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NEWS & REPORT

3年ぶりの現地開催を制したのは初優勝・東大寺学園! 『第5回ニュース・博識甲子園』全国大会の模様をレポート

一般社団法人日本クイズ協会が主催する『まいにちクイズボックス byGMO 第5回 ニュース・博識甲子園(全国高等学校総合クイズ大会)』。個人参加連合を含む317名100チームから勝ち上がった4チームによる全国大会が2022年9月11日に行われ、その模様が現在、一般社団法人日本クイズ協会のYouTubeチャンネルにて全5回にわたって配信されている。ここでも改めて大会の様子を振り返りたい。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年・2021年とリモートによる全国大会を余儀なくされていた『ニュース・博識甲子園』だったが、今年は3年ぶりの現地開催となった。予選での熾烈な戦いを勝ち抜いたのは東大寺学園高等学校(奈良県)、名古屋大学教育学部附属高等学校(愛知県)、栄東高等学校(埼玉県)、開成高等学校(東京都)の4校で、奇しくも第4回全国大会ベスト4進出校とまったく同じ高校が並んだ。MCと大会サポーターはそれぞれクイズ作家の日髙大介、声優の洲崎綾が務め、こちらも前回同様の顔ぶれで大会がスタート。

協賛商品のZONeエナジーで気合を入れたのち、まずは準々決勝。ここでは先鋒、副将、大将がそれぞれ形式の異なるクイズで競い、3ラウンドの合計ポイントが一番低いチームが脱落となる。

先鋒戦は多答クイズ、副将戦は4ヒントクイズと、知識の広さと深さを問う記述式のクイズも導入され、準々決勝はチーム内での役割分担、作戦が重要だ。先鋒戦には栄東・桑名良治(3年)、東大寺・五島岳詩(2年)、開成・青柳翼(2年)、名大附属・佐藤諒宗(3年)が挑む。「次の協定や枠組のうち、アメリカが参加しているものをすべて選びなさい」「次のスイーツのうち、イタリアで生まれたものをすべて選びなさい」と幅広いジャンルの問題が出題される中、「次のうち、日本プロ野球でシーズン50本塁打を記録した選手をすべて選びなさい」といった時事問題も出題され、こちらはしっかりと時事対策をしてきた名大附属が単独正解。また、4つの選択肢すべてが正解という少し意地悪な出題「次の歴史上の人物のうち、女性をすべて選びなさい」には東大寺が単独正解し、東大寺はそのまま20ポイントリードした状態で先鋒戦が終了した。

4ヒントクイズの準々決勝・副将戦には、栄東・久保滉之介(1年)、東大寺・松﨑颯樹(3年)、開成・櫻井聡真(2年)、名大附属・松本ゆず紀(3年)が挑戦。ここで注目したいのは、このような大規模オフライン大会や番組収録の経験がなかったという松本だ。緊張により実力を発揮できていないのか、1、2問目と不正解が続き、名大附属の顧問がタイムアウトを申請(準々決勝では会場に駆けつけた各チームのサポーターが一度だけ、1分間のタイムアウトを取り選手に助言することができる)。顧問から「大丈夫だから」「落ち着いて、いつもの感じで」と優しく励まされると、緊張もほぐれたのか、さっそく次の問題で正解。その後も「化け猫はこれの油を舐めるとされた」という第1ヒントのみで「行灯(あんどん)」を単独正解するなど、得意ジャンルを引き寄せる強さも見せていった。しかしこの副将戦では東大寺のエースである松﨑が10問中8問という驚異の正解数を叩き出し、やはり東大寺が圧倒的リードを築く。

東大寺120ポイント、栄東・開成70ポイント、名大附属40ポイントの状態でスタートした準々決勝・大将戦では、早押し形式で栄東・稲葉琉晟(2年)、東大寺・村瀬勇信(1年)、開成・西頭陽生(2年)、名大附属・中島遼太(3年)による熾烈なボーダー争いが行われた。名大附属は逆転しようと前のめりでボタンを押しにかかり、「東日本大震災の復興財源を確保するために現在は凍結されている、ガソリンや軽油の価格が上がった時にそれにかかる税金を一時的に引き下げることを定めた条項を何というでしょう?」(トリガー条項)、「債券投資で重要視される指標のひとつである横軸に債券の満期までの期間を、縦軸に利回りをとった曲線のことを英語で何カーブというでしょう?」(イールドカーブ)といった難しい問題を見事正解するも、誤答の-5が響く形に。最終的に開成140ポイント、東大寺135ポイント、栄東60ポイント、名大附属55ポイントとなり、守りのクイズに徹した栄東が辛くも逃げ切った。

準々決勝終了後、「あと1点取っておけば……」と嘆いていたのは名大附属・佐藤。そんな佐藤に寄り添う松本、「楽しかったよ」と声をかけ励まそうとする中島、後ろで優しく見守る顧問の姿が印象的だった。

