2019年7月13日・14日に、クイズゲーム『クイズマジックアカデミー 軌跡の交叉 -Xross Voyage-』の頂点を決めるユーザー主体の大会『賢竜杯Xiii~令和の陣~』が大田区産業プラザPiOにて開催された。2004年に第1回が開催された『賢竜杯』シリーズはこれで13回目の開催であり、今回で最後の開催となる。
来場者にはリコードアリーナを模した「賢竜杯リコード風プロモーションカード」が配布された。このカードは歴代賢竜杯のイラストが描かれており、その種類は全45種。過去の熱い戦いの記憶が思い起こされた参加者も多かったはずだ。会場には20台の筐体が搬入されていたり、組み合わせや対戦状況を映すスクリーンが3枚用意されていたりと、最後を飾るに相応しい大規模なイベントとなった。物販コーナーでは、『QMA』のキャラクターキャラクターグッズや、過去の賢竜杯を飾ったイラストのクリアファイルが用意された。賢竜杯の舞台に立つには、まず本戦への出場権を得なければならない。この出場権は、前回大会や各種大会の上位入賞者、および全国各地で行われた地方予選での上位入賞者に与えられる。予選会は2019年1月から開催されており、戦いは半年前から始まっている。そして、地方大会で惜しくも敗れたプレイヤーにとっての最後のチャンスとなるのが、1日目と2日目午前に行われた前日・当日予選大会だ。ガチの4人対戦はもちろん、団体戦やペア戦、令和枠といった様々な対戦形式が用意され、残された本戦への枠をめぐり熱い戦いが繰り広げられた。
また、1日目にはサブイベントとしてリコードアリーナの対戦会も行われた。リコードアリーナとは、前作『MAXIVCORD』から登場したクイズとカードを使って遊ぶ1対1の対戦形式で、クイズだけでなくデッキの構築やカードの使い方も勝敗を分ける要素となる。
決勝に勝ち進んだのは「まるセカ」と「しんほむら」の2名。決勝戦は2本先取、ただしポイントを取るとその戦いで使用したデッキが次の試合で使用できないという制約が付くルール。1本目は「まるセカ」が取るも、2本目は「しんほむら」が取り返し、勝負の行方は最終戦に持ち越された。「しんほむら」はマジックリコード(補助カード)を使って応戦するが攻めとマジックリコードの効果がかみ合わず、序盤から優位に試合を進めた「まるセカ」がそのまま勝利を掴んだ。2日目午前11時、いよいよ賢竜杯本戦が開始される。本戦に進むことができた選手は、シード選手も含めて約160名だ。本戦では、まず1回戦から4回戦まで行われる。通過できるプレイヤー数は16名まで絞られる。さらに、この4戦では勝ち抜くごとにそれまでの対戦で出題したジャンルや形式が使えなくなるという制限がかかるため、対戦相手を見定めつつどこで自分の信頼できる武器を使うかが勝負となる。4回戦では前年度賢竜の「ぼーしぱん」、前年度準優勝の「むげんどうさき」が早くも対峙。「ぼーしぱん」は、無念にもここで散った。4回戦を勝ち上がったプレイヤーもまだ厳しい戦いが続く。準々決勝では8名、準決勝では4名にまで絞られる。勝ち上がった16名のうち、前回大会のベスト16が5名も名を連ねる展開となった。もちろん他のプレイヤーも名の知れた実力者だ。準々決勝では2017年賢竜の「もちゃ」が敗退、準決勝では4回戦で「ぼーしぱん」と「むげんどうさき」を押さえ1位通過を果たした「ひびきDAN」が敗退した。
ここまでの激戦を突破し、決勝戦に駒を進めたのは前回、前々回の準優勝者「むげんどうさき」、過去に優勝経験がある「シャムワオ」「れお」、そして『KONAMI Arcade Championship』で3連覇中の「ばいベリーラブ」の4人。いずれも過去の大会で好成績を残してきた実力派プレイヤーだ。決勝戦は4人対戦による2戦先取で行われた。1戦目、まずは「むげんどうさき」が1勝をつかんだ。「れお」が選択した理系学問・物理化学で1ミスするも、「シャムワオ」のスポーツ・サッカーで単独正解を決め、その後もミスなく正答を重ねた。続く2戦目、まずは「むげんどうさき」が選択した社会○×が出題される。ここで「むげんどうさき」は単独正解を1つ決め優位を取った。そして「ばいベリーラブ」のライフスタイル・タイピング、「れお」の芸能・連想と続く中で、徐々に会場がざわつき始める。「むげんどうさき」がここまで全問正解していたからだ。そして最終ピリオド、そこまで2位につけていた「シャムワオ」が選んでいたのは長年使いこんできた武器、芸能・順番当てだった。その第1問、会場がどよめいた。「シャムワオ」が逆転できるかに注目が集まっていたが、長考の末誤答してしまったからだ。それだけでなく、ここまで全答だった「むげんどうさき」を含め4人全員が誤答だったからだ。ここに波乱を予感した観客も多かったことだろう。しかし、「むげんどうさき」は冷静だった。振り返れば昨年は最終ピリオドの○×クイズのミスにより賢竜の座を逃した。ここで崩れたら昨年の二の舞になる。残り5問、ここで差を詰めたい3人だったが、「むげんどうさき」には賢竜への道が見えていたかもしれない。全ての問題を正解し、錚々たるメンバーを相手に2戦連取で優勝を決めた。わずか2戦で優勝が決まるという、誰もが予想し予想し得なかったであろう圧倒的勝利を目の当たりにすることとなった。勝利が確定した瞬間、「むげんどうさき」は筐体に倒れ込んだ。過去に3位を1回、準優勝を2回取りつつも優勝が遠かった「むげんどうさき」が、最後の賢竜杯でついに優勝をもぎ取った。前回の賢竜杯の後、しばらく『QMA』をプレーできない日々が続いていたが、今回の賢竜杯が最後の大会となると聞き、これまでのブランクを埋めるべく今日まで特訓してきたという。「諦めないでよかった。皆さんも諦めなければきっといいことがあると思います」と優勝の喜びを語った。
最後に、賢竜杯を支えてきたコミッショナー「リア」、大会を技術面から支えてきた「HF」に功労者賞が受賞、そして「FITZ」に感謝状が贈呈され、エンディングが上映された。エンディングでは大会を支えた大勢のスタッフ、そして大会を盛り上げた歴代の賢竜たちの名前が映し出された。『QMA』プレイヤーが主催する賢竜杯。店舗大会としてスタートした賢竜杯が、店舗の枠を飛び出し特設会場を設け全国から猛者を集める一大イベントとなり、そして令和元年7月14日、惜しみない拍手に包まれつつ幕を下した。しかし、『QMA』プレイヤーの戦いはこれで終わりではない。賢竜杯は築いた店舗大会の文化は全国に広がり、毎週末大会が開催されている。『QMA』あるところに「戦い」あり、「戦い」あるところに「賢者」あり。今後も、これから生まれる新たな戦いと賢者に注目していきたい。
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