2014年3月23日、基本問題による学生No1決定戦『abc the 12th』が開催され、会場となった横須賀市文化会館には、全国から615人の学生たちが集まった。
「学生クイズ界・夢の祭典」。毎年3月の風物詩となった『abc』は今年で12年目。これまでも数多くの名勝負を生み出したこの大会は、いつしか年間を通して最大のクイズイベントへと発展した。今では『abc』での活躍を最大の目標に掲げる学生も少なくない。今年も、全国から集まった学生たちの熱い青春の火花が散った。
前半戦は、団体戦形式の『EQIDEN』。各大学・高校ごとに5人〜10人のチームを組み、陸上競技の駅伝のように、正解することで次々とたすきを回していくという趣向の大会である。今年は過去最多となる48チームがエントリーし、最初の関門である「予選」から白熱した試合が続いた。
参加チームのレベルは毎年向上。今年も、前回優勝の「慶応義塾高校」を含め、多くの実力校が「予選」「往路」で涙を呑んだ。決勝に当たる「復路」に進出したのは、東京大学、京都大学、早稲田中高、名古屋大学の名門4校。その中でも強さを発揮したのが、『高校生クイズ』2連覇の伊沢や『Qさま!!』優勝時のメンバーを要する東京大学。圧倒的な知識量と手数で他を圧倒し、見事7代目『EQIDEN』チャンピオンに輝いた。
後半戦は、個人戦の『abc』。隅田好史(『WQC』優勝)、大美賀祐貴(『WQC』『THEクイズ神』出場)という2人のチャンピオン経験者が卒業した今回、今まで以上に優勝の行方がわからない「新時代の幕開け」に、参加者たちの心も躍った。
ペーパークイズ1位は『EQIDEN』優勝の東京大学から武富康朗。このまま武富が個人戦も制するかと注目を集めたが、2Rで姿を消してしまう。この波乱が引き金となった形で、各ラウンドでも新鋭の下克上が多発。準決勝に残ったベスト9のうち7人が新顔という展開に、観客からも大きな声援が送られた。
決勝に進出したのは、佐谷政裕(早稲田大学2年)、青木寛泰(開成高校3年)、李泰憲(東京大学1年)の3人。いずれ劣らぬ素晴らしい実力の3人で行われた決勝戦は、客席の600人が息を飲む白熱の展開となった。
実力伯仲の中、試合を制したのは高校生の青木。中学3年時に優勝経験があった早熟の天才が、3年ぶりの悲願の戴冠となった。
「最初の(優勝の)時は自分でもわからないうちに優勝していた。2回負けて、もう1回戻ってこれて、本当に嬉しいです」
優勝が決まった瞬間、大きなガッツポーズの後、壇上に突っ伏した。いつも冷静な青木が喜びを爆発させた背景には、チャンピオンとして勝てなかった2年間の悔しさがあった。
青木はこれで通算2勝目。大会記録の3勝へリーチがかかった。
「僕はあと、4回出られますから。」
天才・青木の目は、3勝に留まらぬ大記録を、すでに見据えているのかもしれない。
優 勝:青木寛泰(開成高校3年)
準優勝:佐谷政裕(早稲田大学2年)
第3位:李泰憲(東京大学1年)
筆記一位:武富康朗(東京大学4年)
優 勝:東京大学
準優勝:京都大学
第3位:名古屋大学
第4位:早稲田中高