Subscribe / Share

Toggle

INTERVIEW

会社全体の『アタック』愛がキーに――『パネルクイズ アタック25』復活の舞台裏/プロデューサー・渡邊伶生インタビュー

この春よりBSJapanextに舞台を移し、1時間番組として復活を果たした『パネルクイズ アタック25』。もともと『アタック25』の地上波時代のスポンサーだったジャパネットだが、いかにして番組の復活へとつながったのか。その舞台裏と今後の展望を、立役者の1人である渡邊伶生プロデューサーに伺った。
(2022年3月14日収録 聞き手:大門弘樹)

渡邊伶生(わたなべれお)
1984年、新潟県生まれ。2007年にテレビ番組の制作会社に入社し、地上波有名番組のディレクターを担当。2014年にジャパネットに入社し、佐世保で通販番組を手がける。BSJapanext(ビーエスジャパネクスト)の開局に伴い、2021年4月より東京で番組制作部を統括する。

ジャパネットが大事にしてきた
「見つける・磨く・伝える」の考え方

――ジャパネットは地上波版の『アタック25』のスポンサーをされていましたね。
渡邊 けっこう長くやってました。で、ジャパネットが『アタック25』のスポンサーをしていた時、番組の間に90秒のショッピングを流していたんですけど、僕はそれを作っていました。
――『アタック25』で流したCMの効果はいかがでしたか?
渡邊 『アタック25』はジャパネットとしても、すごく反響の良い枠だったんですよ。掃除機とか布団とかが、ほかの番組よりも反響がドンとあったりしました。視聴者層が私たちのお客様と近かったことと、長年ジャパネットがスポンサーをやっていたので、番組を観ている方が信頼感を持ってくださったのかもしれません。そういう意味でいうと、けっこう大事な枠でした。
――冠スポンサーではないにせよ、長くCMを打たれていましたものね。
渡邊 そうです。2002年からスポンサーをしていました。ちなみに、ABCさんとの繋がりでいうと、私たちジャパネットは単にCMを流すだけではなく、例えば1時間の枠を購入し通販するということを長年やってきたりと、『アタック25』以外でも良好な関係性がありますね。
――なるほど。では、今回、ジャパネットがBS局を立ち上げることになった経緯を教えてください。
渡邊 2019年の春に総務省からBS 放送新規チャンネルの募集がありまして9社が応募し3社(ジャパネット・BSよしもと・BS松竹東急)が選ばれたんです。認可を受けたのは2019年9月でした。
――ジャパネットは以前、CSでショッピングチャンネル(ジャパネットチャンネルDX)を放送していましたが、新たにBSで総合局を立ち上げたのはなぜでしょうか?
渡邊 ジャパネットが大事にしている考え方は「世の中に生まれた良いものを見つけてきて、それを磨いてより多くの方へ伝え、お客さまの生活を豊かにする」ということなんですね。世の中にまだ知られてない商品とか、「こういうのがあったらすごく便利になるのに」というものがたくさんあると思うんです。例えばスマートフォンですね。今は60代以上でも7~8割ぐらいの方が持たれていますけど、私たちはシニアの方が2~3割ぐらいしか持っていない頃からショッピングで扱ってきたんですよ。スマホって、あるととても便利じゃないですか。でも、以前は敬遠されてる方とか、「使い方が難しい」と感じている方もたくさんいらっしゃった。なので、バイヤーチームが工夫してシニアの方にも使いやすいスマートフォンや料金形態を見つけてきてたり……。