2003年の稼働開始以来、ロングランタイトルとして愛され続けているコナミのオンライン対戦型クイズゲーム『クイズマジックアカデミー』。クイズゲームとしての完成度はもとより、個性豊かなキャラクターたち、完成度の高いBGM等、その人気の理由は多岐に渡るが、シリーズ13年目となる今年、過去最大規模のリニューアルが行われることが明らかとなった。
その最新作『クイズマジックアカデミー トーキョーグリモワール』は、1月31日に開催された「The 5th KONAMI Arcade Championship」において、石原明広プロデューサーからというタイトルとティザームービーが先行して発表されていた。西洋風の世界観を舞台にした従来のシリーズから大きく異なる「トーキョー」というキーワードにファンの注目が集まる中、ついにその全貌が明らかとなる日がやってきた。
4月16日、東京ミッドタウン。12時開場の発表会の会場前には長蛇の列ができ、前倒しで入場が行われた。用意された300人分の整理券をはるかに上回る500人近くの数の来場者が、会場内のプロップデザイン画の展示や、公式イラストレーターが生イラストを描くブースなどで楽しい時間を過ごした。
13時からは、いよいよ発表会がスタート。コナミの宣伝部・田中による信仰のもと、石原プロデューサー、前作『暁の鐘』から登場した新キャラ・ヴァニィの声を担当する照井春佳、そしてBGM担当の劇団レコードら、豪華なゲストが登場。まず本邦初公開となるオープニングムービーが上映され、石原の口から、『トーキョーグリモワール』の全貌が明らかにされた。「暁の賢者」となった生徒たちが瘴気に対抗するため最初に向かった任務地がトーキョーであること、そのトーキョーは我々の住む東京とは違った別世界のトーキョーであること、そして先生たちはトーキョーには来ておらず、グリモワールと呼ばれるスマートデバイスを使って通信をすること(このデバイスはアカデミーからマナを供給してもらう装置でもある)。さらに「ヴァニィちゃんは今作で出番がない…」という衝撃の一言に、慌てた照井が石原に直訴するというやり取りには会場からも笑いと拍手が巻き起こっていた。今後のヴァニィの動向には注目していただきたい。
さらに「温故知新」と題されたスライドにより、より詳しい内容の説明が石原より行われた。1つ目は「見た目の変化」。13年親しまれてきた制服が一新され、またゲーム画面のデザインも大きく様変わりした。特にゲーム中の舞台となる場所が、東京駅、新宿中央公園、浅草寺など、実際に存在する場所ながら、浅草寺雷門の提灯に「賢者」と書かれていたりと、『QMA』らしい遊び心が印象的だった。ちなみに地名も異世界というだけあって、ウェノ、アキバ・ハラといった地名になるそうだ。
2つ目は「昔(過去タイトル)の仕組みのいいところに立ち戻る」。まず全国トーナメントは9人対戦となり、予選で脱落した3人で7位決定戦を、そして準決勝で脱落した3人で4位決定戦で行うことで、最低2回は戦うことができるように変更された。さらに「お助け魔法」の廃止が告げられ、会場から拍手が送られた。これは全国トーナメントに大ナタを振るった『暁の鐘』で導入された「お助け魔法」が、真剣に勝負をしたいユーザーに快く受け入れられなかったことを意味している。石原も「公平に戦ってもらうことを重要視している」「皆さんの声は届いています」と、トーナメントをもとの真剣勝負の場に戻すことをアピールしていた。また組み分けは石原曰く「『QMA8』に近い」とのことで、ドラゴン組、フェニックス組、ミノタウロス組、ペガサス組、フェアリー組の変動制になるそうだ。
3つ目は「ちょっと踏み込んでみよう」。これは今作の協力プレー(「グリムバスターズ」)が、ストーリーを語る場となり、「『謎の少女』も登場する」といった仕掛けが用意されているとのことだった。こちらは稼働時というより、今後、徐々に明かされていくのだろう。
