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“今後はオンライン企画や地方巡業もやってみたい”――体験型クイズイベント「林輝幸からの招待状」レポート&ミニインタビュー

2022年3月5~6日、朝日新聞東京本社読者ホールにて体験型クイズイベント「林輝幸からの招待状」が開催された。各日4公演ずつ実施されたうち、QUIZ JAPAN編集部は最終公演に潜入。イベントの模様と、終演後に行った林へのインタビューをお届けする。

この「林輝幸からの招待状」は林輝幸が率いるクイズ制作集団・Q星群による初のイベントで、「より多くの人にクイズを趣味として楽しんでもらいたい」という林の思いがきっかけで始まったとのこと。そんな林の思いに朝日新聞社が賛同し、Q星群、朝日新聞社、オフコースが実行委員会となってクイズ初心者でも楽しめる内容で実施された。実際、事前に公開された林とゲストの猪俣大輝によるおためし問題挑戦動画では「昨年開催された東京2020オリンピックで、日本が最も多く獲得したメダルはどれでしょう?」といった身近な出来事に関する問題が出題され、「クイズは初めて」という人でも参加しやすい難易度であることがよくわかる。

さらに申込みの際は「1名での参加」「ペアでの参加」を選ぶことができたため、お一人様からカップル、親子、友達同士でのペアまで、当日は会場に様々な参加者が集った。各テーブルには「趣味としてのクイズとは?~クイズと日常を共にするためのヒント~」という小冊子と、三択クイズ用の3枚のプレートが用意され、あちこちでそれらを興味深そうに見つめる姿が。ワクワクとドキドキの入り混じった適度な緊張感に包まれる中、イベントがスタートした。

日本で一番高い山は何でしょう?
1 富士山
2 北岳
3 砂場の山

という例題から始まったのは、全員参加の三択クイズ。参加者はまず集計用にスマートフォンで解答を送信&選択肢と同じ番号のプレートを掲げ、それを見て林が解説&コメントする、という流れで進行していく。ペアでの参加者は2人で1つの解答を出すため、相手と相談しながら解答を絞っていく様子は本イベントならではの光景だ。

出題内容は後日問題集として発売予定とのことで詳細の記載は控えるが、15問かけて徐々に難易度が高くなっていく仕様で、日常生活で見かけるものを題材にしたクイズや、正しい画像を選ぶクイズなど、予告通り初心者でも楽しみやすい問題ばかりだ。1問目は全員正解で温かい拍手が。2問目は解答が分かれ、正解発表でどよめきが起こる。ありそうでない絶妙なハズレ選択肢が面白く、林はその解説や「解答が均等に分かれると作りがいがある」など問題制作者目線での感慨も語ってくれ、三択クイズは順調かつ和やかに進んだ。

イベント後半は早押しクイズだ。第1ラウンドでは「三択クイズの成績上位者」が、第2ラウンドでは「その場で抽選を行い当選した参加者」が、林との早押しクイズ対決に挑戦できる。クイズイベントらしく成績上位者を凝った演出で発表することにこだわったそうで、スタイリッシュな映像とともに挑戦者が発表された。

「共に東京大学出身で、テレビ番組で共演することも多い、予備校講師の修とクイズプレイヤーの輝幸に共通する/……」(正解:林)という例題に照れる林は、これまでの14試合で6勝-7敗-1引き分けという戦績だそう。林VS参加者チームの1対多対決において、第1ラウンドの10問は4ポイント差で林が勝利した。第2ラウンドでは「ここで勝ったら主人公ということでぜひ勝利を掴みたい」と林。両者同点の状態で最終問題へと突入したが、残り1秒という奇跡的なタイミングで林がなんとか正解を出し、ガッツポーズ。「(Q.最近観た映画は?)最近は『007』シリーズを観ていまして。順番に観ていて今は9作目ぐらいまで来ています」など、問題に関連したエピソードトークも参加者の緊張をほぐした。

最後は客席を背景に記念写真を撮り、「1年弱ぐらい前からこのイベントの話がありまして。コロナの影響で延期になったりだとか、企画ができあがりかけたところで『これ別に面白くなくね?』という状況になって一から練り直したり、いろいろあったんですが、なんとか今日こうしてお届けできたのは本当に意義のあることだなと思います。今後もクイズを軸にしたイベントや書籍、ゲーム、いろんなものに関わっていければと思っておりますので、今後とも応援をよろしくお願いします」締めくくった。

