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INTERVIEW

100人分のクイズ問題を受け取るのは収録直前!? 『99人の壁』ナレーター・小坂由里子インタビュー

『99人の壁』をはじめ、様々な人気番組でナレーションを担当している小坂由里子。実は熱烈なクイズ番組ファンである小坂は、この前代未聞のクイズ番組にも並々ならぬ愛を持って、100人の挑戦者と対峙していた――。(2019年6月26日収録 聞き手:大門弘樹 撮影:神保達也)

プロフィール
小坂由里子(こさかゆりこ) ナレーター。千葉県生まれ。清泉女子大学文学部国文学科卒。主な担当番組に『バイキング』『あさチャン!』『Rの法則』『有吉のお金発見!突撃カネオくん』などがある。

『99人の壁』は、収録当日の朝に
膨大な問題が渡される!

――クイズ作家の日高(大介)君から聞いたのですけど、小坂さんは昔からクイズ番組がお好きだったそうですね。
小坂 はい。子供の頃から大好きで、毎週のように家族みんなでそろって観ていたという記憶がすごく残っていますね。実は今回、インタビューのお話をいただきまして、「どんな番組を観ていただろう?」と思っていろいろネットで検索してみたんですけど……(ちょっと言いよどむ)。

――……この間は何ですか?
小坂 いや、ここで「この番組を観ていました」みたいなお話すると、多分年齢がわかっちゃうと思うので(苦笑)。

――あぁ、確かに(笑)。テレビ番組の思い出話って、そういう面がありますね。
小坂 そうですよね(笑)。……でも、出しちゃいます! 子供の頃の番組でぼんやり覚えているのは『アップダウンクイズ』とか『クイズダービー』。あとは『タイムショック』『連想ゲーム』『ヒントでピント』とか。毎週、必ずみんなで観てました。もちろん『アタック25』も見ていましたね。で、それから『世界ふしぎ発見!』とか『平成教育委員会』とか『ヘキサゴン』とか……。あと、『ワールド・クイズ・クラシック』も。

――おお、あの番組(『ワールド・クイズ・クラシック』)も観てたのですか?
小坂 はい。というのは、先輩(あおい洋一郎)がナレーターをしましたし、演出をされた『SASUKE』をやってらっしゃる乾(雅人)さんとも面識があるので。

――なるほど!
小坂 なので、ちゃんと拝見しました。あとは『Qさま!!』『ネプリーグ』なんかも好きですし、その前だと『なるほど!ザ・ワールド』『マジカル頭脳パワー!!』も大好きでした。それと、とにかく毎年楽しみにしていたのが『アメリカ横断ウルトラクイズ』! もう「大人になったら、1問目で敗退してもいいから出てみたい!」と思っていたくらいなんでよ。なのに、なくなってしまって……。当時、相当ガッカリしたのをよく覚えています。

――ちなみに、『ウルトラクイズ』はどういう感じで楽しんでいたのですか?
小坂 まだ何十人も残っている頃から、弟と一緒に「今年はこの人を応援する!」っていうのを一人ずつ選んでたんです。今でいう「推しメン」的な感じで(笑)。で、『第13回』では、それが長戸(勇人)さんだったんですよ。

――おぉ! 長戸さんといえば、クイズ作家として『99人の壁』をやられているじゃないですか!
小坂 はい! 「今年はこの人!」と決めた方が優勝したっていうのは、あとにも先にもあの年だけで。だから、ヒーローみたいな感じですごく印象に残ってます。で、去年の夏ぐらいに、あの回がネットにあがっているのを偶然見つけて、興奮して何回も観ちゃいました(笑)。「懐かしさ」「新しさ」、あとは「福留功男さんはどんな風に読んでいるのか」とかいうのも含めて、改めて見返したりとか……。で、「『第13回』は伝説的な回なんだ」というのを、その時になって初めて知った感じで。

――そうなんですね。
小坂 その後、長戸さんと一緒にお仕事させて頂くことになったということで、未だにちょっと驚いているんですよ。「あの当時の自分に言ったら、ホントにビックリするだろうな」という仕事を今、させていただいている感じですね。

――なるほど! あと、『ウルトラクイズ』以外では、特に印象に残った番組はありますか?
小坂 『アタック25』ですね。この番組はクイズを解くのも面白かったんですけど、それ以上に問題を読んでらっしゃる方が気になって。「ちょっとやってみたいな」と思ったのを、今も覚えています。