そういうふうに「見つけてきた」商品を、ジャパネット流にオリジナルコンテンツとして磨くんです。スマホでいえば、届いた時にはもう文字の設定が大きくなってるとか。使い方までご自宅に伺ってレッスンするとか、それが「磨く」ところですね。掃除機も一緒です。ダイソンという今ではすごくメジャーなブランドがありますけど、それを日本人が取り回しがしやすい長さとか、ヘッドの大きさとかにして磨いていくんです。そういうジャパネットオリジナルの部分にはすごくこだわってるんですけど、それをショッピングを通して「伝える」と。こうした「見つける・磨く・伝える」というステップを、ジャパネットはすごく大事にしてきたわけですけど、「これって実は商品だけじゃなくて、いろんな事業に転用できるんじゃないか?」っていうふうなことを思っていて。
――「いろんな事業」とは?
渡邊 例えば、仕事の進め方とか人生における考え方を本で読んで「へえー、なるほどね」って思ったら、人生が変わっていったりするじゃないですか。そういう世の中に埋もれた「いい考え方」とか「いいエンターテイメント」をまず見つける。それをジャパネット流の番組制作をして磨き、放送局を通じて伝える。このステップは何も変わっていません。「ショッピングから引き継いできている理念を、放送局でもやっていきたい」と思っているところですね。
――開局にあたり、新たに東京に放送局を構えましたが、この点はいかがですか?
渡邊 佐世保から東京に来たのは私ぐらいですかね。というのは、佐世保でやってることは純粋なショッピングで、番組制作とはまったく別のことなので。ただ、以前にちょっと番組っぽいことにチャレンジしたことがあったんですよ。「創業者の髙田明が、各地をお散歩して見つけてきたものをショッピングで売る」みたいな内容でしたけど、そういうのを作る部隊は東京にあったんですよね。なので、その部隊がベースとなって、そこに新しいメンバーがどんどん加わって放送局になったという流れですかね。設立時は20名ぐらいだったんですけど、今(2022年3月)は制作だけで50人はいます。編成とか技術とか合わせると70名ぐらいになりますね。拠点となるこの新館も開局に合わせて購入して、自社ビルとして運営してます。
――つまり、BS開局という新しい分野に、すごく投資をされているわけですよね。
渡邊 そうですね。投資額は確かに大きいです。ただ、「放送局で儲けよう」という考えはないんですよ。もちろんビジネスとして成り立たせるためには、絶対に黒字化はしないといけないんですけど、「大きな収益を目指す」というよりは、「もっと広まったら絶対、世の中が良くなるなのにな」とか「人の人生が変わるのにな」とジャパネットが思ってることを発信していきたいという気持ちの方が大きいですね。
――なるほど。総合局ということは、ショッピング以外にも、バラエティなどいろんなジャンルの番組を制作しないといけないわけですよね?
渡邊 おっしゃっていただいた通り、総務省の規定により通販は全体の3割しか流すことができないんです。なので、それ以外の時間は本当にいろんな番組をやることになります。私たちは「地域創生」にも取り組んでいるチャンネルですので、世の中を元気にするために、まずは地域・地元を元気にする番組をやっていきたいなと思ってます。それから、「出演者にはリアルに本音を語ってほしい」と思っていますので、あまり演出的に作り込みすぎずに番組を作っていきたいですね。

