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『東大王』QuizKnockとの直接対決!「踊」1文字に込められた「仲間を信じる力」

林輝幸 twitter公式アカウント(@jusco_hayashi)より

『東大王』で遂に「東大王vsQuizKnock」の直接対決が実現! 2週にわたる特別企画で、6月10日放送回では前半戦の3ステージが行われた。


コロナウイルス感染防止対策のためスタジオの収録ができず、しばらく生放送でのリモートクイズが続いていた『東大王』。今回の収録は解答席を離し、その間にアクリル板を入れるソーシャルディスタンス仕様で行われた。リモートも良いけど、生の現場でのクイズ対決が見られるはやっぱり嬉しい。

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「早押しだと思ってやります」「早書きは早押しとは結構違う」

QuizKnockチームは大将・伊沢拓司を筆頭に。福良拳(ふくらP)、山本祥彰、渡辺航平(こうちゃん)という最強メンバー。対する東大王チームは鶴崎修功が学業のため欠席。代わりに鈴木光が初めて大将としてチームを率いる。

1stステージは、『東大王』では久しぶりの登場となる「早書きバトル」。どれくらい久しぶりかというと、昨年4月から出演しているジャスコ林が「早書き初めてなんですよ」と言うほど。「早押しだと思ってやります」という林の意気込みに、鈴木は「楽しい人だなって」と笑い、伊沢は「早書きは早押しとは結構違う」と釘を刺す。

伊沢は自ら「(早書きは)大得意」というだけあり、各出題で1位抜けを連発。かつて東大王チーム大将として早書きで戦った経験から、「『山口』はひらがなより漢字で書いたほうが早い」など攻略法も熟知している。東大王チームは焦りもあるのか、映像の序盤で勝負をかける様子が見られるも、なかなか正解に結びつかない。

5問目「施設の名称」では、ロケット格納庫を思わせる映像に多くの解答者が「NASA」と書いてしまうが、最後まで落ち着いて映像を見た山本が「ケネディ宇宙センター」でただ1人正解。NASAは施設名としては広すぎる、と判断した冷静さが実り、「早書きバトル」はQuizKnockチームが征した。

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完璧に角を読ませるQuizKnock vs 完璧に角を読む東大王

2ndステージは「難問オセロ」。今回はセットがソーシャルディスタンス仕様になっているので、いつものように集まって相談ができない。マイクとイヤホンを使ってチーム内で意思疎通を図ることに。

両チームとも難読漢字とオセロの定石が頭に入っているせいか、ゲームはテンポよく進む。QuizKnockチームはこうちゃんが「鬣犬(ハイエナ)」を勘で正解するファインプレーなどを見せ、中盤まで大量リード。しかし、東大王チームも砂川信哉が角マスの超難読漢字「鶻(ハヤブサ)」を正解するなどし、ジワジワ盤面を赤く染めていく。

残り8マスの時点で、東大王チーム17枚、QuizKnockチーム11枚。盤面の状況を見ると、QuizKnockチームが逆転することは難しい。伊沢は「ここから攻め方を変えます」と、東大王チームに角を読ませるように動く。超難読の角マスに入ることを避け、相手チームの全滅を誘う作戦だ。いつもは5人で戦う東大王チームも今日は4人。全滅の危険性は高い。

一方、東大王チーム大将・鈴木光は角を恐れなかった。「とりあえず1を確定しよう」「6打つ、(相手)8打つ、29打つ、相手31打たざるを得ない、32で終わり」と、勝利に向かって最短の手を指示。その期待に応えて、伊藤七海が1番「鼴(もぐら)」、砂川が6番「壁虎(やもり)」で突破。そして勝利と全滅がかかった最後の32番「羔」は、鈴木が自ら「こひつじ」で正解……!

完璧に角マスを読ませるQuizKnockチームと、完璧に角マスを読む東大王チームの戦いは、東大王チームの完全勝利に終わった。東大王チームは角マスでもなんでもない31番「兎馬(ロバ)」が全員読めなかった(それをQuizKnockが読んじゃった)というオチまでついたのだった。

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「踊」「麒」の1文字に込められた「仲間を信じる力」

3rdステージは「漢字1文字連想クイズ」。チーム3名がそれぞれ漢字1文字ずつヒントを出し、残り1名の解答者に答えを推測させるクイズだ。同じヒントがかぶれば情報が減ってしまうので、チームメイトが何を出すか想像しながらヒントを工夫せねばならない。伊沢は「我々は有休代休以外は全て平日は一緒の職場なのでチームワークは完璧」と語る。さすが株式会社QuizKnockのCEO。

実際、QuizKnockのチームワークはすごかった。3問目の「日本の文学賞のタイトル」。正解は川端康成の『雪国』で、東大王チームのヒントは「抜」「賞」「抜」。ノーベル文学賞を受賞した川端康成と、「国境の長いトンネルと抜けると〜」という書き出しから連想したヒントだったが……解答者の砂川は不正解。なぜか「SASUKE出禁」を申し渡されてしまう。

対するQuizKnockチームのヒントは「境」「踊」「賞」。解答者のふくらPはこのヒントを完全に読み切り、『雪国』を正解する。「賞」をヒントに出すということは、ノーベル文学賞だろう。そうなると大江健三郎か川端康成しかいない。「境」は書き出しの「国境の〜」からだ。では伊沢が出したヒント「踊」は……?

ふくらP「伊沢は僕が残り2人のヒントを見で、川端康成のどの作品か迷ったときに、『伊豆の踊子』ではないというのを伝えるために『踊』という字を入れてきたんだろう。つまり『雪国』だと」

正解に使われる漢字はヒントとして使えない。伊沢は正解そのものを伝えるのではなく、「正解ではないもの」を伝えるために「踊」を書いたのだ。

山本とこうちゃんが川端康成を伝えてくれるはず、という信頼がなければ、このヒントの意図をふくらPがわかってくれる、という確信がなければ、こんな行動に出ることはできない。そして実際、チームメイトたちは伊沢の思いに完全に応えていた。チームワークは完璧だった。

さらに最終問題「動物の名前」にも、QuizKnockチームにテクニカルなヒントがあった。解答者・伊沢の元に届いたヒントは「珍」「麒」「縞」。世界三代「珍」獣のなかで、「縞」模様があるのはオカピしかいない。だが、実はふくらPが出した「麒」だけで答えにたどり着ける。キリン科に属する動物は、現在キリンとオカピだけなのだ。

3rdステージは素晴らしい連携を見せたQuizKnockの勝利。これで東大王チーム1勝、QuizKnockチーム2勝。来週は「12アンサーズ」「難問オセロ」、そして「全員一斉早押しバトル」が控えている。決着まで目が離せない。

『東大王』(2020年6月11日放送)
司会:ヒロミ、山里亮太
東大王チーム:鈴木光、林輝幸、砂川信哉、紀野紗良、岡本沙紀、伊藤七海
QuizKnockチーム:伊沢拓司、福良拳、山本祥彰、渡辺航平

【ライタープロフィール】

井上マサキ
路線図マニアでテレビっ子のライター。『99人の壁』でグランドスラム達成(ジャンル「路線図」)。著書に『たのしい路線図』。宮城県出身。二児の父。

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