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全国屈指の強豪校がオンラインで白熱のバトル!『第3回ニュース・博識甲子園』レポート(後編)

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準決勝「勝ち抜きボードクイズ」1時間にわたる死闘…!

9月13日に完全オンラインで開催された『第3回 ニュース・博識甲子園』全国大会。出場8校のうち、1回戦を突破したのは慶應義塾、早稲田、西大和学園、N高の4校だった。準決勝でさらに半分の2校に絞られる。

準決勝は「勝ち抜きボードクイズ」。4校×3人の12人に一斉にボードクイズを出題し、それぞれが個別に解答。5問正解した者から勝ち抜け、先に3人全員が勝ち抜けた2チームが決勝進出となる。

問題数は20問で、決着がつかなかった場合はサドンデス。1回戦と違い個々の力が試されるほか、「自分だけが取り残される」という状況も生まれる。いかに平常心が保てるかがポイントだ。緊張気味の高校生たちに「楽しんでくださいね。クイズは楽しいですから」と解説のQuizKnock山本が声をかける。

いよいよ始まった準決勝。頭一つ飛び出したのは、1回戦でストレート勝ちを見せた慶應義塾だった。1問目「今年、文化庁が海賊版サイトの対策強化への取り組みを広く知ってもらうための『著作権広報大使』に任命した人気キャラクターは何でしょう?」では、3人全員が「ハローキティ」を正解。全員で対策したのかと思いきや、個人でそれぞれ知っていたという。個の強さたるや。

2問目以降、慶應義塾の大将・中辻くんと、西大和学園の大将・釣井くんは連続正解を続け、なんと5問ストレートで勝ち抜け!「カウナス」「パレイドリア」「嵐」など、歴史や科学、芸能まで幅広い知識をカバーしてこその勝ち抜けだろう。

その後、慶應義塾は6問目で副将・井上くんが勝ち抜け。9問目「今年、東京ディズニーシーに登場したカメの男のキャラクター『オル・メル』が歌を作るときに使う楽器はなんでしょう?」では先鋒・渡邊くんが「ウクレレ」を見事正解し、慶應義塾が決勝進出に一番乗り!

折り返し地点となる10問目が終了した時点では、早稲田と西大和が残り2人で、4ポイント(リーチ)が1人ずついる状況。N高がそれに食らいつく……という形だが、13問目、15問目ではN高が単独正解して1人勝ち抜けるなど、その存在感を見せつける。

17問目を終え、残っているのは早稲田1名(4p)、西大和1名(0p)、N高2名(3p、4p)の4名。18問目、19問目は全員不正解となり、勝負は20問目までもつれることに。早稲田が正解すれば文句なしの勝ち抜けだが、早稲田が不正解&N高が2人とも正解になれば同点サドンデスの可能性も残っている。

運命の20問目「漢字4文字の『天冊万歳』『万歳登封』『万歳通天』という元号を使用した中国の皇帝は誰でしょう?」。わからなくても、とにかく中国の皇帝を書くしかない。4人の解答は「永楽帝(早稲田)」「万暦帝(西大和学園)」「武則天(N高)」「煬帝(N高)」。正解はN高の大将・原田くんが書いた「武則天(則天武后)」だったが、惜しくも勝ち抜けには届かない……! 最後に決勝進出を決めたのは2人勝ち抜け&4ポイントを奪った早稲田!

約1時間にわたった大接戦。気力体力が続かず、頭が真っ白になってしまったという高校生も。もし会場に全員が揃っていればチームメイトで励まし合えたのに、オンラインでは孤独な戦いを強いられてしまう。西大和学園の大将・釣井くんは「学校が始まったらまた一緒に頑張ろう」と声をかけていた。そう、3人がいたからこそ、ここまで来れたのだ。

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決勝戦「一問一答リレークイズ

決勝の形式は「一問一答ラリークイズ」。両チームのメンバー1人ずつに、交互にクイズを出題する(大将→大将→副将→副将→先鋒→先鋒→大将……)。正解すれば+1pで、先に3pを取得したほうが「1本」。計3本先取したチームが優勝だ。

必ずしも大将・副将・先鋒が1pずつ取らなくてもよく、大将が3回正解しても+3pで「1本」になる。ただ、早く正解を重ねなければ相手に先を越されてしまうし、問題数も「80問」という制限がある。

最初に、先攻である慶應の大将・中辻くんに問題をシャッフルしてもらう。80問ある問題のどの問題から読むか、1~80の番号を選んでもらうと「57番」という中途半端な数字。理由は「グロタンディーク素数なので(笑)」。この選択が吉と出るか凶と出るか。

いよいよファイナル。慶應の中辻くんから出題がスタート。1問目「畑で、作物を栽培するために、細長く直線上に土を盛り上げたところを、漢字一文字で何というでしょう?」。中辻くんは落ち着いて「畝(うね)」をコールし、まずは1p。

その後、両チームに日高さんがマシンガンのように問題を読み上げていき、順番は一巡。8問目「小説家の神山飛羽真を主人公とする、今月放送が始まった『令和仮面ライダーシリーズ』第2弾のタイトルは何でしょう?」で、早稲田の大将・藤谷くんが「仮面ライダーセイバー」を正解し、1-1のイーブンに戻す。

その後なかなか正解が出ず、順番は3周目に突入。15問目「ある名探偵にちなんで名付けられた、漫画『名探偵コナン』で毛利探偵事務所の1階で営業してる喫茶店の名前は何でしょう?」を慶應の副将・井上くんが「ポアロ」で正解し、慶應がリーチ。16問目で早稲田が不正解になり、慶應の先鋒・渡邊くんにチャンスが回ってきた。

17問目は「南蛮貿易により日本に伝わって以降、防寒着や軍服に用いられてきた毛織物で、現在はビリヤードの台などに使われているのは何でしょう?」。「ビリヤード」という単語に、渡部くんの表情が明るくなる。「来い渡邊くん!」と叫ぶ日高さんに「ラシャです」と解答し、慶應が1本を先取!