――つまり、ナレーターのお仕事を始められる前から問題読みに興味があったわけですか?
小坂 はい。子供の頃から興味があったんですよ。実は私、OLからナレーターになっているんですけど、ナレーターになる時に「ボイスサンプル」っていう、私の声を入れたサンプルを作ったんですね。で、実はそこに「こんなクイズの読みを入れたい」って掛け合ったことがあるぐらいで。「問題読み」というのは、それくらい興味があった分野なんです。

――へぇ~、すごい! ちなみに、『99人の壁』以前に、問題読みとしてクイズ番組に関わられたことは?
小坂 あります。これも矢野(了平)さんと一緒だったんですけど、13年にやった『クイズ! ダイナマイト30』っていう番組で。

――それはどういう番組ですか?
小坂 フジテレビでレギュラーでやってた『クイズ30』という番組があったじゃないですか? あれの元になった特番なんです。そこで、『99人の壁』と同じようにスタジオで生読みをしました。これって、ナレーターとしてはちょっと珍しい仕事だったんですよ。というのは、ナレーターって普段はナレーションを収録する時、アナウンスブースの中で一人っきりで読むので。だから、皆さんの前で読むのはめったにないんです。

――なるほど。
小坂 そもそも、こういうクイズならではの収録っていうのはアナウンサーさんがやることが多いんですよね。だから、ナレーターがなかなか関われない貴重な経験を、2度もフジテレビでさせていただいているんです(笑)。

――その『ダイナマイト30』でのご縁が『99人の壁』につながったんですか?
小坂 はい。どうやら「出題者に女性も入れようか」っていう話になった時に、矢野さんが名前を挙げてくださったそうなんですよ。で、ほかにもいろんな方の名前が挙がっていたそうなんですけど、その中から演出の千葉(悠矢)さんが「この人に」っていう感じで決めてくださった、とうかがいましまた。

――なるほど。でも、この『99人の壁』は今までになかったタイプというか、新しい切り口のクイズ番組じゃないですか。第一印象はどんな感じでした?
小坂 実は特番の頃に番組を観ていたので、すでに内容は知っていました。

――じゃあ、「観ていた番組からオファーが来た」という感じだったのですね。
小坂 はい。ネットでものすごく話題になっていて、ツイッターでも「すごい面白かった!」って書かれているのをくまなく読んでいました。で、千葉さんというお若い方の企画が社内コンペで通って、その方が演出もされて……っていう話を知って。そういうのも含めて「ものすごい番組ができたんだなあ」って思ってましたね。そんな番組から自分に連絡が来るとは思ってもいなかったので本当に驚きましたし、すぐに「やらせてください。うれしいです!」ってマネージャーに答えたのを覚えています。

――ちなみに、視聴者としてこの番組を観た時はいかがでしたか?
小坂 なんと言うんですかね、四面楚歌な感じというか……。「四方を囲むあのシステムを、よく考えられたな」と思いましたね。あとは観ていて緊張感がすごく伝わってきて。そのあたりに心を掴まれたという感じでしたね。

――小坂さんが初めて参加されたのは、レギュラーになる前ですよね?
小坂 はい。去年(18年)の8月にやった第3弾から入れさせていただいて……。あれはホントにビックリでした。視聴者さんが参加できる大型の番組に関われるということで、すごくうれしかったですね。

――実際に収録に行かれて、いかがでしたか?
小坂 ちょっと裏の話になるんですけど、ナレーションするのはいわゆる問題読みだけではないんです。例えばアナウンスもする必要があって。

――「アナウンス」というのは?
小坂 ブロッカーの方が間違った時に「お手つきです」みたいなことを言ったりとか……。なので「うわっ、こういうことも臨機応変にやっていかなきゃいけないのか!」っていうのが、現場に行って一番驚いたことですね。

――それは確かに大変そうですね……。
小坂 あの時は、一緒にブースの中に入ってくださったディレクターさんが支えてくださって。あとは、答えの説明なんかを(佐藤)二朗さんがパッと振ってらっしゃるので、臨機応変に対応しなければならなかったり……。今ならQARの中に作家さんがいらっしゃるので、わからない時には聞けますけど、当時は離れた場所にいたので。

――なるほど、最初の頃は作家さんと離れていたと。
小坂 はい。なので、もういろいろ慌てながら(苦笑)。でもその分、スリリングな緊張感が面白かったですけどね。緊張以上の楽しさ、その場にいないと感じられない興奮……。そんなことを覚えてます。

