『1番だけが知っている』(TBS系列)内のコーナー「1番チャレンジ」にて、TBS歴代クイズ番組と現代のクイズ王が対決する企画が行われた。挑戦者はカズレーザーと水上颯。立ちふさがるのは『史上最強のクイズ王決定戦』をはじめ、『THEクイズ神』『クイズダービー』『100人に聞きました』など名クイズ番組たちだ。
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「100人」から「クイズ神」への振れ幅に悩まされるカズレーザー
11月25日放送回ではカズレーザーが挑戦。スタジオの床には5×5のマスの「TBS名作クイズラビリンス」が用意されていた。右下の「スタート」から初め、1マスずつ移動しながら左上のゴールを目指す。マスには番組ロゴが描かれ、止まると過去の名作問題が出題される。不正解なら後退し、進めるマスがなくなったらチャレンジ失敗だ。
マス目に描かれている番組名は以下のとおり。
・クイズダービー
・クイズ100人に聞きました
・わくわく動物ランド
・どうぶつ奇想天外
・ぴったしカンカン
・ぴったんこカンカン
・THEクイズ神
・IQ天才塾
・クイズタレント名鑑
・史上最強のクイズ王決定戦
カズレーザーは「タレント名鑑ってクイズ番組なんですか?」と、とぼけつつ、最初に『100人に聞きました』を選択。問題は「時計を持たずに外に出たとき、どうやって時刻を知りますか?」の1位を当てるもの。携帯電話が登場するよりはるか昔、約30年前の問題だけに発想の転換を求められる。答えはシンプルに「人に聞く」だった。
2マス目は各局のクイズ王たちが集結した『THEクイズ神』。出題は1問多答の「地球上にある標高が高い山トップ10」。制限時間1分のうち、開始10秒で一気に8つ正解するカズレーザーだったが、「5位 マカルー」「7位 ダウラギリ」が出てこず、このマスを落としてしまった。
それにしても「100人」と「クイズ神」、使う頭の部分が全然違う。その後も『どうぶつ奇想天外』でアリの生態を、『ぴったんこカンカン』ではビートたけしに起こったハプニングを答えるクイズが出題され、知識のみならず与えられた材料から推測する力が試される展開が続く。そして、カズレーザーは飄々とその山を越えていった。
いよいよたどり着いた最後のマスは『史上最強のクイズ王決定戦』、1989年から全12回にわたり放送された伝説のクイズ番組だ。紹介映像ではあの「アマゾン川で/」「ポロロッカ!」も流れた(許諾が取れないのか、クイズ王の顔は隠されたままだったが……)
ここからは特別ルール。当時「史上最強」で出題されたものと同じ早押し問題を回答し、正解の場合は当時の回答者のスピードとビデオ判定を行う。2ポイント先取で勝ち。まさに時空を越えた早押し対決だ。カズレーザーはルールを聞いて「バカな(笑)」と半笑いで戸惑うも、「ということは相手は正解してるんですね?」「じゃぁわかんなくても押さなきゃな……」とすぐに戦略を把握する。
第2問。「日本の最北端の市は稚内市ですが 最南端の市は何市でしょう?」これはわからず不正解(正解は「石垣市」)。1対1で迎えた最終問題。カズレーザーはあまりの緊張に「体調が良くないです……」と顔をしかめつつ、「めちゃくちゃ勝ちたい」と意気込む。
問題。「握り寿司などのご飯をシャリ/と」でカズレーザーが押した。その瞬間「早すぎた……」と嘆き、苦しむ。「寿司桶」と絞り出すも不正解。
問題文は「握り寿司などのご飯をシャリと言いますが、これは元々誰の骨のことを言った言葉でしょう?」と続いた。正解は「釈迦」。寿司から離れなければいけなかったところ、やはり焦ってしまったか。「史上最強」側は「握り寿司などのご飯をシャリと言いますが、これは/」で正解していた。さすがの速さである。
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その差0.03秒!水上を襲う「時空を越えたリベンジ」
12月16日放送回では水上颯が挑戦。『東大王』でも実況を担当する杉山アナに心境を聞かれ、「東大王の大将として、むかし出た問題、しかもその時に正解が出た問題で間違えるわけにはいかない」と意気込む。
1マス目は『クイズダービー』の最終回から。最終回の映像が流れると、司会席に大橋巨泉が座っている。『クイズダービー』は途中から司会が交代し、徳光和夫が2代目司会者となったが、最終回のみ大橋巨泉が司会に復帰しているのだ(徳光和夫も5枠の回答者として出演している)
出題は「ミャンマーの留学生は、日本の病院でよく目にする何を自分の国文字と勘違いしてしまう?」というもの。正解は「視力検査表」。「C」のようなマーク(ランドルト環)がミャンマー語の文字にあるのだった。水上は推測でこの問題を当てる。
確かな知識と思考力で、歴代クイズ番組をクリアしていく水上颯。いよいよ『史上最強のクイズ王決定戦』までたどり着いた。24歳の水上が生まれる前の番組との早押し対決である。
第1問。「日本の元号をあいうえ/お」で水上が押す。落ち着いて「和銅」を答え正解。「あいうえお順で最初の元号は安永、では最後は……」という読みが当たった。続いてビデオ判定。ここでも「史上最強」で正解していたのは齊藤善徳であり、「日本の元号をあいうえお順に並べると最初は安/永」で押していた。まずは水上に1ポイント。
第2問。「ベートーベンが作曲した唯一の歌劇の/」で水上が「フィデリオ」を正解。しかし「今のは遅かったかな……」と水上が不安がるとおり、「史上最強」側は「ベートーベンが作曲した唯一の/」で正解(顔が隠されていたが、『ウルトラクイズ』初代王者の松尾清三)。これで1対1。
問題文は「スペイン語で「ギリシャ人」いう意味の名前を持つ画家で 聖衣剥奪・オルガス伯の埋葬などの作品で知られる人は誰でしょう」と続いたが、水上の推測は「スペイン語で「ギリシャ人」と名乗った、本名をドメニコス・テオトコプーロスという画家は誰でしょう」というもの。原文を越える推測に水上は「通称があれば本名を覚えないといけない。段々クイズも進化していくということですね」と語る。
さて、正解して終わりではない。気になるのはビデオ判定だ。「史上最強」出演者たちはどこで押しているのか。VTRが再生される。「スペイン語で『ギリシャ/人」というタイミングでボタンを押していたのは、先ほど『クイズ神』で不正解だった能勢一幸……!
その差0.03秒。惜しくも水上が押し負け、能勢一幸の時空を越えたリベンジが成立した。
コーナーの最後、「番組では1番の称号を持つ者の挑戦を待っている!」という煽りで終わった。懐かしい映像とクイズの興奮を味わえる良企画、ぜひ今後も続いてほしい。
今日の『1番だけが知っている』でTBSの過去のクイズ番組に挑戦します。ぜひご視聴ください! pic.twitter.com/VI8JGBPlb6
— 水上颯 (@sou_mizukami) December 16, 2019
【ライタープロフィール】
井上マサキ
路線図マニアでテレビっ子のライター。『99人の壁』でグランドスラム達成(ジャンル「路線図」)。著書に『たのしい路線図』。宮城県出身。二児の父。