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『アタック25』最終回。史上最強のチャンピオンを決める最後の「アタックチャンス」

2021年9月26日、ついに『アタック25』が46年の歴史に幕を下ろした。1時間スペシャルとなった最終回は、「史上最強のチャンピオン決定戦」を開催。過去にトップ賞を獲得した人限定で予選会が行われ、東日本代表6名、西日本代表6名がスタジオに集結。最後のチャンピオンになるのは、一体誰なのか?

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予選ラウンド東日本ブロック:全員リーチの大接戦

「史上最強のチャンピオン決定戦」は、予選ラウンドからスタート。まずは東日本ブロック6人で早押しクイズを行い、4問を先取した2名が決勝ラウンドに進出する。さらに西日本ブロックでも同様の対決を行い、赤・緑・青・白の席に座る4人を決める。ただし、2問を間違えた時点で退場だ。

東日本ブロック代表は、「クイズの伝道師」日髙大介、「元祖クイズ女王」石野まゆみ、「大学クイズ研究会のエース」倉門怜央、「30周年記念のクイズ王」布川尚之、「成長を続ける若きエリート」大美賀祐貴、「日本クイズ協会代表理事」齊藤喜徳の6名。

名だたる猛者が揃うが、出題も一筋縄ではいかない。ストレートに聞いてくる問題もあれば、変化をつけてくる問題もあり、その緩急を読み切るのが難しい。

例えば4問目。「今から300年前の1721年、庶民の要望や不満を受け付/ける」で日高が「目安箱」を答えるが、これは不正解。出題は「~不満を受け付ける目安箱が設置されました。これは江戸時代に徳川吉宗が行った何という改革の一環でしょう?」と続く。目安箱でも徳川吉宗でもなく「享保の改革」を答えされる問題なのだ。

最後まで聞かないと確定できない、かといって勝負をかけないと猛者たちに勝てない。その結果不正解になれば、あと1×で脱落となるプレッシャーもかかる。果敢に攻めた布川が長文問題に足を取られ脱落し、その後は5人が拮抗。全員が3ポイントのリーチで並ぶという大接戦に。

ここで動いたのが倉門。「国民年金が支払われるのが原則として偶/数」で押し、「偶数月」と解答。「偶数月・奇数月のどちらでしょう?」という二択問題を読み切り、見事決勝進出を決める。

最後の1枠。大美賀が脱落し、残りは日高・石野・斎藤の3名。「東京オリンピック2020のフェンシング男子団体/で」でランプが点いたのは日高。コールした「エペ」で正解し、「やったー!」とガッツポーズ。出題は「~男子団体で金メダルを獲得したのは、フルーレ・エペ・サーブルのうちどれでしょう」と続いていた。これで赤・倉門怜央、緑・日髙大介が決定する。


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予選ラウンド西日本ブロック:脱落のプレッシャーに打ち勝つ

予選ラウンド西日本ブロック代表は、「クイズ界の桃太郎」國光恭幸、「最速早押しマスター」網盛健、「微笑みの女帝」山内奈緒子、「パーフェクトクイーン」青木紀美江、「九州イチの実力者」西山敬太、「アタック25を愛し過ぎる男」安本健太郎の6名。

東日本ブロックの激闘を目の当たりにしたからか、序盤から早めに仕掛ける者が多い。だが素早い攻めには代償が伴い、中盤で6人中5人に1×がつく展開。その後、西山・網盛が脱落し、安本・山内・國光がリーチで並んだ。続く出題、「先ごろ大相撲の荒磯親方が田子ノ浦部屋から独立し、新たな部屋を設けました。では、荒磯親方の現役/時代」で押したのは國光。途中で「荒磯部屋」と答えたくなるところを粘り、「稀勢の里」を答え決勝ラウンドに駒を進める。