『アタック25』終了の
ニュースを見たことがきっかけに

――では、いよいよ『アタック25』のお話をお願いします。まずはジャパネットがBSを立ち上げていく中で、「『パネルクイズ アタック25 Next』をやろう」という話になったきっかけについて教えてください。
渡邊 そこはやっぱり、私たちも番組として好きだったのが大きかったですね。とても面白いし、長年愛され続けている番組ですので、私たちも思い入れが強かったんですよね。なので、それが終わってしまうということになった時にはやっぱり「寂しいな」と。コンテンツとして素晴らしいのに終わっちゃう。それがちょうど私たちがテレビ局を開局するというタイミングだったので、「もしかしたら『アタック25』を私たちの局で継続できるんじゃないのか?」という発想が自然に出てきたんですよ。
――なるほど。
渡邊 作為的なものはまったくなくて、ホントにたまたまタイミングが重なったなんですよね。実は「終わる」というニュースがネットに出た日に、髙田(ジャパネットホールディングス代表取締役社長 兼 CEO)から主要メンバーに「これってうちの局で復活できないかな?」と連絡がありまして。私もニュースを見た瞬間に「こんなに愛されている番組なんだから、うちで放送できたらいいのに!」って思ってたんですけど、そうしたら、ちょうどそのタイミングで髙田から話があったので「これは動こう!」と思って。あと、実はYahooニュースのコメントに「これ、ジャパネットの局でやんないかな?」というのがチラホラあったんですよ。
――えっ、そうなのですか!
渡邊 ホントに数件ですけどね。どうやら私たちの局が開設することを知っていらした方もいたみたいで。「番組を終わらせたくない」という視聴者の想いと私たちの想いが一致して。そして、おそらくABCさんの想いも同じだったのでしょうね。
――しかし、そのコメントを書いた方は鋭いですねえ。「BSで残してほしい」という意見はよく目にしましたけど、みんな系列局をイメージしていたと思うんですよ。
渡邊 普通はそうですよね。正直、僕らも「ほかの局でやるなんて、絶対に無理だろうな」と思ってましたから。でも、実際にABCさんに聞いてみたら、番組を作ってる方も、制作以外の編成の方も、やっぱり「番組を終わらせたくない」という想いが強かったように感じたんですよ。なので、お互いにとってWin-Winだったんじゃないかな。だけど、こんなにすぐ決まるとは思わなかったです。きっと、いろんな方が動いてくれていたのでしょうね。
――しかし、『アタック』の最終回と、そのスポンサーだったジャパネットがBS局を開局するタイミングが重なったことはまさに奇跡ですよね。あらためて『アタック25』の生命力の強さに驚かされます。
渡邊 あれだけの傑作ですからね。「クイズの文化」という意味で見ても、視聴者参加型のクイズ番組のブームを作ってきた番組だと思いますし。今は視聴者の方が出る番組ってなくなってきているじゃないですか。でも、『アタック25』はそれを継承してずっとやってきた番組なので、そういう文化を残せるというのは本当にうれしいですね。
――ジャパネットの東京のスタジオで『アタック25』を収録するにあたり、以前からのセットを大阪から東京に運んだのですよね?
渡邊 その通りです。解答席は「あそこに座りたい!」と思って出場される方が本当に多いので、「必ず持ってこないといけないな」と思って。それと谷原(章介)さんの前にある黄色い司会台も番組の象徴ですので、あれも持ってきました。で、悩んだのがバックパネルなんですよね。谷原さんの後ろにあったメインのパネルはちょっと大きすぎて管理ができそうになかったので、そこは諦めて解答席の後ろだけにさせていただきました。
――そういった美術の選別のために、渡邊さんが大阪のABCの美術倉庫に行かれたのですか?
渡邊 いえ、実は昨年(21年)の12月17日にジャパネットグループの忘年会があったんですけど、そこでジャパネットが35周年にちなみ『アタック35』っていう企画をやったんですよ。