――100人分のクイズ問題の冊子がとんでもない厚さなんですよね。
小坂 あぁ! とんでもないですよね、あれ(笑)。

――問題が届くタイミングがけっこうギリギリとお聞きしましたが……。
小坂 そうですね。今は収録日の朝にいただきます。なので、牧原(俊幸)さんと会話する時間もあまりないまま本番に突入していく感じなんです。もう、ずーっと問題のチェックをしていて……。なのに、チェックが間に合わないことも時々ありますが(苦笑)。

――逆に言うと、それだけギリギリまで時間をかけないと、あれだけの問題が完成しないということですよね。
小坂 そうですね。あの問題はホントにすごいと思います。私たちは問題を読むだけですけど、あれを毎回作ってくださる作家さんの膨大な知識と労力はホントにすごいなと改めて感じました。

――クイズの解答に審議があって判定がひっくり返ったのって、小坂さんが初めて参加された3度目の特番の時ですよね?
小坂 そうです。あの時は前半・後半で分かれていて、前半は牧原さんが、後半を私がやるということになってたんですよ。で、初めてだったので前半を見学させていただいてたのですけど、そこで審議になって……。「天目茶碗」の問題と、あとは地下鉄の路線図の問題でしたね。その時に作家さんたちが一生懸命になって検索してらっしゃる、それを見て「うわーっ!」って、すごく興奮しました(笑)。で、その後にQARというのが作られたじゃないですか? ああいう裏側って、普通はなかなか見せたくないところだと思うのですけど。それを表に出しちゃうのも、ある意味で挑戦者へのリスペクトなんじゃないかな、と思いましたね。挑戦者の方が、番組の用意した答えに対して「違いますよ」って言った場面をそのまま放送するなんて挑戦者の方への尊敬の気持ちがないとできないなって。そういうのを目にして、より一層「素敵な番組だな」と思ったのを覚えていますね。

――なるほど。佐藤二朗さんとは、いかがですか?
小坂 本番の途中で急に二朗さんが名前を呼んでくださることがあるんですけど、実は打ち合わせみたいなことは一切したことがないんです(苦笑)。千葉さんからは「もし二朗さんの方から振ってくることがあったら、自由にお話していいですよ」ということは言っていただいているんですけど、「どこまでお返ししていいんだろう?」というのは探り探りで……。でも、すごく臨場感が感じられるので、こちらとしても気を抜いていられないというか(笑)。

――ちなみに、佐藤二朗さんはかなり早い段階から「僕はもう、小坂さんに頼り切っちゃってるから」なんてことをおっしゃっていましたけど……。
小坂 みたいですね(笑)。二朗さんから「なんかあったらツッコんでください」みたいなことを言っていただいたこともあるので、たまに「ツッコんじゃおうかな?」と思うこともあるんですけど、まだちょっと封印していて……。私、ツッコんじゃってもいいんですかね?
(同席した番組スタッフ) 次の収録からやってください!
小坂 例えばなんですけど、カフを上げて(マイクをオンにして)「二朗さん、鼻の下伸びてますよ!」とか言ってみようかな、って思うことがあるんですけど……。
一同 (爆笑)
小坂 ちょっとセクハラっぽい発言されてる時とか「言っちゃおうかな?」って思ったりするんですけど(笑)。じゃあ、もし機会があったら。でも、二朗さんにああやって呼びかけていただくと、ナレーターの友人とかから「すごい!」って言われるんです。というのは、ナレーターって番組で名前を呼ばれることがなかなかないので。

――あぁ、なるほど。
小坂 だから、いろんな方から感想をいただきました。ホントにありがたいですし、逆に言うと「そういう機会を与えられている以上は、もっと返しも上手くできるように頑張らないとな」と思いますね。

――ちなみに、カメラが回ってないところで二朗さんとお話をされることはありますか?
小坂 それが、なかなかないんですよね。収録以外では、すれ違った時に「今日もよろしくお願いします」「お疲れさまでした」みたいなご挨拶をちょっとだけするくらいで。だから、実はちゃんとお話したことがないんです。「もうちょっとお話してみたら、さらにツッコミやすくなったりするのかな?」とか思う時あるんですけど(笑)。でも、距離感もあるんでしょうし、そこはやりながら慣れていきたいですね。

