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放送枠が拡大し一問多答や近似値クイズも登場! 『パネルクイズ アタック25 Next』初回放送を終えて(谷原章介&沢木美佳子コメントあり)

2022年3月27日(日)、新たなテレビ局・BSJapanextが開局した。BSJapanextは株式会社ジャパネットホールディングスの子会社である株式会社ジャパネットブロードキャスティングによる放送局。記念すべき開局初日には正午より、東京・中央区の新川に設けられたスタジオから特別番組『はじめまして、BSJapanextです! 出演者大集合! 11時間生放送スペシャル』(以下『11時間生放送』)が放送された。

『11時間生放送』は福澤朗・大橋未歩による進行のもと、スタジオのあるビルや、これから始まるレギュラー番組を紹介していく生放送の特番だが、この番組の中でクイズファンが注目したのはもちろん、昨年9月に地上波での放送を終えたものの、半年のインターバルを経て復活を果たすことになった『パネルクイズ アタック25』がどのように扱われるかだろう。

46年間にわたり朝日放送の顔として親しまれた国民的クイズ番組が、なんとBS、それもテレビ朝日系列ではなく、新たに開局するBS局で復活するというニュースには各方面から驚きの声が上がった。しかも司会は谷原章介が継続し、問題読みは沢木美佳子が13年ぶりに再登板。大阪にあったスタジオセットこそ東京のスタジオに移動したものの、番組制作は地上波版を制作していたABCリブラが引き続き制作を担当するという、まさに可能な限りオリジナルを尊重する形での今回の復活劇。これらの情報だけでもクイズファンの胸はいっぱいだと思われるが、実際の内容はどうだったのだろうか? さっそく初回放送のレポートをしていきたい。

12時に『11時間生放送』の幕が開ける。冠番組を持つタレントの面々が次々と紹介される中、『林家三平のおきらく旅』のMCを務める林家三平がビル内を探索していると、4Fの控え室フロアに「アタック25 MC打ち合わせ部屋」という張り紙が。実はこの部屋では、『アタック25』のスタッフ・MC・問題読みが入念に問題や進行の打ち合わせを行っているタイミングだった。そこに林家三平がお邪魔しようとするも、プロデューサーに制止されるという一幕が映し出される。ちょっとしたおもしろシーンだが、『アタック25』の鉄壁のセキュリティを垣間見ることができる一幕だったのではないか。

その後、メインのスタジオで総合司会の福澤・大橋により各番組が紹介されていくなかで、『アタック25』の放送直前の谷原が登場。谷原・福澤というクイズ番組の名司会者による、夢のコラボが実現した。『アタック25』のファンだという福澤は、放送前に解答席に座ってみたそうで、「(ほかの番組のセットは)見た目はいいけど座ると膝がぶつかったり足の置き場がなかったりするんですけど、(『アタック』の解答席は)居住性が抜群!」と絶賛。また、早押しボタンが左右2か所にあることに驚いたという(これは出場者が、どちらが利き手であっても押しやすいよう配慮した、朝日放送テレビの美術スタッフの思いやりの賜物だろう)。また、福澤からは「生放送ということは、構成作家さんも普段より多くの問題を用意されてるんじゃないですか?」と『アメリカ横断ウルトラクイズ』『高校生クイズ』のロケ現場を経験してきたからこそできる鋭い質問も飛び出すなど、短い時間ではあったが、クイズファンにとってはたまらない夢のクロストークであった。

13時、いよいよ『パネルクイズ アタック25 Next』の「復活生放送スペシャル」がスタート。

記念すべき出場者は、谷原曰く「『アタック25』の46年の歴史の中でも選りすぐりの方」というレジェンドたち。その顔ぶれはというと……(全員文中敬称略)。

赤の高野晶人(福岡県)は1984年・1997年・2004年・2005年と過去4回出場(2005年は年間チャンピオン大会)し、全てトップ賞に輝いている。しかも、番組史上最多通算パネル獲得枚数(74枚)の記録も保持している、知る人ぞ知るツワモノだ。

緑の日髙圭子(東京都)は1994年と1999年に出場するも惨敗。その後、クイズを鍛えてもらって2005年に念願のトップ賞を獲得するのだが、実はそのクイズを鍛えた人物こそが夫であり、『アタック25』地上波版最終回の準優勝者でもあるクイズ作家の日髙大介という、まさに夫婦で『アタック25』に縁のある出場者。

白の松本順司(三重県)は大学生だった1990年に24枚で優勝し、その年の年間チャンピオン大会ではパーフェクトを達成。年間チャンピオン大会でのパーフェクト達成は、長い歴史の中でも2人しかいない偉業だ(もうひとりは1986年の青木紀美江)。

青の御手洗伸(東京都)は2009年に高校生大会でパーフェクトを達成。これは長い番組の歴史の中でも史上最年少記録だ。その後、東京大学に進学し、現在は弁護士として活躍している。

以上4名、番組のレコードホルダー、地上波版の最終回で獅子奮迅の活躍をみせたプレイヤーの妻など、番組の復活を記念するスペシャルにふさわしいメンバーが揃ったといえるだろう。