――それはすごいですね!
渡邊 で、その時にセットが必要だったのですが、あまり時間がなかったので、電話やZoomでやり取りしただけで、実物を確認せずに送っていただきました。実際に来たら、予想以上に大きかったです(笑)。
――解答席はけっこう奥行きがあるんですよね。
渡邊 そうなんですよ。あのセットはそのまま残したいんですけど……。正直言うと、電飾も全部繋がっていて、組むのがすごく大変なんですよね。運用上はもうちょっと簡易なものじゃないと厳しいので、どれぐらいになるかはわかんないですけど、改修することはちょっと考えています。……あの解答席は20年ぐらい使っているって言ってたかな?
――登場したのが96年ですね。「FRP(繊維強化プラスチック)でできた解答席自体が発光する」みたいな仕組みだそうですけど。
渡邊 そうですよね。おそらく、それがその頃の技術の限界だったんでしょうけど、今だったら、例えば「タブレットを使って光らせる」とか、いろんなことができるんですよ。正直なところ、「今の質感を落とさずに、より良いものをもっと少人数のオペレートでできるような改修をしなきゃいけないかな」とは思ってますね。
――あと、応援席についてはどのようにお考えですか? 地上波版の『アタック25』の最後のほうは、コロナ禍ということもあり応援をスタジオに呼べなかったのですが……。
渡邊 今はコロナ禍ということもあり、すぐには難しいと思いますが、いずれ応援も入れたいと思っています。スペース的に難しいようであれば、別室になるかもしれませんけど。あと、今はZoomで遠隔応援もできるじゃないですか? 「出場している方のお友だちとかが応援してる」という画もすごくいいと思うんですけど、「視聴者の方が、自分と世代や職業が近い人を応援する」というのもいいと思うんですよね。そういう感情移入できるような仕掛けは実現していきたいなと思ってます。
――『パネルクイズ アタック25 Next』のスタッフ・キャストの座組についてもお伺いします。BSJapanextで復活するにあたり「大幅にリニューアルする」「地上波版を忠実に再現する」など、方向性はいろいろあったかと思うのですが、その点はいかがでしたか?
渡邊 基本的には「オリジナルの継承」を大事にしたかったんですね。すでに形もあるし、愛されてる番組だったので、変にこねくり回す必要はまったくないと思っていました。「ファンの方に喜んでもらうためには、やっぱりオリジナルの継承かな」というのがまずありましたので、スタッフに関しては、私たちの制作部隊とABCさん、ABCリブラさんが一緒になって作っています。
――なるほど。
渡邊 僕らは基本的に「制作を内製化しよう」と思ってるので、あまり外部の制作会社を使ったりすることはないんですよ。とはいえ、この番組に関してはやっぱりノウハウをたくさん持っている先人たちがいらっしゃいますので、お任せしている感じですね。そこに私たちのスタッフも何人か入って、共同で作ろうとしているのが今の形です。
――そういうオリジナルを尊重するやり方は、おそらくABCリブラにとっても理想的だったのではないかなと思いました。
渡邊 そう言っていただけるとありがたいですね。でも、たぶん「僕らが自力でやろう」と思ってもできないんですよね。あの「答えられそうで答えられない問題のチョイス」とかは、やっぱりずっとやってこられた方々がいらっしゃるからできることなので。そういう方たちのことはすごくリスペクトしてますし、「これからも一緒にやっていきたい」と思ってます。あと、1回目の収録で初めてお会いしたスタッフがたくさんいらっしゃったんですけど、いろんな方から「本当にありがとうございます」と言っていただいたのがホントにうれしくて。やっぱり「番組を残していきたい」という想いがあったんだなと。発注元と発注先ではありますけど、それだけの関係にとどまらず、大事に番組を守り続けていくパートナーとして今後も一緒にやっていきたいと思っています。

