2018年5月26日(土)、岐阜県不破郡関ケ原町で「クイズ関ケ原 小早川秀秋の決断!」が開催された。関ケ原の合戦に参加した武将をテーマに毎年開催される「関ケ原武将シリーズ」の第5弾として人間将棋やチャンバラ合戦など様々な企画が催され、このクイズイベントもその1つとして行われたもの。
参加者が東軍と西軍に分かれて激突する「クイズで関ケ原合戦を体験する」という内容のため、当日は会場受付にて東軍・西軍の各100人を募集。『東大王』にレギュラー出演中の水上颯と、京都大学クイズ研出身の廣海渉という2大クイズ王の出演もあってか、受付開始時間前から行列ができており、スタート直前の会場には立ち見客が出るほど大勢の人が集まっていた。県内外から合戦マニア、将棋マニアなどクイズマニア以外の人も多く参加し、普段のクイズ大会とはまた違った客層となった今回のイベントの様子をお届けしよう。イベントが始まると、司会進行のフリーアナウンサー・常世晶子と解説役のクイズ作家・日高大介が登場。今回のコンセプトや注意事項を説明すると、ステージに東軍大将・水上颯と西軍大将・廣海渉を呼び込み、まずは水上颯と廣海渉による早押しクイズのデモンストレーションが行われた。
クイズ王によるデモンストレーションということで、『フランス語で「名誉の軍団」/……』(レジオンドヌール勲章/廣海が正解)、『宇宙はビッグバンで始まったという理論を裏付ける証拠の一つである、宇宙のあらゆる方向から/……』(宇宙背景放射/水上颯が正解)など難度の高い問題が7問出題された。結果は水上が4ポイント、廣海が3ポイント獲得で、水上の勝利。このあとの参加型クイズに向けて、日高から「ここまで難しい問題は出ませんのでご安心ください」とフォローが入ると、いよいよクイズ関ケ原の流れが説明される。
第一ラウンドは、各軍100人の参加者の中から、大将に挑む武将3名を決める「○×勝ち残りクイズ」。
受付時に配布された◯×用紙を使い、まずは全員参加で○×クイズに挑戦。話し合いOKで、勝ち残った人数の多い軍が勝利となる。また、各軍の勝ち抜け3名が武将として第二ラウンドに参加できる。ここでは『「天下分け目」の関ヶ原の戦いは、わずか4日間で終わった戦いである』(正解は×)、『ここ関ケ原は、江戸時代は東海道の宿場だった』(正解は×)など開催地の関ケ原にちなんだ問題が出題され、勝ち進んでいく参加者の年齢はさまざま。東軍の中には小学1年生という男の子の姿もあった。
用意された10問で東軍・西軍どちらも1人ずつ全問正解を達成し、結果は両軍ドロー。ここで勝ち残った西軍の1人とは、なんと小学4年生の男の子だ。続く第二ラウンドは、各軍の勝ち残った3名が大将とともに戦う「サバイバル一問多答クイズ」なのだが、小学4年生の彼は、司会者の機転で急きょ母親についてもらい、代わりにクイズに解答してもらうことになった。「多答クイズ」は、答えが複数あるクイズに両軍が交互に答えていき、不正解者は失格=その問題の解答権がなくなるというルール。それぞれの軍が気合い入れをすると、まずはチーム内の解答順を決めるのだが……。大将がヘッドセットマイクをつけているため、お互いの軍の会話内容が筒抜けになるというイベントならではの出来事が。
そして各軍の戦いがスタート。特筆すべきは1問目の『ここ関ヶ原も何度も舞台になったNHKの大河ドラマ。これまで放送された歴代大河ドラマは全部で57作あります。そのタイトルをお答えください』という問題。最後まで残った西軍大将の廣海と、東軍としてクイズに参加した男性の一騎打ちとなり、『樅ノ木は残った』『風と雲と虹と』といった難度の高いタイトルを次々と答えた男性が勝利した。