――二朗さんに続いては、牧原さんのお話をお願いします。小坂さんにとっては業界の大先輩ですけど……。
小坂 大先輩ですよね(笑)。……実は私が初めてナレーターとしてレギュラーのお仕事をいただけたのが、10年に放送されたフジテレビの5分間番組(『理想の星~クルマノキセキ~』)だったんですが、実はその時に牧原さんと一緒だったんですよ。なので、第3弾の収録の時に「ご挨拶するとき、そのことをお話しよう」と思っていたんですけど、牧原さんも覚えてらして「あの時、一緒でしたよね?」って先に話しかけてくださって。しかも、昼にやっている『バイキング』もナレーションをさせてもらっているのですが、そのこともご存知で。だから、ご挨拶をさせていただいたときにすごく驚いたというか……。実はそんなご縁があったんですね。

――そんな牧原さんとご一緒に『99人の壁』で問題読みをされているわけですけど、番組をやっていく上でのコミュニケーションみたいなものは?
小坂 「こんな風に読みましょう」とかみたいなことを牧原さんとお話したことって、実は一度もないんですよ。収録の現場でも、それぞれが問題をチェックしているだけで。牧原さんがお読みになっているのを見て、私が勝手に読みのスピードを参考にさせていただいている感じですね。あとは細かい所を質問させていただいたりとか……。

――「細かい所」というのは?
小坂 例えばなんですけど、キャラクターの「くまモン」っているじゃないですか? 局によって「くまモン」って読んだり、「くまモン」って読んだりとアクセントが違うんですよ(編集部注:太字がアクセントの位置)。なので、「TBSでは『くまモン』で統一されていたんですけど、フジテレビではどうでしょう?」と質問したり。

――本当に細かいですね(笑)。
小坂 あとは「牧原さんであっても緊張ってなさるんですか?」とか「今までにどんな失敗をされましたか?」みたいな質問をして、いろいろお話を聞かせていただいたこともあるんですけど(笑)。

――なるほど(笑)。続いてはQARのお部屋でご一緒されているクイズ作家の方々についてお伺いしたいのですが。作家の皆さんとはどうですか?
小坂 すごく良くしていただいています。しかも、日高(大介)さんとは帰る方向が一緒だったりするので、たまに一緒に帰りながら「実はクイズが昔から好きだった」とか「『アメリカ横断ウルトラクイズ』も観てた」とかいう話をしたりとかしているうちに「この人は本当にクイズが好きだな」というのに気づいていただけたみたいで、それからはもっと盛り上がるようになったというか。

――なるほど。
小坂 で、皆さんがもう、ホントに心強いんですよ。たとえば漢字の読み方とか、他の現場だとルビが振ってなかったりした時に「どう読むんだろう?」って自分で検索しなきゃいけないんですけれど、この番組の場合は皆さんがバッと教えてくださったりとか。作家さんたちの雰囲気も、私にとってはとても居心地が良く、楽しくさせてもらっています。

――そういえば最近、伝説的な問題があったじゃないですか。
小坂 あぁ、あれですね。「イントロクイズ」の……(6月8日放送回)。

――はい。あれはまさにクイズ作家さんとの連携があったからこそできた問題ですよね。
小坂 あの問題を最初に見た時、自分の中で3パターンの読み方を用意したんですよ。確か「早押し問題です。次のイントロを聞いてお答えください(というときの『イントロ』とは、何という言葉の略?)」みたいな文章だったと思うんですけど、その「お答えください」のあとに間を取るか・取らないか……。その間の取り方も半拍ぐらいがいいのか一拍がいいのか、その3パターンを用意したんです。で、どう読もうか迷ってたんですけど、その問題の直前に日高さんが「小坂さん、そこちょっとだけ空けてください」っていう風に言ってくださって。それで「じゃあ半拍にしよう」と。そういう連携は、必要に応じてその都度ごとに出てきますね。

――そういう「読み方の指示」みたいなことって、けっこうあるものですか?
小坂 稀に日高さんから「ここはこうやって読んで」って言われることはあるのですけど……。でも、基本的には無いですね。逆に「極力フラットに、ほとんど変えないように」ということを心がけているくらいなので。まぁ、小学生に問いかける形だったりすると、多少変わる部分もあるかもしれないですけど。