タイアップに至るまで
可能な限りオリジナルに近づけたかった

――復活に際しては、番組が1時間に拡大したことが大きな変更点です。この点についてはいかがですか?
渡邊 『アタック25』の魅力といえば、やっぱりあのテンポ感のよさじゃないですか。ただ、「もしかしたらBSの視聴者層にはちょっと早すぎるかも」と思うところもあったので、若干テンポは緩めつつ……。でも、ホントに若干です。「変わったな」と思われない雰囲気の中で緩めつつ、ですね。それと「参加者の人となりが見えるような工夫はしていきたい」と思ってまして。そのひとつが谷原さんのスタジオでの回しですよね。谷原さんはホントにたくさんの引き出しを持ってらっしゃるので、そこは大事にしたいです。あとは皆さん、予選会で決まった瞬間にものすごく喜ばれるので、そういうところをフューチャーしたり、普段の様子を撮影しに行ったり……。そういう応援したくなるような仕掛けをしようと思っています。ドキュメンタリーの部分ですよね。長年続いてきて、「出たい!」という想いを強く持ってる方が本当に多い番組なので、「その想いを少しでも描けられたらいいかな」と思ってます。
――放送時間が日曜お昼の13時というのも、ファンにはうれしい編成です。
渡邊 やっぱりそこは外せないですね。「日曜日のお昼に『アタック25』がやっていると」というのは、ファンの方からしたら「朝起きて歯磨きする」のと同じくらい生活習慣に根付いていると思いますので。そういうファンの方を大事にしたいという思いから、この時間帯にしました。
――続いては優勝賞品について質問させてください。旅行当てクイズの賞品が日本一周クルーズというのはずいぶん豪華ですね。
渡邊 はい、ジャパネットはいろんな事業を展開しているのですが、中でもジャパネットクルーズは本当に人気のコンテンツなんですよ。私も4回ぐらい取材で乗っているんですけど、これは外国船なんです。
――「外国船」というのは?
渡邊 クルーズ船には国内線と外国船があるのですが、一般的に想像される「超高い」と思われてるクルーズは国内に籍を置く船で周るんですね。それに対し、私たちが契約しているのは外国に籍がある船なんですよ。今回、賞品として提供するのは、それが日本に来て、日本を一周するというクルーズなんです。
――なるほど。
渡邊 外国船だと、中の文化も海外のものなので、最初の頃は日本人の文化や好みが伝わりづらかったんです。例えば、お味噌汁が美味しくなかったり……。で、ここからがジャパネットの「磨く」部分なんですけど、とにかくジャパネットのスタッフが「このジャパネットクルーズを日本で一番のクルーズにしよう」と思って磨き上げまして。だから単に「ジャパネットがクルーズをやってるから」というだけではなく、「優勝した方にはぜひ楽しい思い出を作っていただきたいな」という想いで、このクルーズを賞品に選びました。
――地上波版の『アタック25』の歴代の優勝者旅行の中でも、クルーズ船ツアーはずば抜けて豪華だったそうです。
渡邊 クルーズ船はホントに人生観が変わりますよ。おそらくクルーズに乗ったことない方がほとんどだと思いますけど、そういう方にとってはいきなり海外に行くより、日本国内をクルーズで周っていく方がいいと思います。日本国内でも行ったことのない場所がいっぱいあると思いますし、何より船の中は至福の時を過ごせると思います。なので、旅行を獲得した方にはぜひ楽しんでほしいなと思ってますね。
――そのほかの賞品についてはいかがですか?
渡邊 ノベルティにはこだわってます。『アタック』のトップ賞って、これまではクリスタルのトロフィーだったと思うんですけど、私たちは、自分が獲ったパネルをデザインした「〇月〇日トップ賞・〇〇〇〇さん」と書かれた盾を作って差し上げる予定です。
――すごい! 一点モノじゃないですか!
渡邊 そうなんです。出た人の記念になってほしいし、「この盾を見てよ。自分が獲った枚数なんだよ!」って誇らしく思ってほしいので。
――タイアップの賞品についてはいかがですか?
渡邊 オリジナル通りにしたいので、基本的に今までと同じところにやっていただきます。参加賞の革の小物の3点セットも一緒なんですよ。継続できるところは引き継ぎつつ、2か所ぐらい新しく入っていただきました。
――めちゃめちゃ豪華ですねえ。
渡邊 協賛していただいている会社も、やっぱり番組を愛してくださっているんですよね。なので、そういうところはお声掛けして、できるところには続けていただきました。可能な限りオリジナルに近づけてという形ですね。
――新たな試みとして「新しいチャンピオン大会」が始まりますね。
渡邊 そうですね。以前の「年間チャンピオン大会」は、その年のパネル枚数の上位者が集められていたと思いますけど、「そこをもう少し厳格にしてみよう」ということで。5週で1シーズンみたいに考えていまして、まずA週・B週……と4回やって、5週目にABCDの各週でトップ賞を獲った人が「年間チャンピオン大会ファーストラウンド」で争うという。そして、そこで勝った人が「年間チャンピオン大会ファイナルラウンド」の出場権を獲得できると。1年間の最後に本当の意味での年間チャンピオンを決めるみたいなことをやろうと考えています。
――壮大な構想ですね!
渡邊 「年間チャンピオン大会」の優勝賞金もすごくこだわってますね。これはまだ言えないんですけど(苦笑)。
――おお、それは発表が楽しみです! 賞金といえば今回の『アタック25 Next』はパネル1枚いくらなのですか?
渡邊 1万円です。で、パーフェクトの場合は100万円ですね。
――すごい!
渡邊 やっぱり、出場者の方には「『アタック25』に出るっていうのはすごいことなんだよ」と思ってほしいですからね。
――初期の『クイズ$ミリオネア』がその最たる例ですが、一般の方に一獲千金のチャンスがあるというのが、視聴者参加クイズ番組の大きな魅力のひとつだと思います。そうした番組の最後の砦だった『アタック25』が再びこうして復活して、しかも地上波の時以上の金額が獲得できるというのは感無量です。
渡邊 ホントにそう思います。ただ、一方で難しいところは「『お金もらえるから出る』というだけにならないようにしなきゃいけないな」というところですね。先ほど申し上げた通り、やっぱり『アタック25』の良さっていうのはお茶の間みんなが楽しめる安心感ですから。クイズ猛者たちだけが集まる感じにはしたくないんですよ。だから、そこのバランスをABCリブラさんとも相談しながら考えている最中ですね。賞金は出しつつも、それだけにならないような工夫というのはしていきたいなと思っています。