他の要素として検定に通常検定以外に「マニアック検定」という、より狭いテーマを掘り下げた検定が登場。第一弾のテーマは1月の大会「The 5th KAC」優勝者のウェストが発案した「クイズ」! テーマもテーマながら、分かる人にはわかるポーズを取るレオンのイラストには大きな笑いが起こっていた。なお、稼働時には通常検定として「高校野球」と「世界地理」が用意されていて、「クイズ」は少し後からの配信となる予定だそうだ。
続いて、劇団レコードにより、お披露目されたばかりのオープニングムービーのBGMを中心に数曲を演奏するプチライブが行われた。演奏後には「音ゲーとのコラボをしたい」「サントラも久々に出してほしい」「ボーカル曲も面白いかも(今作のBGMには至るところに「トーキョーグリモワール」というボイスが入っているという話を受けて)」など、石原や劇団レコードからも次々とうれしい言葉が飛び出していた。実現することをぜひ期待したい。
そしてステージはまたスライドによる発表に戻り、「賢者降臨−QMA JAPAN TOUR 2016−」と書かれたロゴが表示された。実は先立って、1月10日に行われたユーザー主導の店舗大会「賢竜杯X」を訪れた石原が「賢竜杯はじめ店舗大会と連携した称号の表示システムを構想している」と発言していたのだが、その全容が説明された。つまり、ユーザーによる店舗大会を参加人数別にグレード分けして、そのグレードに応じたポイントを付与、年間のランキングを競うというもの。さらに驚きなのは、賢竜杯を最高峰の大会、ポールスターシリーズ(※1)・東北杯・北陸レジャラン杯・関西杯・九州杯を5大大会と位置づけている点だろう。しかも賢竜杯とKACの優勝者・準優勝者、5大大会の優勝者、さらに4回行われる予定の全国大会の各1位(青龍、朱雀、百虎、玄武)は特別シード枠とし(※2)、ジャパンツアーの年間ランキング1〜3位と合わせた16名が「グランドスラム大会」に挑むという(このグランドスラム大会の優勝者こそ『QMA』の年間王者=「賢神」になる)。「ゴルフやテニスをイメージしてます」と石原が言うとおり、まさに『QMA』を使った壮大な頭脳スポーツのツアーの幕が切って落とされるのである。長年研鑽を積んできたプレイヤーにとっては、これほど興奮する新要素もないだろう。なお、これらの戦績はゲーム中でもデータとして、獲得した大会名も称号として表示されるそうなので、初めて店舗大会に参加するという人や長らく大会から離れていたような人を後押しする効果もあるのではないだろうか。
そんな「賢神」に最も近い4名として、「The 5th KAC」優勝者のウェスト、「The 5th KAC」準優勝者のザキヤマ、「賢竜杯X」優勝者のれお、「賢竜杯X」準優勝者のマックスきたむらが登場。ヴァニィ役の照井による生紹介を挟み、エキジビションマッチがスタートした。全く新しいゲームのプレーということもあり、来場者が食い入るようにモニターを見つめる中、優勝したのは284.36点のマックスきたむらであった(2位・ウエスト283.62点、3位・ザキヤマ265.01点、4位・れお220.11点)。
以上で『クイズマジックアカデミー トーキョーグリモワール』の発表会は幕を閉じた。最後に石原は「自分たち(コナミ)は賢竜杯の足元にも及んでない。選手のすごさをもっと伝えた いし、彼らが思いっきり戦える環境を用意したい。だから、どんどんtwitterの公式アカウントに意見をリプライしてほしい」と述べた。過去に例を見ないほどの「ユーザーと共に作り上げる『QMA』」を謳う石原に対し、ユーザーはとても好意的なように感じる。ゲームシステムや設定、キャラクターの衣装やデザインだけでなく、ユーザーとの距離感や関係性すらも、13年目にして刷新しようとする新生『QMA』には、大いなる可能性を感じずにはいられない。弊誌『QUIZ JAPAN』としても全力で注目していきたい。
なお、気になる『トーキョーグリモワール』の稼動日だが、4月27日予定であることがtwitterにて発表された。稼働日を楽しみに待ちたい。
※『QMA JAPAN TOUR 2016 賢神降臨』の5大大会については、開催された場合に限りシード枠が適用される(開催時期については昨年の実績を元に予定として記載されている)
※当日の資料は「ポールスターシリーズ杯」となっていたが、正しくは「ポールスターシリーズ」