安本・山内がリーチのまま残り1枠。「三択の問題です。徳川光圀によって編纂が始められた『大日本史』は、およそ何年かかって完成したでしょう。150年/」で安本にランプが点く。「250年」で正解し、「よーし!!」と力強くガッツポーズ。プレッシャーから解き放たれた開放感を爆発させ、最後の青の席に座った。

これで決勝ラウンドを戦うのは、赤・倉門怜央、緑・日髙大介、白・國光恭幸、青・安本健太郎の4人。最年少21歳の倉門が「若さを活かして勝ち上がりたい」と話せば、日高も「小中学生から憧れのクイズ女王、クイズ王の胸をお借りしてここまできた」と敗者の思いも背負う。20世紀最後の年間チャンピオンである國光は「21世紀のチャンピオンになりたい」と意気込み、安本は「これで終わってしまうのかと思うと……」とファンの気持ちを代弁する。

これで最後となる、パネルの奪い合いが始まった。


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決勝ラウンド:緑・日高の猛攻

1問目は都市を当てる映像問題。『アタック25』ゆかりの「パリ」を正解した安本が、13番に青を灯す。4問目の読み上げ問題から、猛チャージを仕掛けたのは緑の日高だった。「秋桜(あきざくら)とも言う/」で「キク科」、「円形の陶器を作るときに用いる道/具」で「車へん(轆轤)」を読み切り、谷原章介も「さすが作問者!」とうなる。

11問目を終えた時点で9枚とリードしていた日高だが、12問目でお手つき。その間に、5番の角を押さえていた白の國光がジワジワと右側を埋めていく。その後、青の安本、赤の倉門も正解を重ね、18問目を終えて赤5枚、緑8枚、白4枚、青1枚という状態。19問目「カナダ南東部からアメリカのアラバマ州まで伸びる/」では、日高が「アパラチア山脈」を正解。21番の角に入れるところ、日髙が選んだのは16番。谷原章介も思わず「ほぉ~なるほど、そっちからいく?」というリアクションをしたところからも、珍しい一手だったといえよう。

アタックチャンスまで残り1問。ここも日高が「ビリヤニ」を正解し、20番に飛び込む。1番から20番までの上4段がパネルで埋まり、赤2枚、緑16枚、白2枚、青0枚と、この時点で緑の日高が圧勝。だが『アタック25』の醍醐味はここから。アタックチャンスで全てがひっくり返る場面は、これまで幾度となくあった。赤の倉門は「前回優勝したときもアタックチャンスをうまく活かして勝てたので」と話し、青の安本も「アタック25の歴史は逆転の歴史」と前のめりだ。

勝負はこれから。谷原章介がカメラに向けて拳を握り、番組最後となる「アタックチャンス」をコールした。


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アタックチャンス!最後まで気が抜けない戦い。

全員が揃ってのアタックチャンス。「この番組のタイトルは『パネルクイズ アタック25』。では、原子番号/」で全員が押し、緑の日高が押し勝った。だがコールした「ニッケル」は、無情にも不正解のブザー(正解は「マンガン」)。この場面で2問休みになる。

仕切り直して、再度アタックチャンス。「独占禁止法を運用するために/設」で押したのは安本。「公正取引委員会」と答えるが、これも不正解。問題は「~設置された機関、公正取引委員会は委員長と委員で構成されていますが、その数は全部で何人でしょう?」と続いていた(正解は「5人」)。

赤の倉門と白の國光による、3度目のアタックチャンス。「文化遺産保護に関わる国際的な非政府組織である、国際記念物遺跡会/議」で赤の倉門にランプが点く。倉門「ICOMOS(イコモス)」に、谷原章介は「おみごと!」と声をあげた。倉門はまず21番の角に飛び込み、アタックチャンスの狙い目に、緑の“三角形”の頂点である1番を指定。これで全員に逆転のチャンスが生まれる。