いざクイズがスタートすると、前半は白の松本が独走、「1」「21」の2つの角を抑え圧倒的に有利な展開に。しかしアタックチャンスの直前に白が誤答休みとなり、白以外の3名でアタックチャンスに突入する。赤・緑が誤答し、白が復帰して迎えた3問目。

「松や杉などのように、風の力で花粉が運ばれ/て……」

青・御手洗が「風媒花」を見事正解! これに焦ったか、白・松本は誤答を繰り返し、その間隙を突く形で青の御手洗がパネルを増やし、一時は白と青が同点(ともに10枚)になるまで猛追したものの、最後は白・松本が4つの角すべてを獲得。最終的に18枚の大量得点でゲームセットとなった。

優勝者の松本には、トップ賞として「キャスター付きスーツケース(バッグのACE)」「ダイヤモンドペンダント(ダイヤモンド大北)」「電解水素水生成器(フジ医療器)」などの豪華な賞品がズラリ! また、敗れた3名にも参加賞として「長財布・小銭入れ・ベルトの3点セット(プレリーシミズ)」「天然の本マグロ(ヤマコ武田商店グループ)」が贈られた(カッコ内は提供社)。

最後はもちろん『アタック25』名物の旅行当てクイズ。復活版『アタック25』で挑戦するのは「MSCクルーズで行く日本一周クルーズ10日間の旅」! 記念すべき復活第1回で出題された人物は「渋沢栄一」。日本史が大得意の松本はこれを難なく正解し、見事「日本一周クルーズ」最初の獲得者となった。

番組史上初の生放送ということに対し、谷原は福澤とのトークで「システム上のトラブル」や「正誤の審議」が起こるかもしれないと不安を語っていたのだが、本番ではそのような事態は一切発生しなかった。これは出場者が手練れぞろいで、クイズの解答やパネルを獲る手順が非常にスムーズだったこともあるが、谷原の司会者としての力量も大きかっただろう。特に、複雑な終盤のパネルの枚数の読みも的確に捕捉する谷原の卓越したMC力に驚かれた視聴者も多かったのではないだろうか。これまでの編集された通常回ではなかなか実感できなかった細かな部分がじっくり堪能できた至福の1時間となった。

最後に、放送時間が1時間に拡大したことによって生じた変化にも触れておこう。30分枠で放送されていた地上波版の『アタック25』と比べると、大きく変わったのは「クイズ形式の増加」だ。「一問多答形式(漫画『おそ松くん』に登場する6つ子を全て答える問題)」「フリップに書く近似値クイズ(第1回オリンピックの出場者の人数を問う問題)」など、これまでの『アタック』では考えられないような形式が登場した。今後も、従来の枠にとらわれない、新しく楽しい形式が登場することを期待したい。
また、クイズ以外の面に目を向けると、MCと出場者がやり取りする時間が増えたことが印象的だった。実際に出場したり、応援席に座ったことがある人ならご存じだと思うが、実は地上波版の『アタック25』では、収録の際にMCが出場者に語りかける時間がけっこうあったのだが、放送尺の都合により、オンエアの際にはそうしたやりとりの大半がカットされていた。それが地上波版のスピーディなテンポを生んでいたわけだが、反面、出場者の人となりが伝わりにくい面もあった。今回の『アタック25 Next』初回放送では、トークの場面も長くオンエアされることで、より「ライブ感」が楽しめるようになっていたと思う。次回以降は収録となるが、おそらく生放送の今回同様、『アタック25』の醍醐味を損なうことなく、1時間たっぷり堪能できる番組になるのは間違いないだろう。ぜひこれを機会に、この記事を読んだ皆さんもアプリから応募して、番組に挑戦していただきたい次第だ。

生放送の直後、谷原と沢木がそれぞれ囲み取材に応じた。2人のコメントを余すことなくお届けする。

――番組を終えられての感想をお願いします。
谷原 生放送は初めての挑戦で、しかも新しいクイズ形式をいくつか入れたりしていたので、どうなることか不安だったんですが、解答していただくのがレベルの高い皆さんだったので、逆にこちらはハラハラすることもなく予定通りにうまく進行することができました。
――昨年の秋ぶりの放送はいかがでしたか?
谷原 僕にとってこの1年間は朝の番組が始まるなど激動で。地上波版『アタック25』が終わったのが昨年9月なんですが、時間のスピードが早すぎて「もう1年以上経ってるんじゃないかな」ぐらいの感覚だったんです(笑)。視聴者の方からの「たった半年で復活か」「早すぎる」というお声も多かったんですが、僕からすると結構時間が経っていた感じがして。今日は生放送ですけど、少し前に収録をすでにしていまして、そのときはいろいろなことを自分の中で。忘れていたりとか、スタジオの景色や勝手が違うと、自動的に出てきたことも出てこなくなったりするんですよね。なので、新しくもう1回番組を作り直す気持ちで今回から向き合っていきたいと思っております。
――沢木さんとのコンビはいかがでしたか?
谷原 大先輩ですので、僕自身、沢木さんの懐をお借りしながら。加藤(明子)さんのときも実は出題やトークの合間に話を振ったりしていたんですけど、全部カットになっていたんですね。尺的な問題で本当に使えなかったんです。でも、これからは沢木さんとのそういう部分が使えるのかなと思いますので、また違う関わり方が皆さんとできるように意識したいと思います。
――視聴者へのメッセージをお願いします。
谷原 この生放送でスタートというのが僕にとっては新たな挑戦でとても楽しかったです。これからこの放送でやったように、今まででしたらもっとゲームの展開を濃密にぎゅっと短縮したような放送が多かったと思うんですけれども、より今回のポムポムプリンの日髙さんのように、出場されている方の人となりみたいなものをトークでより引き出していける番組になってくるのかなと期待しております。前の『アタック25』よりもゆったりとした気持ちでお休みの午後にご覧いただければ嬉しいです。

