2019年1月26日(土)、千葉県・幕張メッセで行われた「ジャパンアミューズメントエキスポ2019(JAEPO)」内のKONAMIブースにおいて、『クイズマジックアカデミーMAXマキシブコード QMAジャパンツアー2018グランドスラム大会』が開催された。
本大会は、昨年1年間行われた「QMA JAPAN TOUR」で好成績を残した全国の猛者だけが参加を許される、まさに『QMA』の頂点を決める大舞台だ。会場に突撃した本誌記者が大会の様子をレポートする。
まずは司会の山口慧が大会概要と挨拶。そしてゲスト解説者を呼び込むと、毎年本大会の解説を担当し自身も長年『QMA』をプレイするクイズ王の永田喜彰が登場した。さらに今年は『東大王』(TBS)でレギュラー出演中の東大生クイズ王・鶴崎修功と、『QMA』の有名プレイヤーである「ぱんどら」の両名も登場すると、『QMA』だけではなくクイズファンからも歓声が巻き起こった。続いて、準決勝へと勝ち進んできたステージで熱戦を繰り広げる16名の出場選手が、賢者のローブを羽織って入場。一言ずつコメントする表情はやや緊張した面持ちながら、これからの戦いに備えて闘志を燃やす意気込みが感じられた。
今大会では、準決勝は前半戦と後半戦の2部構成となっている。ステージが始まる前にあらかじめ終えてある前半戦は、くじ引きで4人ずつ4コートに分かれて戦ったのだが、ここで決まるのは敗退ではなく各コート1位のプレーヤーが後半戦の対戦相手3名を指名できるというものだ。指名によって新たに組み直された4コートで後半戦を戦い、勝ち抜いた各コートの1位、4名が決勝ラウンドに進出できるという、敗者復活もない一発勝負のシビアなルールだ。ステージ中継はこの準決勝後半戦からとなる。
まずは第1試合Aコートに「わさビーフ」「ラブリーローズ」「すがた30ろう」「RDノSノQ」の4名、そして第2試合Bコートは「イズミ」「さわちゃん」「まさつKすう」「SHEOL」という組み合わせの2コートが同時に競い合った。Aコートは全員300点超えの接戦ながら、昨年の『賢竜杯XII』でも好成績を残した「わさビーフ」が352.09点で勝ち抜け。Bコートは文系学問の正答率96%を誇る「イズミ」が、317.94点で勝ち抜けた。
第3試合Aコートは「カイト」「むぎのおともだち」「あかずきん」「だんぱつしき」の4名。第4試合Bコートは「べんじー」「カムカム」「のりちゃん」「MISカトニック」の4名で対戦。Aコートは「カイト」が285.86点で1位に。Bコートは前年、前々年のグランドスラム大会2連覇王者である「MISカトニック」(昨年は「ひなたビタレント」として出場)が決勝への駒を進めた。
さて、いよいよ決勝……というところでアクシデントが。第1試合より中継モニターでも不調が見てとれたが、本格的な機材トラブルが発生した模様。スタッフが再調整に急ぐ中、出場選手達とプライベートでも交流のある解説ぱんどらが、選手のプロフィールデータ画像とともに、得意クイズの傾向や過去の大会の様子など、選手にまつわるよもやま話を織り交ぜた軽快なトークで観客を盛り上げるが、次に別ゲームの大会も控えているため、やむなくここで中止となってしまった。
しかし、中継は無くなったが、舞台裏で大会は続行されることに。とはいえ、突然のトラブルに動揺しているのではないか……と心配しつつ、引き続き取材を行うべく筆者が舞台裏に足を踏み入れると、選手たちの表情から混乱は見えず、ほどよくリラックスした様子。もちろん内心では動揺もあったと考えられるが、それを悟られないように振る舞う姿にトッププレイヤーとしての矜持が感じ取れた。また、そんな様子を囲んで応援するそれぞれの地元から集まった応援団たちとの距離も近く、アットホームなムードに包まれた心地よい空気の中、大会が再開された。
決勝の大一番まで勝ち抜けてきたのは「わさビーフ」「イズミ」「カイト」「MISカトニック」の4名。2戦行う決勝戦はオーソドックスな4人対戦。1戦目で下位2名が敗退が決まり、残る2名が2戦目で日本一を争うこととなる。準決勝で破れてしまったライバルたちが見守るなか、「カイト」は264.59点、「イズミ」が288.34点で惜しくも脱落してしまう。残った301.69点の「わさビーフ」と、341.32点をマークして2連覇王者の意地を見せた「MISカトニック」が、頂点を巡って1対1のガチンコバトルを行うこととなった。