緑の日高が席に戻り、赤緑白によるアタックチャンス後の大事な1問。「日本郵便が取り扱っているサービスのひとつで、世界120以上の国や地/域」で押したのは赤の倉門。この局面で「EMS」を正解! ガッツポーズのあと、胸を押さえて深呼吸。「赤何番?」の呼びかけに、もちろん「1番」をコール。6番、11番、16番、7番が赤に染まり、緑の牙城が崩れていく。さらに倉門は次の問題も正解し、25番の角に飛び込んだ。

アタックチャンスから赤の3問連続正解で、赤12枚、緑8枚、白2枚、青0枚と赤が逆転。残ったパネルは22~24番までの3枚で、トップの可能性が残っているのは赤と緑のみ。しかし、ここで青の安本が意地を見せ、23番に青を灯す。トップは変わらず赤。緑が勝つには、残る22番と24番を2つとも取らねばならない。ここが勝負どころ。

問題。「チャイコフスキー作曲のバレエ『くるみ割り人形』で、おもちゃの/」で、アタックチャンス以降初めて、緑の日高にランプが点いた。「クララ」と発した解答は……不正解。鳴り響くブザーに日高は「あー!」と天を仰ぐ。(問題の続きは「~おもちゃの兵隊が真夜中に戦う動物は何でしょう?」。正解は「ねずみ」)

日高が立ち、赤白青で続行。「正多角形のうち辺の数と/」で青の安本が「正五角形」を当て、24番に飛び込む(問題の全文は「正多角形のうち辺の数と対角線の数が等しいのは?」)。残り1枚。早押し最後の問題は「小説などの始まりの部分をプロローグ/」で、ここも青の安本にランプが点灯。正解は「エピローグ」だった。

まさにアタック25のエピローグ。ラストコールは「22番」。赤12枚、緑8枚、白2枚、青3枚で、「史上最強のチャンピオン」は赤・倉門怜央に決まった!

終わり、そして始まる

倉門はチャンピオンになった喜びを口にすると共に、「最後にあと1問、まだ答え切れていない問題が残っているので、絶対に正解したい」と意気込む。谷原章介も「このアタック25の最後の問題、後悔のないよう、やりきって下さい」と運命を託した。出題は「ある人物の名前」。12枚の赤パネルがオープンする。

映像スタート。ファーストカットはビャンビャン麺のアップから。地図上で中国が統一されるアニメーション、兵馬俑、漫画『キングダム』の表紙、そして本人の肖像画。「その人物の名前とは?」の問いに、倉門は「秦の始皇帝」と答え……。

「おみごと!」谷原章介の声がこだまする。うなずき、両手の拳を握る倉門。解答席と控え席にいるクイズレジェンドたちから、最年少21歳に惜しみない拍手が送られた。トロフィーの授与を経て、谷原章介はテレビの前に視聴者に語りかけた。

「パネルクイズアタック25、46年間本当にありがとうございました。クイズを愛する皆さんの熱い思いは永遠です。皆さまこれからも、クイズを愛し続けてください」

4人の戦いは「エピローグ」で決着し、最後のチャンピオンが発した「始皇帝」で番組は幕を閉じた。歴史は終わり、また始まる。46年の歴史を紡いだ『アタック25』の、最後の矜持を感じた終わりかただった。

【概要】
『パネルクイズアタック25』最終回1時間スペシャル 史上最強のチャンピオン決定戦!
放送日時:2021年9月26日(日)午後0:55~1:55(全国ネット)
司会:谷原章介
出題:加藤明子(ABCテレビアナウンサー)
出場者:東日本代表(日髙大介、石野まゆみ、倉門怜央、布川尚之、大美賀祐貴、齊藤喜徳)/西日本代表(國光恭幸、網盛健、山内奈緒子、青木紀美江、西山敬太、安本健太郎)

番組公式サイト
https://www.asahi.co.jp/attack25/

【ライタープロフィール】井上マサキ
路線図マニアでテレビっ子のライター。『99人の壁』でグランドスラム達成(ジャンル「路線図」)。著書に『たのしい路線図』。宮城県出身。二児の父。
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