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INTERVIEW

クイズの楽しさはナニと一緒!? AV男優・しみけんが語る『地下クイズ王決定戦』秘話

クイズの楽しさはナニと一緒!? AV男優・しみけんが語る『地下クイズ王決定戦』秘話

地下クイズをやることで
人と深く仲良くなれる!

――「令和の展望」みたいな話をした後でちょっとアレなんですけど、少し過去を振り返っていただきたいのですが……。「クイズを始める前・始めた後」みたいなところで、しみけんさんに変化みたいなものはありましたか?
しみけん それは「地下クイズ」の前後ってことですか?

――地下クイズについても聞きたいですけど、まずはクイズ全般ということで。まぁ、しみけんさんの場合は「クイズの中でも地下クイズを選んだ」ということだと思うんですけど。
しみけん そうですね。そもそもなんで地下クイズを選んだかというと、そっちのほうが興味を持てたんです。例えばクイズの本なんかだと、ベタ問がばーっと並んでいたりするじゃないですか。僕、そういうのを読む時、覚えたくない問題は全然覚えないんです。例えば○○天皇とか○○王朝みたいな……。そういう「あっ、そうなんだ」で終わってしまう問題は嫌いなんで、もう覚えない。

――たとえどんなにベタ問であっても、興味が無いものはイヤだと。
しみけん はい。興味のあるなしがハッキリしちゃってまして。例えば「アメリア・イアハート効果」(「ナンバーワンではないものでも、切り口を変えればナンバーワンになりうる」というマーケティング用語)という、「えっ、そんなことにそんな名前ついていたの?」という言葉とかは大好きで。僕は講演会とかで、自分らしさを出すためによく「アメリア・イアハート効果」って言葉を使うんです(笑)。そういう風に、他人に興味を持たせられる問題というのが好きで。……で、そういう問題が多かったのが地下クイズ。

――なるほど!
しみけん 地下クイズを勉強していたおかげで、たまに普段の会話の中でも共通する話題がある人とお会いすることもあって。例えば「未解決事件が好きだ」っていう人と話があったりとか……。で、昨日もね、普通の食事会だったんですけど、僕・社長・社長・テレビ局の人・著述家っていう5名で食ってて。その時に「最近、○○さんの新しい彼氏がさあ、働かなくて困っているんだよ」って、その彼氏の動画を観たんですよ。そうしたら、そこに出てきた彼氏がヒッピーっぽい格好で、服の真ん中に「プロビデンスの目」(「フリーメイソンの象徴」ともいわれるキリスト教における意匠)みたいなのが描かれてて。で、その方のラリり方を見て「この方……大麻やってますよねぇ」って言ったんです。そしたら、「えっ、なんでわかるの?」って話になるわけですけど、そのうちの一人がそれ系に詳しくて、「やってんですよ! よくわかりましたね、この一瞬で」って。で、僕が「いやぁ、薬をやっている人って “大麻やってるスタイルだな”とか“この人は覚せい剤だな”って。雰囲気でわかりますよね」って言ったら、その人は「実は僕、カンナビノイド学会(大麻草の医療的な研究を推進する団体)の会員なんですよね」とか言い始めて(笑)。

――なるほど、ガチな研究家だったと(笑)。
しみけん で、そこから急に薬物の話になったりとか……。地下クイズの話っていうのはそんな風に、なんとなくの上っ面な話だったのが、急に深掘りされていくことがあるんですね。「日本三大ソープランド」の話になった時もそうで、飲食店の経営者が「実はいろんな接待があって、1日に三大ソープを回ったことがあるんですよ」って言い出したんで「超すごくないすか、それ!」みたいな。だって、三大ソープって言われているのって、吉原の「ピカソ」、雄琴の「フォーナイン」と熊本の「ブルーシャトー」ですよ。「それ、一日で周れるんだ」って思うじゃないですか?

