2017年3月26日、渋谷の東京カルチャーカルチャーにて「“東大医学部の異端児”水上颯クイズナイト」と題したイベントが開催され、「QUIZ JAPAN」も潜入取材を試みた。
この記事をお読みの方には説明するまでもないが、イベントの主役である水上颯とは、東京大学のクイズ研究会に所属し、日本テレビの『高校生クイズ』や『頭脳王』で優勝した経験を持つ有名人。「東大医学部の異端児」というキャッチコピーや、白衣を着て「古代エジプトの象形文字を解読せよ」というようなトンデモない難問をスラスラと解く姿は一度は見たことがあるはずだ。
会場となったニフティが運営するイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」は、昨年12月にお台場から渋谷に移転。移転したcocoti SHIBUYA(渋谷ココチ)は、シネコンも入る商業ビル。そんなオシャレなビルの4階にあるカルカルでは、日夜、さまざまなカルチャーのイベントが行われているわけだが、この日は明らかに、いつもと勝手が違う。客層がほぼほぼ女性ばかり。しかも、おそらく人生初のサブカルイベントに来たという雰囲気の未成年の女の子が、お母さん同伴で来ているケースが目立った。あっという間に場内は満席で、その数なんと200名以上! これまで見てきたクイズ関連のイベントの中で、最も女性の割合が高く、最もクイズプレイヤー(クイズをする人)の割合が低いイベントなのは間違いない。
まずイベントを企画したkitahanaさんの呼び込みにより、出演者である水上くん(あえてこう呼びたい!)が登壇。競技クイズの大会に参加したことがあれば、彼を目にすることもあるのだが、この日集まったお客さんはテレビを通じてしか接したことがない人がほとんど。そのため、最初の感想は、みな「本物だ!」だったのではないだろうか。
そしてイベントは、1時間のトークコーナーからスタート。ミステリアスな水上くんの人となりを少しでも掘り下げようと、プロフィールから趣味や大学生活まで、質問形式で進められた。主だった質問と回答は以下の通り。
Q.どんな本を読んでいますか?
子供の頃から推理小説が好き。今のオススメは「このミス」大賞を受賞した『がん消滅の罠』。最近はクイズにも役立つので、新書をよく読みます。ただ、本を持ち歩くのは重いので、外では読みません。
Q.好きな食べ物は?
からあげ。
Q.新生活を迎える人へのアドバイスは?
一番大事なのは「友達を作ること」ですね。4月に友達を作っておかないと、5月以降に友達が作れなくて大変なことになります。あとはサークルに入った方がいいですね。
Q.どんなクイズが得意?
本を読むのが好きなので文学と哲学。それと理系はオールラウンドで得意です。
Q.逆に苦手なのは?
テレビを全く見ない生活を送っているので、スポーツと芸能はとても苦手。この前、友達の家で『M-1』を見るまで上戸彩の顔がわからなかったぐらい芸能が弱いんです。最近、有村架純を覚えました。顔はわからないんですけど、映画の主演が誰かは知ってるんです。なぜかというと、クイズに出るから。覚え方としては最悪ですよね(笑)
Q.楽譜を読むクイズがありますが、楽器の経験は?
10年間ぐらいピアノをやっていました。
Q.クイズを作るコツは?
コツは1つ、「自分がおもしろいと思ったクイズを人に出す」です。
Q.クイズ大会に前日にすることは?
クイズ大会の前日は早く寝ます。僕はかなりロングスリーパーなので、8時間は睡眠が必要なんです。
Q.早押しのコツは?
僕は早押しはヘタなんです。瞬発力がないので、押し負けるんです。それは適性なので、人より早いところで自分だけがわかるように、知識をつけるようにしてます。だから早押しの上達の仕方はわからないですね。
Q.クイズ番組に出るのは大変?
クイズ番組に出る時は楽です。僕らは素人なので、ただクイズに答えればいい。甲子園でバットを振ればいいのと同じで。宇治原さんとかタレントの方は、クイズに答えて、なおかつ面白いことも言わなきゃいけないから大変ですよね。
Q.テレビでキャラクターをつけられることについては?