谷原さんと沢木さんから感じた
番組に対する愛

――続いては、MCと問読みのお二人についてお聞かせください。まずはMCの谷原さんです。レギュラーの帯番組で相当お忙しい状況なのにも関わらず、引き続き担当してくださるということに、驚くとともに感動しました。
渡邊 正直、私も「お忙しいだろうから無理かもな」って思ってたんですけど、聞いてみたら快く引き受けてくださいました。「本当に番組に対する愛がある方だな」「児玉さん、浦川アナウンサーから引き継いだバトンを途絶えさせたくないという想いもきっとあられたんだな」と、ホントにありがたかったです。ただ、僕らの中では谷原さん以外の候補は挙げてなかったんですよ。「谷原さんがダメだったら、その時に考えようか」という形で、谷原さんにしかオファーしてないんです。
――そして、問読みには沢木美佳子さんが復活されました。これは私も予想できなかったです。「東京在住のフリーアナウンサーの方か、声優さんがキャスティングされるのかな」と思っていましたから。
渡邊 これは完全にプロデューサーの秋山(利謙)さんからいただいたアイデアなんです。地上波では加藤(明子)さんでずっとやられていたので、実は加藤さんにも依頼したんですよ。ただ、加藤さんはABCさんに所属されてるアナウンサーなので、『アタック』の時だけうちに出るってさすがに難しくて(苦笑)。
――ああ、なるほど。
渡邊 それで「どうしようかな?」となったんですけど、念頭に置いていたのはやっぱりオリジナルの継承です。そんな時に秋山さんから「沢木さんが東京にいらっしゃるよ」と聞きまして。で、うちの社内にも『アタック』大好き人間がいたので聞いてみたら「沢木さんですか! 往年のファンからしたら最高ですよ!」みたいな感じで(笑)。それでオファーしたら、沢木さんも快く引き受けてくださったと。……でも、ホントにすごい番組ですよね。だって、何年も前に番組でずっと問題を読まれていた方とはいえ、今の生活もあるでしょうに。それでも即断してくれたということは、それだけ番組に対する愛情があったんでしょうね。しかも、お声も全然変わってなくて、問題読みもめちゃくちゃ上手かったじゃないですか。
――ブランクをまったく感じさせなかったですね。
渡邊 そうそう。さすがですよね!