準決勝は開成、東大寺、栄東による超難問ボードクイズで、先に7ポイントに達した上位2チームが決勝進出となる。高校生にとっては相当難しいと思われる問題や普段のクイズ大会ではあまり目にしないような問題が続出し、チーム3人の総合力が問われる戦いとなる中、中盤では1ポイント差の接戦が続く大接戦に。「今年6月、公募により決定した、『週刊少年ジャンプ』のシンボルとなっている海賊マークの名前は何でしょう?」で栄東5ポイント、東大寺6ポイント、開成6ポイントで2チームが王手。あと1ポイントというところで不正解が続くも、「1521年にフィリピンのマクタン島でマゼランが現地住民との戦いで命を落とした後に、マゼランの船団の指揮を引き継ぎ、史上初と鳴る世界一周を達成した探検家は誰でしょう?」(エルカーノ)で開成と東大寺が同時に7ポイント到達、決勝進出が決まった。

2ポイント足りずで敗れた栄東。「このラウンドは一喜一憂して本当に楽しむことができたので悔いはありません」(桑名)、「ちょっと僕は悔しさが残りますね」(久保)、「去年を超える結果を残せたらなと思っていたんですけど、ここで敗退という形になってしまって悔しいです」(稲葉)と思いは様々だが、やりきったその表情には悔しさもにじみつつ、どこか爽やかさも感じられた。3年生のリーダー桑名は、後輩の2人に「頑張って、来年」とバトンを託すように語りかける姿も印象深い。

いよいよ決勝戦。開成が勝てば史上初の2連覇、東大寺が勝てば初優勝となる最後の戦いは、『ウルトラクイズ』や『高校生クイズ』でも行われた10ポイント先取による早押しクイズ形式。伝統とも言える形式に現代最強の高校生チームが挑む注目の1戦だ。しかし、決勝戦というプレッシャーと手の内を知るライバル同士の対戦ということもあってか、両チームが前がかりに解答権を獲るも、なかなか正解をひねり出せず、一時は東大寺-2ポイント、開成-4ポイントにまで沈んでしまう。東大寺・松﨑と開成・西頭が激しい押し合いを展開し、一進一退の攻防を繰り広げる中、くさびを打ち込んだのは東大寺の現会長である五島。

「1956年公開の映画『追想』ではイングリッド・バーグマンが演じ2度目のアカデミー主演女優賞を受賞した、ロシア革命の際に17歳の若さで銃殺された、最後のロシア皇帝ニコライ2世の第四皇女は/誰でしょう?」(アナスタシア)

で世界史・文学を得意ジャンルとする五島がポイントを獲ると、ここで流れが東大寺に傾いたのか、松﨑が正解を連発。東大寺9ポイント、開成4ポイントまで一気に上り詰め、

「代表作に『まどのそとのそのまたむこう』『かいじゅうたちの/いるところ』があるアメリカの絵本作家は誰でしょう?」(モーリス・センダック)

で10ポイントに到達、東大寺が激戦を制した。

3年ぶりの現地開催という記念すべき第5回大会を優勝した東大寺学園高等学校チームには、GMOメディアから旅行ギフト券100,000円分がそれぞれ3名に、Z会から図書カード5,000円分と参考書がそれぞれ3名に、さらに物品協賛の埼玉県鴻巣市から様々なご当地グルメと物品が贈られた。

大会終了後、MCを務めた日髙と大会サポーターを務めた洲崎はこう語った。

洲崎:去年はリモートでしたので、初めてクイズの真剣勝負を間近で観させていただきました。観ている私でも手に汗をかいていましたので、戦っているみんなは手が震えたりしないんだろうかと思って、みんなの手をじっと見てたんです。耳で問題文を聴くために集中したり、本当にすごいなと思いましたし、準々決勝は1人ずつの対戦だったんですけど、仲間が祈るような気持ちでジェスチャーで応援したりしているのも印象的でした。本当に知識だけじゃなく、精神力とかいろいろなものが試されるんでしょうね。最後はライバルの松﨑君と西頭君が勝ち上がってきたときは本当に少年漫画を観ているようでした。
日髙:決勝は誤答がかなり多くなりましたが、問題も大切にしたい、でも勝利を掴み取らないといけないという彼らのジレンマは、観ていてすごく感じました。
洲崎:西頭君が「問題に申し訳ない」と言ってましたね。「そうか、クイズの猛者たちになるとそういう感覚になるんだ!」と思って、問題に対するリスペクトも感じられて驚きました。
日髙:どのラウンドも本当に会場の各所で涙があふれていて、「自分が高校生の頃にあったら出たかった!」と思う大会になりましたね。

大会の全模様は、YouTubeにてご確認を。来年度、また新たな高校生チャンピオンが生まれることを期待して待ちたいと思う。

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