キャラ付けをしてるのは、僕ではなくてテレビの作り手の人たちですからね。僕はそこには全く関与してないので、何を言われても…。僕は自分が出てるテレビは基本的に全く見ないんです。
Q.クイズ大会とテレビは別?
クイズ大会の時の方が真剣ですね。僕はクイズ大会で早押し機を持ってる時だけは、周りの人を殺す気でいますから(笑)。『Qさま!!』とかでそれをやると「こいつ一人で何をいきがってるんだ」って思われちゃうので、ゆるい気持ちでやってます。
Q.水上さんがテレビに出ている時はいつも眠たそうなんですが、実際そうなのですか?
僕は思っていることが顔に出るので、眠そうな顔をしている時は眠いんです。だから収録前はちゃんと寝ようと心掛けております(笑)
Q.得意料理は?
料理はほぼできないです…。リンゴを切ることはできます(笑)
Q.水上さんのご両親はどんな教育方針でした?
わりと放任主義でした。そもそも勉強自体が好きじゃなかったです。
Q.ゲームはやってました?
ゲームは大好きですよ。小学生の頃からやってます。親には「1日1時間」とか言われましたけど、平気で1日5~6時間ぐらいやってました。親の言うことを聞かずにやり続けて、目が悪くなりました。
などなど、興味深い回答も飛び出した。途中からは、ゲストとして『LIFE 人間が知らない生き方』(文響社)の著者でもある篠原かをりさんが加わり、クイズ番組の秘話も披露(篠原は『Qさま!!』の学力女王にも輝いたクイズ女王)。特にすごいと思うタレントは、2人ともそろってカズレーザーの名前を挙げていた。
そして休憩をはさみ、後半1時間は全員参加のクイズ大会に突入。出題されたのは、なんと水上くんによる特製の4択問題! クラシック音楽、植物、漢字、トランプ政権と、問題のバリエーションも多彩で、さらに解答発表後には、水上くんによる解説付き。まさにクイズを通して、水上くんの個性に触れられた時間だった……のだが、用意された問題を消費しても、優勝者が1人に決まらないため、急遽、即興で水上くんが問題を作成することに(うれしいアクシデント!)
その問題がこちら!
うわー、実に『頭脳王』っぽい問題! こんな問題を即興で考え出せるなんて。問題がモニターに出た瞬間、場内から、女子たちのため息が聞こえました(この問題の答えはこの記事の最後に)。ちなみに、この問題を作成している様子を「パソコン打ってる姿、マジで(『DEATH NOTE』の)Lっぽい」と実況ツイートした人もいて、激しく同意。
この問題、壇上にいた2人のうちの1人が単独正解。観客側からは誰も正解がわからなかったためか、正解が発表された瞬間、どよめきと拍手が巻き起こった。正解者の男性には、水上くんから直々に表彰状が太渡されて、クイズコーナーは終了。
クイズの後は、再びお客さんの質問コーナー。中国からの留学生や7歳の小学生からの質問に、真摯に答える水上くんに、好感度はますますアップ。特に7歳の男の子からの「どんな7歳でしたか?」という質問に、水上くんは「小学1年の頃は、毎日、図書館で2冊必ず本を読むのを日課にしていた」と驚きの回答。7歳で毎日2冊はすごすぎ…。そして、水上くんから男の子へ心のこもったメッセージが。
「自分の興味があることを調べることが大切。見聞きしたことが、後々きっと生きる時が来る。子供の頃から知的好奇心を満たしてください」
勉強にしてもクイズにしても、大切なのは「興味を持つこと」。優しげな笑顔とクールな表情のギャップに目が行きがちだが、こういう彼の芯の部分こそ、もっと注目されるべきだなと思った次第。とにもかくにも、タレントでない一般人である1人の大学生にスポットを当てたイベントというのは本当に珍しく、会場で同じ時間を共有できた参加者にとっては、大きな収穫だったのではないだろうか。いつかまた、こうした機会が訪れることを期待して待ちたい。
クイズの正解は「日本人のオリンピックでの金メダルの数」。だから交互に大きい数と小さい数が繰り返されているんですね(大きい方が夏季、小さい方が冬季)