「視聴者とつながる」クイズ番組に
これからも力を入れていきたい

――ここまでお話をうかがってきて、渡邊さんの『アタック』愛の深さに感服しました。
渡邊 私個人が、というよりは、私も含めた会社全体ですね。さっきも言いましたけど、「ジャパネット流」というのがあるんですよ。まずいいものを見つけてくる。『アタック』の場合は、そもそもいいコンテンツとして存在したんですよね。だから「あんまり変えなくていいよね」と。すごくいいものがすでにできあがっているので、「磨く」というのはちょっとだけ……。さっき言った年間チャンピオンの立て付けとか、あとは賞品をちょっと豪華にしたりとかってというところで磨いていく。こういうところがジャパネット流だと思うんですけど。……でも「愛が強い」と言われたら、確かに制作者の皆さんもそうですし、ジャパネットホールディングスの社長もそうですし、弊社(ジャパネットブロードキャスティング)の社長もそうですね。皆、「元々『アタック25』が大好きだ」というのが根底にあります。
――なるほど。
渡邊 ただ正直、当初はここまで本格的にしようとは思ってはなかったんです。でも、「私たちの局でやります」ってリリースを2月18日に出したんですけど、そこでの反響を見て、より強く「やらなきゃいけないな」と思うようになりました。
――反響の中には、どのような声が多かったですか?
渡邊 やっぱり「うれしい!」というコメントですね。あとは「変えないでほしい」という声もすごく多くて。だから、変に変えて視聴者の期待を裏切りたくはないなと。視聴者参加型のクイズ番組はこんなにも求められてるうえ、その中でも『アタック25』は特に愛されてると思ったので、変に変える必要はないなと。
――今回はわずか半年のインターバルで、しかもオリジナルを作っていたスタッフも継続して参加してくださったので、番組制作のノウハウを喪失することなく復活できたというのも大きいですね。
渡邊 そうです、もちろん私たちだけじゃ成し得なくて。ABCさんをはじめ、構成作家さんとかクイズ作家さんの皆さんのご協力があったからこそできることなので。そこはホントにジャパネットだけでなく、皆さんの愛の結晶だと思います。
――一方で、これまでとは変化する点もあります。例えば、今後はアプリを通じて問題の募集をされるのですよね?
渡邊 はい。私たちは「視聴者とつながる」ということを局としてすごく大事にしているんです。なので「アプリを使って『アタック25』で繋がるっていったら何だろう?」と考えて、このようなことを始めることにしました。「ラジオのような感覚で、問題を投稿できたら楽しいんじゃないかな」というふうな感じですね。やっぱり、自分の考えた問題がテレビで発表されたらうれしいじゃないですか。なので、これはやりたいと思ってます。もちろん、今までやっていた優勝者予想や、予選会の募集もアプリを通して行うんですけど。
――予選会は東京・大阪・福岡の3か所でやられるそうですね。
渡邊 はい、今はとりあえずその3か所でやってみようと思ってます。以前の『アタック25』の場合だと、テレ朝さんの系列局全部で予選会ができたんですよね。でも私たちはそこまで大きくないですから、今のところは私たちとABCさんの拠点があるところでしか開催の予定はないんです。ただ、ありがたいことにリリースを出してからたくさんのご応募をいただいているので、「こうなると、やっぱりいろんなところに行かなきゃダメかもね」という話もしています。
――あと、地上波版の『アタック25』では「一度出場すると5年間出られない」というルールがありました。これはどうなるのでしょうか?
渡邊 3年ルールに変更しました。
――緩和されるのですね!
渡邊 僕は「いらないんじゃないですか?」って思ったんですけど、「出たい人がいっぱいいるから、ある程度つけておいたほうがいい」とアドバイスをいただいて。それで「じゃあ3年ぐらいにしときますか」と(笑)。
――渡邊さんから見て、『アタック25』の魅力はどこにあると思いますか?
渡邊 一番は「誰が観ても楽しめる」という点だと思ってます。そもそもクイズ番組自体がみんなで観て楽しむものなんですけど、そこにパネルという新しいルールを加えることで、よりみんなで楽しめるものになっているかなと。クイズって、問題を一緒に考えるだけでももちろん楽しいんですけど、『アタック25』の場合はその正解率だけでは勝負が決まらず、オセロのようなパネルの取り合いで最後に大逆転があったりっていう、知識以外の要素があることでよりハラハラドキドキする。それがホントに素晴らしいコンテンツだなと思いますね。
――そのハラハラドキドキが失われるところだったのが、ジャパネットさんのおかげで、また見ることができるようになりました。
渡邊 でも、あのシステムを考えた人、ホントすごいですよね(笑)。あと、一緒に番組を制作してみて「問題のバランスも大事にされてきてるんだな」というのも感じました。『アタック』のクイズって、どの世代でもわかる内容になっているのも素晴らしいですし、まったく答えられなくても、聞いただけでちょっと賢くなった気になれるじゃないですか。そのへんの問題の見極め方というのは、先人たちが築いてこられたところなんでしょうね。だからこそ「大事にしていきたいな」と思ってます。
――ありがとうございます。……ちなみに、BSJapanextでは『パネルクイズ アタック25 Next』以外の視聴者参加型クイズ番組をやろうという構想はあるのでしょうか?
渡邊 それがですね……実は考えているんですよ。
――おーっ、そうなのですね!
渡邊 というのは、視聴者参加というのは、私たちの局の「視聴者とつながる」というコンセプトにすごく合っているんです。実際、『パネルクイズ アタック25 Next』をやってみて「ほんとにいいな」と思ったんですよ。で、世の中には終わってしまった往年の名作クイズ番組もいっぱいあるじゃないですか? そういった番組の復活も視野に入れて、いろいろ検討しているところです。
――ひょっとしたら、BSJapanextが視聴者参加型クイズ番組チャンネルのようになるかもしれないということですね。続報を期待して待ちたいと思います!

【番組概要】
パネルクイズ アタック25 Next
放送日時:2022年3月27日(日)より毎週日曜午後1時~2時放送
放送局:BSJapanext
チャンネル番号:BS 263ch
放送エリア:全国(BS放送)
放送形態:無料
制作著作:株式会社ジャパネットブロードキャスティング・朝日放送テレビ株式会社

司会:谷原章介
2022年5月1日(日)~7月31日(日)司会代役:石井亮次(14回放送予定)
出題:沢木美佳子

番組公式サイト
https://www.bsjapanext.co.jp/program/attack25next/

Return Top