――なるほど。あと、QARといえば、先ほど「『ウルトラ』で推していた」とおっしゃっていた長戸さんもいらっしゃいますよね。長戸さんと実際にお会いになってみて、いかがでした?
小坂 実は最初は「お会いしたくないな」と思ってはいたんですけど……。というのは「緊張のあまり噛み倒したらどうしよう」って思ったりしちゃったので(苦笑)。でも実際にはそういうことにはならなかったんですけどね。で、お会いして「ヒーローというものは、ずーっと色褪せないんだなあ」と思いました。これは変な例で申し訳ないのですけど……もし子供の頃に長戸さんのことを「素敵な男性だ」なんて感じで見ていたら、大人になるにつれて好みが変わってしまったかもしれないですけど(笑)。でも、当時の私にとっては「すごい人だ」っていうヒーローとしての印象だったので、「ヒーローって色褪せないな」っていう風に実感していて。あの頃のヒーローとご一緒させていただいているのは、未だに不思議な感じですね。

100万円獲得が阻止されると
思わず「やられた!」と声を出すことも

――続いては挑戦者についてお願いします。特に印象に残っている出場者とか、問題のジャンルはありますか?
小坂 それが、いっぱいあるんですよね。毎回が毎回……なんて言ったらいいんですかね?

――「奇跡の連続」とか?
小坂 そうなんです! もう本当にいろんなことがあったんですけれど……。ただ、ジャンル設定に関していうなら「小説イントロ」は「こんなジャンルの設定の仕方があるんだなあ」と驚いたし、忘れられないですね。しかも、その時は牧原さんがお読みになった冒頭の一言だけでバーンと押されてたじゃないですか? そんな調子で正解し続けて100万円を獲られた。あのジャンルのチョイスの仕方とか、未だにちょっと信じられないんですよ。

――なるほど。ちなみに、この「小説イントロ」も含めてなんですけど、ご覧になっていて「あ、この人は100万円獲りそうだな」みたいな予感のようなものは……。
小坂 応援の気持ちもあってか、そう感じる人は多いですね。でも、5問目で阻止されちゃうことが多いんですけど。そういう時は、QARの中でも「うわー、やられたぁ」とみんなで思わず声を出してしまったり。そういうこと、今までにもたくさんあったんですよ。

――5問目で阻止されると、QARの皆さんもガッカリなんですね(笑)。
小坂 逆に、早押しの問題が5問目にあって、そこで早い段階で押す挑戦者の方とかもいるじゃないですか? そういう時は「うわっ、ここで押されるか」と思いながら、そこで読みを止めるんですけれども、そこで幾つかの選択肢があるにもかかわらず見事に正解する方もいらっしゃって。そこで100万円を獲って興奮されている時は、私たちも一緒になって喜んでいるので。そういう意味では、もう本当にいろんなドラマがありますよね。例えば「キツネ」のジャンルで出られた大学生と、その方にブロックされた「超難読漢字」の少年が、ダブルスの回に一緒に出られて100万円を獲得されたり……。

――しかも小坂さんは、その興奮を目の前で、問題を読みながら体感されているということですものね。
小坂 はい! もうたまらないですよ(笑)。まさに特等席ですよね。……実は問題読みをするのって、相当な緊張感があるんですよ。「早押し問題です」と言ったあとに「次の問題の一文字目の声、出ないんじゃないか?」って思うぐらい緊張することがあるんですけど……。でも、それ以上に「やめられない」って思うぐらいの楽しさとか興奮・感動みたいなものを毎回いただいています。

――もし小坂さんがこの番組に解答者として出るなら、どんなジャンルを選びますか?
小坂 それが、ひとつに絞るのが難しくて……。実は以前、ツイッターの告知動画でそういうのを話させて頂いたことがあって、そこでは「サザンオールスターズ」って言ったんでけど。日高さんも大好きなんですけど、私も負けないくらい大好きで、それで話が盛り上がったこともあります。『TSUNAMI』がレコード大賞を獲った年(00年)なんか、年越しライブを前から2列目で、仰ぎ見るように観てたりとかしたくらいで。ただ、すごく興味があるジャンルはほかにもいくつかあって。たとえばギリシャ神話。これもけっこう興味があって、時々講座を聞きに行ったりするくらいなんですよ。まぁ、ギリシャ神話に関しては「講師をされてる方に挑戦してもらいたいな」とも思うんですけど。