――熊本は遠いですねえ(笑)。
しみけん とはいえ、「ブルーシャトー」は日本の頂点に立つソープランドなので、「ここは絶対に行きたい」と。ただ、「ブルーシャトー」は一見さんはなかなか予約が取りにくい。で、その人が取った行動が、まず熊本へ飛んで事情を話したら「系列店の『エアポート』というソープランドで実績を作ってください。そうしたら予約取ります」と店員さんに言われたと。で、「エアポート」に行ったら、めちゃくちゃ良くて2発抜いちゃった。で、「2発抜いたあとの賢者タイムで『ブルーシャトー』に行くのはもったいないかな」と思ったけど、「まあ、いいか。僕には時間がない」ということで、「ブルーシャトー」を予約して。で、待ってる時に、その近くにあった「RAO」っていうギャル系の集まるソープランドの前を通ったら、そこの呼び込みが見せてくれた女の子がめちゃくちゃ可愛くて。伝説のブルーシャトーに行くために、エアポートで2発抜いて、さぁ、これから本丸のブルーシャトーって気持ち溜めてる時に、「RAO」にも行っちゃったと。そしたら「ここでも2発抜いた」と。

――えええぇ……。
しみけん で、エアポートで2発、RAOで2発抜いたもんだから「いやぁ、もうこれ『ブルーシャトー』は別の日にする? しんどいわ」ってヒヨって「ブルーシャトー」に行ったら、3発抜かれたんだとか(笑)。

――……(絶句)。
しみけん 「そりゃすごい!2・2・3ですか!」って。

――それ、1日ですよね?
しみけん 1日で(笑)。それぐらい「ブルーシャトー」は良かった、っていう。

――……(困惑)。
しみけん いい話ですよね(笑)。だって、それは「ブルーシャトー」というお店のテクニックとか良さがわかる話でもあったし、そもそも地下クイズをやってなかったらそんな話にもならなかっただろうし。その飲食店経営者の方も「僕、このこと初めて話しましたよ。恥ずかしじゃないですか」って。そんな感じで、地下クイズをやることで人と深く仲良くなれるようになりましたね。上っ面だけの会話じゃなくなったというか……。

――でも実際、地下クイズに絡む話って、みんなホントは好きですからね。
しみけん そう! だって、人は隠されているものを見たくなりますから。穴があったら覗きたくなるでしょ? だからみんな○○○見たいんですよ(キッパリ)。

――……(無言)。
しみけん そういうことなんです! 隠されているところは見たくなる、っていうね。だからまあ「地下クイズ」ってのは、人と深く仲良くなれるきっかけにはなりましたね。

――しみけんさんのアンテナ的にも一番ピタっとハマるジャンルだったと。
しみけん うん。「コミュニケーションに使える」と思ったし、あとは純粋に興味がピターッと合ったので。だから初めて出場することが決まった時は、それはもう勉強しまくりましたね。で、勉強をしてみたら「へぇ~、意外とこんなのがあったんだ」みたいな感じになって。例えば「処女膜があるのは人間とモグラだけ」みたいな話、ありましたよね?

――あっ、そうなんですか?
しみけん あったんですよ(笑)。で、僕はその話は知ってたんですけど、調べたらガセネタで。しかも、それは三島由紀夫氏が作ったガセだったんですよ。それで「えーっ!」みたいな。あと「処女膜って杉田玄白が作った言葉なんだ!」とかね。

――それは言われてみると納得できますね(笑)。
しみけん あとは「日本にセックスレスが増えた原因は貝原益軒の『養生訓』」とか。もう、知らないことがいっぱい出てきたんですよ! で、「地下クイズって、めっちゃ面白いじゃん!」って思って。

――それにしても、今のお話を聞くと、しみけんさんって「地下クイズ界の水津康夫」みたいな感じですよね。自分の気になったことをひたすら調べて、覚えて、って。
しみけん いやいや、今はたまたま文学・歴史のところを話したからそう感じたんだと思いますけど(苦笑)。でも、それはもうめちゃくちゃ興味が惹かれましたよね。

――ちなみに、クイズ研究会界隈では「しみけんさんは元クイズプレイヤーだ」みたいな話はもとからある程度広まっていましたけど、世間一般の人たちに「クイズをやっている」みたいなカミングアウトみたいなのは……。
しみけん 全くしてないです。「クイズをやっているってのは、1ミリも言ったことなかった。周りの人からすると、まあ「雑学に詳しいね」というような感じだったんじゃないですかね。

――じゃあ、『地下クイズ王』が衝撃のデビューだったのですね。
しみけん たぶん「えっ、この人、早押しできるんだ」みたいな感じでビックリしたとは思います。だって、フォロースルーも、なんとなくクイズをやっていた風でしたもんね(笑)。

――しかも、しょっぱなの解答権を取ったのってしみけんさんでしたよね?
しみけん そうですね。「パイパン」って。

――あれ、観ていて衝撃的だったんですよ。AV男優の人がクイズ番組に出て、そういうジャンルを答える。そこまではさほど衝撃ではないというか、むしろ想定内だったんですけど。でも、「あのポイントで押してこれが答えになるか!」という……。
しみけん うん。あれは確定ポイントでしたね。