――番組を終えられての感想をお願いします。
沢木 46年の歴史に一度幕を閉じたときにとても残念な気持ちがあったんですが、皆さんの『アタック』愛であったり、「こんな番組が終わってしまうのは寂しい!」というような反響だったり、そういうのをたくさん拝見して。今回もそうなんですが、『アタック』を愛してくださった方およびクイズファンの方の想いとJapanextさんの想いが重なって、このような嬉しい形でスタートしたのをひしひしと感じました。人生で開局に立ち会うことはそんなにないと思うんですが、その開局のこけら落としのような番組を担当させていただけて本当に光栄です。関係者の皆さんはもちろん、テレビを見てくださる方、この番組を愛してくださった方々、全員にお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。
――沢木さんから見て本日の4人の解答者はどんな印象でしたか?
沢木 4人とも素晴らしい経歴の方々なのでもう少し拮抗するかなと思っていたんですが、逆に松本さんと御手洗さんの戦いになったのが意外でした。松本さんがおっしゃっていたとおり問題がちょっと関西に寄った問題が多くて、「白に運が味方したな」という場面がありましたね。でも最後、児玉さんがまだ生きていらしたら……という感じですけど、「慎重かつ大胆に」じゃないですけど、ああいうクイズの猛者の方でも臆することなく、誤答を恐れずボタンを押す。そこがやっぱり早押しクイズの醍醐味なので、そういう意味ではクイズの猛者だからこそ臆することなくボタンが押せたんだなと。その結果が、残念ながら立ちが乱立してしまったんですけど、それも含めて人生の悲喜こもごもとドラマチックが皆さんに提供できたのではないかと思って、面白い回だったと私は思いますね。また出てほしいです。以前『アタック』は一度出たら5年間出られないというルールがあったみたいなんですが、Japanextさんではもしかしたらそういうルールは設けていらっしゃらないかもしれないので、バンバン出ていただきたいなと思います(笑)。あと、ちょっとまたルールが変わりまして年間チャンピオン大会に参加できる権利を持てるのが見どころなので、楽しみにしていただきたいなと思います。
――生放送でクイズの問読みって相当なプレッシャーがあると思うんですが、そのあたりはいかがでしたか?
沢木 最初に聞いたときは吐きそうになるぐらい緊張しました(笑)。でも、人生にそう何度もない経験ですので、それを楽しまないと。今日の挑戦者の皆さんも同じでしょうけど、泣いても笑っても同じ1時間だったらやっぱりやりきることが大事かなと思いまして。その意気込みで今日は担当させていただきました。もちろん練習は普段の10倍ぐらいはしたかもしれません……というのは冗談ですが(笑)、とっても光栄な瞬間を噛み締めて一問一問読ませていただきました。
――谷原さんの進行はいかがでしたか?
沢木 児玉さんと谷原さん、お二人ともすごくジェントルマンで、親切、丁寧で出場者にすごく優しくて。そのあたりは継承されていらっしゃるなと思います。ただ、児玉さんは意外とストレートだったときがあるので、「なぜ押さない」という。今日「ここが人生のチャンスですよ!」って谷原さんもおっしゃってましたけど、児玉さんはそこで押してきてくれる人が大好きなんですね。今日のクイズの猛者の皆さんはそれを心得ていて、きっと谷原さんは押さなくても優しいだろうなと思いますが(笑)、誤答を恐れず押してきたというところがよかったです。
――視聴者へのメッセージをお願いします。
沢木 今日ご覧になって、見るのも楽しいでしょうけど、出るのはもしかしたらもっと楽しいかもしれないと感じた方がいらっしゃると思うんです。この番組がまた新しい歴史を刻む1年目になるためにも、どんどん歴史を築いていくためにも、皆様の参加が大事ですので、ぜひ予選会に臆することなく参加していただきたいなと思います。

【概要】
パネルクイズ アタック25 Next
放送日時:2022年3月27日(日)より毎週日曜午後1時~2時放送
放送局:BSJapanext
チャンネル番号:BS 263ch
放送エリア:全国(BS放送)
放送形態:無料
制作著作:株式会社ジャパネットブロードキャスティング・朝日放送テレビ株式会社

司会:谷原章介
出題:沢木美佳子

番組公式サイト
https://www.bsjapanext.co.jp/program/attack25next/

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