『QMA』において「クイズのジャンルと形式選択」は特に重要な要素だ。膨大な組み合わせの中から、自分と相手の得意不得意を考慮して選択しなくてはならない。落ち着いた様子の「わさビーフは」アニメ&ゲームの連想クイズをチョイスした。対する「MISカトニック」は頭を抱えて長考に入り、緊張感が増す。お互い絶対に負けられないこの一戦。固唾を飲んで戦いを見つめる他選手からは、思わず「だいぶ悩んでるな……」とこぼれる場面も。そして、選択制限時間いっぱいまで使って選ばれたのは、ジャンルは社会の◯×クイズ。どちらも相手の苦手分野を突くというよりも、自分の得意なもので正面からぶつかりあおうという算段のようだ。
1stバトルは「MISカトニック」が選んだ社会の◯×問題。長考が功を奏したか、「MISカトニック」はこのジャンルを取りこぼすことなく6問全てパーフェクト。2問落としてしまった「わさビーフ」は後を追いかける形となった。続く2ndバトル。「MISカトニック」選択によるアニメ&ゲームの一問多答クイズ。両者ともにアニメ&ゲームの正答率は高く、いわば得意ジャンルと言えるが、ここでも確実に全問正解した「MISカトニック」に対して「わさビーフ」が1問誤答してしまう。後半の巻き返しをはかりたい3rdバトルは、タイミング良く「わさビーフ」の選んだアニメ&ゲームの連想クイズからの出題となった。自身がチョイスした得意形式なだけあり、回答スピードで「MISカトニック」を圧倒しつつパーフェクト。その背中を射程圏内に捉えたまま、最後の4thバトルへとなだれ込んだ。最後は「わさビーフ」選択によるスポーツの順番当てクイズ。ここでも速答で距離をつめる「わさビーフ」に対し、「MISカトニック」は痛恨の2問ミスを喫したところで全ての出題が終了した。
まさに接戦となった決勝戦に、結果発表を待たずに他選手たちから惜しみない拍手が起こる。結果は、300.91点の「わさビーフ」が序盤に許したリードを詰めきることができず、339.64点の「MISカトニック」が、なんと3年連続、グランドスラム大会の頂点に輝いた。
再び『KAC』のステージに戻った表彰式では、まずは優勝者にゲスト解説からコメントが。鶴崎は「実力はもちろん運も絡むこのゲームで、2連覇して王者というポジションにいながら、さらに勝つというのは本当に前人未到の凄い偉業」と讃える。「MISカトニック」と個人的に付き合いが長いというぱんどらは「一部のプレーヤーの間では、彼を育てたのは僕だという声もあるのですが……こんな怪物、僕じゃ育てられません!」と、戦友の優勝を心から喜んでいた。クイズ王の永田は、まずは優勝者を讃えたのち、「来年はこの中に新しいチャンピオンがいるかもしれない。次の賢神の座を奪いにきてほしい」と煽ると、観客席は一気に沸き立った。
優勝した「MISカトニック」は、「純粋にすごくうれしいです。やっぱり3連覇とって言葉はパワーがあって……夢が詰まってます。達成できて本当に嬉しい。決勝は事前に想定して練習してきたことがピタリとハマったのが勝因だったと思います」と、時おり涙ぐみ、言葉を詰まらせながら語った。壇上を後にする前に再度掲げた大きなトロフィーは、3連覇を果たし、名実ともに王者の名を勝ち取ったことを証明するようにキラリと輝いていた。
例年以上の白熱した戦いを見せてくれた今大会の中で、特報として『クイズマジックアカデミー』の最新作も発表された。『クイズマジックアカデミー軌跡の交叉』と銘打たれた新作は、「一方通行クイズ」といった新形式クイズが追加されるほか、マジックアカデミーの制服デザインも一新。そのほかにも新たな新要素がふんだんに盛り込まれるようだ。2019年春稼働開始予定の本作は、近日ロケテストも実施予定なので、待ちきれないファンは是非チェックしてほしい。
ますます盛り上がりを見せる『QMA』の世界。最新作でも今大会のようなドラマが全国各地で繰り広げられることだろう。
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