――なんていうんですかね、そこの攻略法を熟知しているというか……。
しみけん あー、なるほど(笑)。でも、やっぱ見る人が見たら「あっ、確定ポイントで押してるな」とか「読ませ押ししてるな」っていうのはわかりますものね。

――はい。だから「この人は超高度な戦いをやっているな」というので衝撃を受けました。
しみけん まぁ、あれは編集にも助けられてますけどね。やっぱり、誤答もいっぱいあったので。でも、そう言ってもらえるのはうれしいです。

――で、先ほどの話に戻りますけど、『地下クイズ』に出たことによって、現場だったり、私生活だったりで変化は……。
しみけん あぁ、あの時は変わりました! ただ、クイズをやってることに対して「意外でした」っていう声はなかったんですね。

――え、そうなんですか?
しみけん はい。ただ、それまでは「いつもAVで見てます!」って声をかけられていたのが、「この前『地下クイズ王』観ました!」という声のかけられ方になりました。

――あぁ、なるほど!
しみけん それがうれしかったですねぇ。で、そこから世間一般的にも若干「しみけん=クイズ」というイメージが付いたのかもしれませんね。

――そういえばYou Tubeで、しみけんさんがクイズを出されている動画(『女のFuuTube』)を観た記憶があるんですけど……。なんか出題者が超難問を出してしみけんさんが悶絶している、という。
しみけん あぁ、あった! あれって何かの取材で、いきなり辻斬りされたんです(笑)。確か10問中5問答えたのかな? ただ、あの時はちょっと錆びついていて…。もうホント恥ずかしい話です。シャーロック・ホームズに付けられていた仮の名前(シェリンフォード)が思い出せなかったり。あれは恥ずかしかったなぁ……。あと「箱推し」も答えられなかったような気がする。後半は何とか答えられたんですけどね。

――でも、ああやっていきなり出題されているのを見て「あっ、この人は完全にクイズのアイコンになったな」と思ったんですよ。
しみけん 辻斬りされた方からすると、「あ、そういう切り込み方あるんだ」と思いましたけどね。ああいうのって、されるとうれしいですけど、悔しい思いをすることのほうが多いので。……とか言いつつ、僕はよく伊沢君や徳久(倫康)さんに辻斬りするんですけど。

――そうなんですね(笑)。で、「人生変わった」の話に戻しますけど、人生の伴侶・はあちゅうさんと出会われたのもクイズがきっかけですよね?
しみけん そう。『地下クイズ王』を観てくれたカミさんがツイッターをフォローしてくれて。で、僕も彼女のことは知ってたんで、「ああ、珍しい人にフォローされたなぁ」と思って、「じゃあ、ご飯行きませんか?」と。それが最初でしたね。

――僕の記憶だと、確かゲンロンカフェで「QUIZ JAPAN」主催の『ウルトラクイズ』のトークライブ(2014年6月)を開催した時に、お二人がご一緒で観に来てくださったような……。
しみけん あぁ、そうです! あの時は一緒に行きました。

――そうですよね。ちなみに、はあちゅうさんはクイズに興味は?
しみけん うーん……。実はうちのカミさんは最近、「それはクイズハラスメントだ!」って言葉を使うようになって(笑)。

――クイズハラスメントって、どういうことですか?
しみけん クイズが好きな人って、「この楽しさをわかってもらいたい」ってことで、クイズに誘ってしまいがちじゃないですか? でも、未経験の人には、初めての時に「楽しい」っていう思いをさせないとそれがわかってもらえない。第一印象は大事なんですけど、うちの場合はそこがダメだったみたいで……。だからカミさん、クイズ出すのは好きでも答えるのは嫌いですね。

――あぁ、なるほど。
しみけん だから、「一緒にライブクイズをやろう!」って誘っても「クイズハラスメントだ」なんて言われますね。……うーん、クイズ好きにならせるって難しいよなあ(笑)。

――しかも、1回マイナスの印象が付いちゃうと、なおさら難しいというか。ちなみに、クイズがダメになった理由は?
しみけん うちのカミさんが『ミラクル9』に出た時に、一斉早押しか何かでけっこう取り残されちゃったんですね。それがキツかったみたいで。対策は立てたんだけど、実戦はまた違いますよねえ……。うーん、どうやったらクイズ好きになってもらえるかなぁ?

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