2問目は『合戦型形式の音楽番組といえば『NHK紅白歌合戦』です。これまでこの番組に20回以上出場した歌手・グループは28あります。その歌手名・グループ名をお答えください』。2巡目で大将がそろって誤答し、3巡目まで勝ち残った東軍が連勝した。ここまで、第一ラウンドはドロー、第二ラウンドは東軍の勝利という結果になっている。迎えた最終ラウンドは「東西対決早押しクイズ」。再び全員参加の○×クイズを行い、勝ち進んだ中から、「早挙げクイズ」(挙手が最も早かった人が解答権を得る)で正解した3名ずつが壇上で早押しクイズに出場できるというルール。日高から「早押しのコツを一言で」と振られた両軍大将は、「思い切り」(水上)、「そうだと思ったら挙げてください」(廣海)と答えて両軍の戦いを見守った。◯×クイズ、そして早挙げクイズで、武将が3名ずつ決定し、いよいよ決勝戦へ……と思いきや、どこからか「ちょっと待ったぁ!」という声が。登場したのは、『第13回アメリカ横断ウルトラクイズ』準優勝などで知られるレジェンドクイズ王の永田喜彰……が扮する小早川秀秋! 永田は「どうも西軍には手練れが多い」と東軍に加勢することを提案。かくして、最終ラウンドの武将戦は、東軍4人と西軍3人の対決となった。ルールは、まず武将チーム同士が対決し、5ポイント到達で相手の武将チームを討ち取ることができる。武将チームを討ち取られた軍は大将が登場し、ポイントをリセットして改めて相手の武将チームと5ポイント先取の対決を行う。そこで武将チームが5ポイント先取した場合、その軍の勝利。大将が5ポイント先取した場合は、ポイントをリセットして大将戦となる。
ところが、対決が始まると、早挙げクイズの勢いそのままに西軍が一気に5問を先取。小早川秀秋の助太刀むなしく、東軍は多答で獲得したアドバンテージの1点のまま敗退し(小早川~!)、大将・水上の出番となってしまう。しかしさすがは大将、『濃尾平野を流れる3つの川を/「木曽三川」といいますが、それは木曽川、長良川とあと1つは何でしょう?』(正解:揖斐川)など、見事な早押しを見せ、西軍の勢いに待ったをかけた。
『今年CDデビューしたジャニーズ事務所の新しいグループ、King & Princeは何人組でしょう?』という問題では、西軍の誤答で解答権を得た水上が「10人組」と答えてしまい(正解は6人組)、思わず照れ笑いがこぼれる一幕もありつつ、最終的に5対2で水上が西軍武将をなぎ倒し、いよいよ大将戦に突入。『それを考案した東大の名誉教授の名前がつけられた/、人工衛星のパネルや地図に用いられている折りたたみ方は「何折り」でしょう?』(正解:ミウラ折り/廣海が正解)
『老舗の足袋メーカー「こはぜ屋」/がランニングシューズの開発に挑むというあらすじの、昨年10月にTBSでドラマ化された池井戸潤の小説は何でしょう?』(正解:『陸王』/水上が正解)
と、廣海が2問先制すると、水上も負けじと2問連取と攻防を繰り広げたが、5問目から廣海が連続正解でリーチ。最後は『歴代の日本の総理大臣を五十音順に並べた/時、最初に来るのは芦田均ですが、最後に来るのは誰でしょう?』(正解:若槻禮次郎)を廣海が答え、西軍がクイズ関ケ原を制し、400年前の関ケ原での雪辱を晴らす結果となった。
最後は大将の二人が、一緒に戦った参加者の中から最高殊勲賞(西軍)、敢闘賞(東軍)を選出し、トロフィーが授与された。廣海が最高殊勲賞に選んだのは、◯×クイズで全問正解し第二ラウンドに参加した小学4年生の男の子。水上は「大河ドラマをたくさん答えてくれたお兄さん」ということで、第二ラウンドの大河ドラマ多答問題で大活躍した男性を敢闘賞に選ぶ。男性は水上と同い年だそうで、「大河ドラマについて研究したことがあった」とのこと。客席から二人に大きな拍手が贈られると、あっという間にエンディングの時間に。あまり活躍できずに終わってしまった永田だが、「いい戦いが見ることができました」と振り返り、「ぜひまたお会いしましょう!」と結んで5人が退場した。企業や県庁主催によるクイズイベントといえば、関東近郊で行われるものがほとんど。その点でも、関ヶ原という歴史的にも意味がある場所で、クイズ王の早押しを間近で見ることができ、なおかつ初心者も一緒に戦えた今回のイベントは、地方在住のファンにとっては嬉しい企画だったのではないだろうか。このようなクイズイベントが再び開催されることを願ってやまない。