――自分より詳しい人に挑戦してほしいと。
小坂 はい。あとは以前、何回かチャレンジャーの方が来てらしたんですけど、「太宰治」というジャンルもすごく興味があって。実は20代の頃にすごくハマっていたので、問題をチェックしながら「自分だったら解答できるか?」なんてやってみたり(笑)。

――ちなみに、その時の結果は?
小坂 あの時はほとんどわかったので「わぁ、『太宰治』ならいけるかも!」って(笑)。ただ「自分が挑戦したい」よりは「この問題を読んでみたい」っていう気持ちの方が強かったので、その方がチャレンジャーになれなかったのは残念でした。

――なるほど。
小坂 あと、実は親戚に元プロ野球選手の「上原浩治」がおりまして……。

――え、親戚なんですね!
小坂 はい。なので「浩治さんでチャレンジしてみたいなぁ」というのもあります。

――なるほど。……でも本当、小坂さんや牧原さん、二朗さんといった出演者の方がチャレンジャー側に回るというのも一度見てみたいですよね。
小坂 それは思います! ……でも「私がやったら、知っている問題でも緊張して答えられないんだろうな」と思うんですけど(苦笑)。そういう意味では、「チャレンジャーさんたちには尊敬しかない」というのは、いつも思っているというか。好きなものに対する熱を持っているということだけでも輝いているのに、他人の「好き」をブロックして中央に来て、あの緊張感の中で答えていかれる。そういうのを考えたら、もう本当にリスペクトしかない。問題を読みながらも、そういう気持ちが自然と湧いてきますよね。

――だって、100人の中からセンターに行くのだって大変ですものね。
小坂 そうなんですよ! しかもブロックしてセンター行く時にドラマチックなことがあったりして。例えばこの間、5問目で「日本で一番お寺が多い都道府県は?」という早押し問題があったんですけど、押された方のジャンルが「名古屋めし」だったんですよ。私たちは答えが「愛知県」っていうことを知っていたので、QARの中ではボタンを押された瞬間に「うわーっ!」「やられたあ~」みたいになって(笑)。そういう面でも、ホントにすごく面白いですしね。毎回のように予想できない展開があるというか、もうひとつひとつがドラマになっているので。

――ですよね。あと、先ほど「緊張」というお話がありましたけど、お子さんの出場者はどうですか? 見ている限り、「子供って、度胸がすごいなぁ」なんて思うのですけど……。
小坂 もうホントに! で、たまにあくびしてたりとかね(笑)。かわいいですよねえ。……そういえばこの番組って、いろいろな方に見ていただいているんですけど、お話を聞いていると特にお子さんがハマるらしいんですよね。たとえば友人のお子さんとか、まだ小学校の低学年くらいなんですけど、1回観たあとで「録画したのを繰り返し観たい」っておっしゃっていたりとか。

――お子さんが「自分の得意な問題だけで出られるかもしれない」って思える番組って、他にないですものね。
小坂 ですよね。しかも、大人と同じ土俵で戦うなんて絶対ないじゃないですか? ほかのクイズ番組だったら、いつも大人だけでやっているのを、たまに「子供大会をやります」みたいな感じにならざるを得ないですし。でも、この番組では子供が大人顔負けの活躍を見せて、大人がみんな「へえー」と思わされるという。

――「地下鉄」の時とかすごかったですものね。小学生が大人の女性を倒す、っていう。
小坂 すごかったです! 確か「銀座線」を正解したと思うんですけど、あれはビックリしました。子供のチャレンジャーがいると目が離せないですね!

――では最後に小坂さんから「番組のこういうところを観て欲しい」みたいなメッセージをお願いしたいのですけど。
小坂 「ここを観て欲しい」ですか? ……うーん、ひとつに絞り切れないです(苦笑)。

――お時間のある限り、いくつ言っていただいても大丈夫ですよ(笑)。
小坂 まぁ、強いて言うなら「すべて観て欲しい」ですけれどね。たとえば番組をひとりで回していらっしゃる二朗さんの凄さですとか、その二朗さんをMCに選ばれたスタッフさんのセンスですとか……。あと、回を重ねるにつれ、番組がどんどん進化しているように感じているんですよ。それはクイズそのものもそうですし、番組の作り方もそうですし……。毎回、どこかしら新しく変わっていっているので、ぜひ毎回観ていただいて、その変化を実感していただけたらなと思います。

――ありがとうございます。これからの『99人の壁』の進化にも期待しています!

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