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INTERVIEW

『ナナマル サンバツ』完結記念特別対談 杉基イクラ×伊沢拓司インタビュー(PART3)

クイズ人として『ナナサン』の流れを継いでいきたい(伊沢)

――ついに完結を迎えたわけですが、今の伊沢君の活躍を杉基先生はどのようにご覧になっていますか?
杉基 ホントに『ナナサン』と共に歩んできてくださって、それでこの完結の時に「QuizKnock」がクイズのクリエイター会社として大きくなって、今や誰もが「クイズといえば」という存在としてお茶の間にも広がって……。そういう時に作品が終われてすごく幸せだなと思います。
伊沢 たしかに「『SQUARE』を作る準備は整ったな」と思いましたね。『SQUARE』ってすごく大きい規模で中継もされてるんだけど、その運営スタッフの中枢にいる人たちはみんなクイズの世界にいて、クイズに情熱のある人たちじゃないですか。それってクイズ文化の中にいまだかつてなかったところなので。日本クイズ協会の『JQSグランプリシリーズ』とか、『AQL』とかも含めて、ようやく環境が整ってきた段階になったかなと思います。
――そういう意味でも、先生は預言者なんですよ。例えば『SQUARE』の予選が始まった頃は「みんながクイズ大会の中継をコメントしながら観る時代が来たらいいなあ」と思って読んでいたんですけど、まさに「QuizKnock」とか今年の『abc』はまさにそうですから。
杉基 あー、たしかにそうですね。私は妄想で描いただけですけど。
伊沢 でも論理性の元に先生が妄想を広げられていたと思うので。論理的に出口と入口があったからこそ、同じところに帰結したんだと思います。
杉基 多分、「今の世の中だったらこういうふうになるだろうな」というのを考えたんですけど。だから今の時代も必然的なんですよ。
伊沢 そうですよね。
杉基 『SQUARE』の会場が東京ドームとか大袈裟なところじゃないのもね。実は全国大会の会場のモデルは「東京ドームシティホール」なんですよ(笑)。自分でライブとか演劇とかで観て知ってる会場で描いたほうが、距離感が想像しやすかったので。「二階席から観たらステージはこのくらいの大きさで見えるかな」とか、空間を把握しながら描けたんです。ああいう大きな花道とかセンターステージがあるところでクイズが観たいですね。
伊沢 そうですね。時代は来ているはずだと思います。ホント10年間という長い間、お疲れ様でした。
杉基 ありがとうございます。

――最後に、『ナナマルサンバツ』は伊沢さんにとってどういう存在だったかを聞かせてください。
伊沢 はい。ホントに時代と業界を広げてくれました。僕にとっても、クイズ業界にとっても。「QuizKnock」も初期の頃にアニメの『ナナサン』のあとのアフター生配信をやって、あそこでけっこう人が来てくれるようになったので。それまでは動画作品の投稿しかしてなくて、生配信は初めてだったんですよ。すごく悪ノリしてましたけど(笑)。
杉基 いえいえ、ありがたかったです!
伊沢 クイズ文化の外からクイズを見つめられるということがほとんどなかった時代において、それを率先してやってくださったのが杉基先生で。しかもこれだけのクオリティと情熱を注いでくださったことは、クイズ文化にとってデカすぎるマイルストーンだったと思います。作品は一旦終わったわけですけども、このあとも舞台とか、メディア展開がありますし。僕も『ナナサン』が始まり、そして終わった時代に生きてきたクイズ人として、この流れが継げるように頑張りたいなと思います。
――『SQUARE』のように『ナナマルサンバツ』で描かれていた世界が、さらにリアルな世界でも花開くように、これからの伊沢さんの飛躍に期待しています! そして杉基先生、すばらしい作品を本当にありがとうございました!!

『ナナマル サンバツ』20巻(最新刊)絶賛発売中!

©杉基イクラ/KADOKAWA

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