大将、副将、先鋒が1pずつ正解する、理想的な1本だった。慶應はこれで、1回戦、準決勝、決勝と、全ての場面で1番にポイントを得たことになる。ただ、それを黙ってみている早稲田ではない。

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先を走る慶應、そして早稲田の逆襲

1セット目のポイントはリセットされ、2セット目は早稲田の先鋒・桑原くんからスタート。18問目「シャチとサメ、タヌキとアライグマのように、異なる系統の生物が同じような環境に生息したことで似たような進化をすることを何というでしょう?」という難問を、「収斂進化」で仕留める。しかし、次の慶應の大将・中辻くんが「グリーンベレー」、慶應の先鋒・渡邊くんが「シュリンクフレーション」を正解し、またしても慶應がリーチに。

再び順番は早稲田の桑原くんに戻るが、そこから両チームなかなか正解が出ない。3周目に入り、早稲田の桑原くんに出題された30問目は「吉田松陰の妹・文と結婚し、高杉晋作と共に『松下村塾の双璧』と呼ばれた長州藩士は誰でしょう?」。桑原くんは表情を変えずに「久坂玄瑞」をコールし、このセット2p目。これで慶應と早稲田が並んだ!

続く31問目で慶應が不正解になり、早稲田の大将・藤谷くんにチャンスが回ってきた。まさに1セット目と逆の展開。32問目「アホウドリやコウノトリが挨拶・求愛・威嚇などのため、くちばしをカタカタと鳴らすことを英語で何というでしょう?」を「クラッタリング」で正解! これまでクールな表情を見せていた藤谷くんも、思わずガッツポーズ。両チーム1本まで勝負を引き戻す。

3セット目は慶應の副将・井上くんからスタート。井上くんは33問目「凌雲閣」を正解し、先鋒の渡邊くんも35問目「太郎冠者」を当てる。3セット目開始3問目で、早くも慶應のリーチ! しかし2セット目同様、なかなか3pに届かない。大将の中辻くんも2人に続きたいのだが、正解が出ず苦しい表情が続く。そうこうしている間に、早稲田の藤谷くんが44問目「椎間板」、50問目「997」を正解し、またしても2-2に追いついた。開始から30分が経過し、疲れが見えてきた4周目。53問目「東洋画のテーマとされる気品の高い植物「欄」「竹」「梅」「菊」を総称して何というでしょう?」を慶應の先鋒・渡邊くんが「四君子」で正解! 慶應が優勝まで「あと1本」のところまできた。

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大接戦の結末…慶應がつかんだ「ラストチャンス」

決勝戦は4セット目に突入。開始早々、56問目「マンホールカード」を早稲田の藤谷くんが、59問目「納言」を慶應の渡邊くんが正解して1-1。この2人は、ここまで5問ずつ正解しているポイントゲッターだ。

2周目に入り、61問目「アヤソフィア」を慶應の大将・中辻くんがようやく正解! その喜びもつかのま、次の62問目「ペリー・メイスン」で早稲田・藤谷くんが取り返す。ポイントは2-2。あと1問、慶應が正解すれば優勝、早稲田が正解すればイーブンに持ち込める。

ただ、そこから両チームぴたっと正解が出なくなる。3周目、4周目も正解はゼロ。全国大会開始から既に4時間以上。3人チームとはいえ、部屋で孤独な戦いを続けていれば集中力も落ちてきてしまう。誰が答えるたびに、他のメンバーが両手を組んで祈りを捧げる場面も増えてきた。

決着は5周目に訪れた。

順番が巡ってきたのは慶應の大将・中辻くん。出題は「新約聖書の『ヨハネの黙示録』に「獣の数字」として登場した、西洋では不吉となる3ケタの数は何でしょう?」。Zoomでは他のメンバーが全員(わかった!)(頼む!)(やめてくれ!)というリアクション。日高さんの「中辻くん来い!」に応えたコールは「666」。静寂、そして……正解音!

実はこの問題が「79問目」。このステージは80問限定だったので、これが慶應のラストチャンスだった。中辻くんは自分で「57番」を選び、自分で決着を付けたのだ。チームメイトに「感謝でいっぱい」という中辻くんに、「最後は大将に決めてもらった」という渡邊くん。3年生の井上くんは「慶應が早稲田に勝てたので満足しています」と“早慶戦”の結末にも触れた。

かくして『第3回ニュース・博識甲子園』は、神奈川県・慶應義塾高等学校の優勝で幕を下ろした。ただ、オンライン大会のため表彰のセレモニーはなし。「後日、アルコール消毒をした上で優勝トロフィーと賞状を郵送する」ことになった。来年もオンライン化の波は続くかもしれないが、会場に集まって戦う一体感もまた味わいたいところ。高校生たちがこれからもクイズを楽しんでくれますように!

【ライタープロフィール】

井上マサキ
路線図マニアでテレビっ子のライター。『99人の壁』でグランドスラム達成(ジャンル「路線図」)。著書に『たのしい路線図』。宮城県出身。二児の父。

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