要な難解なルールをものともせず、次々とパーフェクトを達成。
しかし、これまで活躍していた青チームの匠が「未曾有(みぞう)」を消さなければならなかったところを「未(いまだ)」を消してしまい、最後に数マス残ってしまう。これによりカズレーザー率いる赤チームが勝利し、総合得点が高かった赤チームが次のステージへ。
1年8か月ぶりに参戦した伊沢は残念ながらここで敗退となった。
『Qさま!!』3時間スペシャル。
今まででいちばん巨大な螺旋階段(17段)、戦国武将の歴史クイズの分かりやすい解説から、派生の国語や動物問題、そして話題の「漢字ケシマス」クイズと盛り沢山!収録後に伊沢とケシマスの奥深さについて分析しました。「あれってさぁ…」「…ですよね!」 #Qさま pic.twitter.com/G8Yhb8s95O— 日高大介 (@hdkdisk) 2019年6月24日
果敢にチャレンジする18歳の勇気が勝負を分ける
引き続き「本当に強い戦国武将ベスト15」のランキングに戻り、カズレーザー、石原良純、伊集院光、堀江貴文、現役東大生小高碧、関西ジャニーズjrの福本大晴で決勝戦。
ここまで回答権は取るものの、とっさに答えが出てこないなど、勢いはあるがミスが続いた小高が、勝負に出た押しを披露する。
本当に強い戦国武将の1位は武田信玄。その武田信玄にまつわる問題で小高が活躍。
「古代に世界の戦で使われたある動物」を答えるモザイク問題では、開始3秒ほどのほとんど見えてない状態で「象」と正解。象と牛とでヤマをはっており、モザイクが全体的に灰色だったので押した、と。小高の超ファインプレーであった。
勢いで押してしまうことからの失敗が続くと、なかなかボタンに手が出なくなるものだが、まだ18歳ゆえかそれでも恐れずにバンバンボタンを押しまくる小高。それがこのステージでは結果につながり、上位3名に食い込むことが出きた。
伊沢も話していた「誤答への恐怖」をあまりに意識してしまうと、途中までは行けるが上位には行けない。ここぞというところでは勝負をかけなくてはならない。そのことをあらためて教えてくれたのがこのステージの小高だった。
最終ステージは上位3名の、カズレーザー、石原良純、小高碧が1人ずつ行う「漢字ケシマス」だったが、全員失敗。100万円獲得とはならなかった。
基礎となる知識、誤答をしない慎重さ、しかしここぞというときは誤答を恐れず行く、そんな度胸が試される『Qさま!!』は今更だが奥深いクイズ番組だと感じる。完璧ともいえる対策を語っていた伊沢でさえもプレッシャーから押し遅れたり、団体戦に勝てなかったりもする。
そのあたりを考えると、渾身の一発ギャグで2度スベり、それでも果敢にチャレンジして見事3度目でウケを取った福本大晴は、失敗を恐れなかった小高とも重なり、これからクイズの方でも大化けする可能性があるのではないかと感じた今回の3時間スペシャルであった。
『Qさま!! ~本当に強い戦国武将ベスト15&大反響KESHiMASで激突!3時間スペシャル」(テレビ朝日系列:6月24日放送)
解答者(五十音順)
伊沢拓司、石原良純、伊集院光、猪俣大輝、小髙碧、カズレーザー、斎藤ちはる、下村彩里、高橋英樹、匠、TAWASHI、弘中綾香、福本大晴、堀江貴文、森山るり、山崎玲奈(乃木坂46)、わちみなみ
【ライタープロフィール】
海辺 暁子(かいべ あきこ)
3年間の上海勤務を2019年4月で終え、中国が大好きに。現在ロス中で、未だにYouTubeでなく現地の動画サイト(bilibiliやyouku)を視聴。クイズは昔から観る専門ですが、やってみたい気持ちも実は少々あったりします。