そしてQUIZ JAPAN編集部は、イベントを終えたばかりの林を直撃。初イベントを終えての率直な思いを聞いた。

――8回を無事に終えてみて、いかがですか?
林 とにかく疲れました(笑)。2月頭に今回のイベントをやると決まってそこから本格的に動き出して、ギリギリな中で問題作りなどをしていたので、本当に間に合ってよかったです。
――当初は昨年8月にイベントを開催予定でした。
林 その段階でやろうと思っていた企画は、実は全く別のものでして。ルールも結構違ったんです。今回は個人参加もしくは2人1組での参加だったんですけど、最初は4人1組のチーム戦で謎解き脱出ゲームみたいなことをクイズでできないかな、と考えていました。でも、問題が完成に近づいた頃、「これって本当に面白いのかな、楽しんでもらえるのかな」という疑問がわいてきて。それでいろんな人と話し合った結果、企画そのものの練り直しをして、今回のようなイベントになりました。
――初めての方でも参加しやすい内容でしたが、もともとそういう方たちにクイズを楽しんでほしいという思いがあったんですか?
林 そうですね。Q星群としては「”クイズを積極的にやる”という文化を広めていきたい」というビジョンがあって。今はクイズ番組がたくさんありますし、クイズ系YouTubeもたくさん発展しているんですけど、僕は「それを見て自分もクイズをやってみたいと思った人たちはまずどこに行けばいいんだろう?」と思っていたんです。我々としてはそういう場を作ってあげられるように、できるだけターゲットを初心者の方に絞っています。よくクイズと謎解きが比較されますけど、謎解きのいいところって知識がいらないんです。いるとしても日常の一般常識レベルなので、そういう意味では間口が広いんですけど、クイズは謎解きと比べるとハードルが高くて。そのハードルをいかに低くしていくかっていうことに今回力を入れました。

――初心者向けならではの工夫などはあったんでしょうか?
林 題材選びは工夫しましたね。クイズって「何を出題してもいい」みたいなところがあるんですけど、今回のターゲットがライト層なので、答えを聞いたときに必ずわかるものを。例えば今回だと、三択クイズの15問目ですね。答え自体は誰もが知っている人なんですが、問題の切り口が独特だからちょっと考えないとわからない、という。難しさを担保しつつ、キャッチーさというか、答えを聞いて「あ、自分も知ってる話だ」と思えるような仕組みにしていました。
――画像を使った問題も多くありました。
林 そうですね。特に2問目の標識の問題は、普段見ている風景から作った問題です。「日常にもクイズを作るヒントはたくさん隠れているんだよ」というメッセージも込めつつ作らせていただきました。
――早押しクイズはなかなかの接戦でしたが、あのような状況は想定内でしたか?
林 どちらかというと想定外でした。早押し用の問題制作についてはほかのメンバーに任せていたんですが、本当に良い塩梅で問題を揃えてくれたと思います。僕の最初の予想では、第1ラウンドはボロ負けして第2ラウンドはボロ勝ちするみたいな展開になっていくんじゃないかなと思っていたんですけど、どちらも結構競った展開になって。でも、見る側としては一方的な展開になるよりは相当楽しいものになったかと思いますので、そういう意味ではいい方向に転んだなと思っています。
――今後も初心者をメインターゲットにイベントを開催されていくのでしょうか。
林 当分はそうですね。Q星群はクイズの間口を広げてクイズ人口を増やすことが目的なので、しばらくの間は初心者をターゲットにし続けるんですが、今後新しくチャレンジしてみたいこととして、カルトクイズみたいな企画をやりたいと思っているんです。例えばプロ野球をテーマにしてプロ野球に詳しい人たちを集めて勝負してもらうみたいな、特定のテーマを設定してそのテーマに自信のある人たちが競うという内容ですね。要は知識自慢の場を設けるみたいな形になるんですけど、そういった企画を今後やってみたいなと思っています。そして、今回は「クイズを楽しんでもらいたい」「楽しさを生で感じてもらいたい」という思いが強かったので東京で対面での開催となったんですけれども、オンライン企画や地方巡業みたいなこともやってみたいと考えています。ぜひ楽しみにしていてください。

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