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INTERVIEW

『タイムボカン24』プロデューサー・永井幸治インタビュー

『タイムボカン24』プロデューサー・永井幸治インタビュー
『タイムボカン24』プロデューサー
永井 幸治 Koji Nagai
1969年、神戸市生まれ。1993年読売テレビ入社。1999年まで音楽番組、バラエティ、情報番組のディレクター、コメディの演出をする。営業職を経て、アニメプロデューサーに。『結界師』『ヤッターマン』『夢色パティシエール』『べるぜバブ』『宇宙兄弟』『逆転裁判』、そして『タイムボカン24』など、ゴールデンタイム、全国ネットアニメをプロデュース。2016年10月より好評放送中のTVアニメ『タイムボカン24』。その第5話『ハロウィンのトリック・オア・トリートは鳥取or島根だった!』は、主人公のトキオとカレン、そして三悪トリオがタイムスリップした明治4年で挑むのは、なんと『トットリ・オア・シマーネ横断ウルトラクイズ』! 子供よりも親世代が大喜びの、この『ウルトラクイズ』パロディが満載のエピソードは、どのようにして作られたのか?

『ウルトラクイズ』の楽曲が
楽しめるのは放送バージョンのみ!

――そもそも『タイムボカン24』で『アメリカ横断ウルトラクイズ』のパロディをすることになったきっかけは何だったのでしょうか?
永井 『タイムボカン24』はいつも時事ネタにからめてストーリーを作っているんですけど、タイミングがハロウィンの時期だったので、「トリック・オア・トリート」で最初は別の話で作ろうとしてたんですよ。ただ、それがあまり面白くなくて(笑)。それで、スタッフがみんな悩んでいる横で、僕がグーグルで「トリック・オア・トリート」を検索してて、ふと「“トリック”と“鳥取”って似てるなあ」と思ったんですね。で、「そういえば鳥取と島根って、みんな違いがわかってないよなあ。“トリック・オア・トリート”を“トットリ・オア・シマネ”にしてやればおもしろいんちゃうか?」と。それをシナリオ会議のメンバーに話したら、いろいろネタが出てきそうだと。そういう僕のつまらない思い付きからスタートしたんです。それで、「鳥取と島根のクイズにしよう」「クイズにするならいっそ『ウルトラクイズ』にしてしまおう」ということになりました。
――永井さんのダジャレから始まったということですが、もともとクイズ番組はお好きだったのですが?
永井 実は僕は昔、『高校生クイズ』の近畿地区大会のディレクターをやっていたことがあるんですよ。
――ええ!? いつ頃の『高校生クイズ』ですか?
永井 17~18年前ですね。ちょうど福澤さんの頃ですよね。それに僕は『ウルトラクイズ』が終わる1年前(第15回)に、東京ドームの予選に参加しているんですよ。それもあって『ウルトラクイズ』に対する思い入れもあったので、こういう演出になったというのはありますね。
――永井さん以外のスタッフの方も『ウルトラクイズ』世代なのでしょうか?
永井 現場のスタッフは盛り上がってましたけど、『ウルトラクイズ』と言いながら『高校生クイズ』のことを思ってるんだろうなという気はしました(笑)。みんな僕より年齢がかなり下なので。
――なるほど(笑)。今回は本家の司会者である福澤朗アナがご本人役で登場されていますが、どのようにお声をかけられたのでしょうか?
永井 『ウルトラクイズ』形式にするのであれば、福澤さんを呼んだ方が盛り上がるのは間違いないですよね。それでタツノコプロの社長(桑原勇蔵)が、ちょうど日本テレビで福澤アナと同期だったということもあって、快く引き受けていただきました。過去に少しアフレコを体験されたことはあったそうですが、他の声優さんと一緒に収録するのは今回が初めてだったそうです。でもビックリするぐらい上手でしたね!
tb005_259_copyright――アニメを観させていただきましたが、すごくお上手でしたね。シチュエーションなんかも本家の『ウルトラクイズ』をものすごく再現されていましたね。
永井 ネタや演出ももちろんですが、最後の決勝の前に、福澤さんがそれぞれに気持ちを聞いていくところなんかは、脚本家のおかげですね。脚本が非常に上手かったので、演出もそれにつられてああいう形にできたんだと思います。
――今回、一番お聞きしたかったのが音のこだわりなのですが。『ウルトラクイズ』で実際に使用されていた楽曲が忠実につけられていて、『ウルトラクイズ』ファンの間でも話題沸騰でした。
永井 やっぱり脚本も演出もそこまでこだわるなら音もこだわるべきだよねと。もちろん観ているお子さんは全くわからないとは思いますが、それでも観ている人が少しでもテンションが上がるのであればやるべきだろうと、音はすごい探しました。音楽は意外と手に入るんです。問題はピンポーンとかの効果音なんですよ。昔の番組なので、あれはセットに仕込まれている音なんですね。
――アメリカロケの時に現地で鳴らしてたみたいですね。
永井 そうなんです。だから美術さんとか現場スタッフが持ってる音なんですよ。タツノコの社長が日本テレビ出身なので、そのツテでいろいろなところに連絡をして手に入れてもらいました。
――なるほど。『ウルトラクイズ』のBGMは海外の楽曲が中心ですが、こちらはいかがでしたか?
永井 基本的にテレビ局はJASRACと包括契約を結んでいるので、JASRACに登録されている曲は放送上は問題なく使えるんです。
――でも、パッケージ(DVD・ブルーレイ)になる時は……。
永井 使えないですね。MA(ミックスオーディオ)を2種類やってるんですよ。そういうことは最近は多いんじゃないですかね。だから地上波の放送を観た人だけがあの曲を聴けるんです(笑)。
――やはりそうでしたか。オンエアバージョンは貴重ですね。放送後の反響はいかがでした?
永井 2話以降で一番視聴率も良かったですね。それはクイズを扱ったからというよりは、それまでの『タイムボカン24』の世界観を説明するスタンダードな回に比べて変化球にあたる回ですので、そこを面白がってもらえたからだと思います。僕は『タイムボカン』はアニメという表現を使ったバラエティだと思っているんですよ。これだけ自由度のあるアニメ作品はそうないので、できるだけ今後もチャレンジしていきたいなと思いますね。timebokan245_pic1_copyrighttimebokan24i5_pic2_copyright

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