2022年10月9日(日)、「大関ケ原祭2022」にて「関ケ原を学ぶ東西クイズ対決 クイズ関ケ原東西対決2022」が実施された。
「大関ケ原祭」は、関ケ原ナイトや記念館でのプロジェクションマッピング、著名人によるトークイベントや東西人間将棋など、幅広い層に向け、関ケ原の魅力を詰め込んだ楽しみながら学べるイベントで、今年約3年ぶりに開催。その中で行われたこの東西クイズ対決イベントは、事前募集したクイズファンが東軍と西軍に分かれ、林 輝幸(東軍)、猪俣大輝(西軍)という2大・元「東大王」を総大将に、その名の通りクイズで“東西対決”をする、というものだ。ここではその模様をお届けしよう。
イベント当日、あいにくの曇り空となってしまったものの、岐阜県関ケ原町・笹尾山駐車場に設けられた特設会場には応募枠400人に当選した参加者が集結。2018年の同イベント「クイズ関ケ原 小早川秀秋の決断!」では東軍・西軍を各100人募集していたが、今回はその倍だ。地元に住む家族連れをはじめ、クイズや林&猪俣の出演を楽しみに遠方からはるばる関ケ原までやって来たクイズファン、戦国時代ファンなど、お目当て様々の老若男女が客席に並んだ。
司会進行のフリーアナウンサー・常世晶子と、解説役のクイズ作家・日髙大介が今回のイベントについて説明したのち、林、猪俣が登場すると、大きな拍手に迎えられた。常世が「このお二人が見たくて来た、という方は?」と客席に問いかけると多くの手が挙がり、2人も「ありがとうございます」と笑顔を見せる。
「前入りをして、夜はホテルで猪俣と特訓をして鍛えていました」という林。そんな大将たちの実力をチェックするべく、まずはデモンストレーションがスタート。「古代ローマの建築家が建築論という本の中に残した史実をもとに、レオナルド・ダ・ヴィンチが/……」(A.ウィトルウィウス的人体図)、「セーヌ川の中洲で/……」(A.グランド・ジャット島の日曜日の午後)など、7問の早押しクイズが出題され、勝利した猪俣は「歴史では西軍が負けましたけど、今日はこの勢いで西軍が勝てるように頑張ります」と爽やかに語った。
そしていよいよ参加型クイズへ。第1ラウンドは「○×勝ち残りクイズ」だ。受付で配付された両面にそれぞれ「○」「×」のマークがプリントされたプレートを用いて、参加者全員で勝ち残りクイズに挑戦する。どちらかが全滅するか、10問出題時点で勝ち残りの多い軍が勝利。さらに、各軍3名ずつが武将としてステージ上で第2ラウンドに参加できるということで、第2ラウンド進出を目指して気合が入る。
ここで出題されるのは「都市と都市の関係に姉妹都市というものがあるように、ここ関ケ原は、南北戦争の激戦地となったアメリカのゲティスバーグと姉妹古戦場となっている」(○)、「日本にもかつて国内に時差が存在していたことがある」(○)といった問題で、相談OK(スマホでググるのはNG!)のため各所からわいわいと楽しそうな声が聞こえてきた。
徐々に人数が絞られていき、勝ち残った各軍3名がステージ上へ。それぞれ在住が静岡県伊豆市、岐阜県各務原市、岐阜県可児市、三重県度会郡、奈良県桜井市、埼玉県富士見市ということで、全国各地からの参加者が残り、なんと東軍には『アタック25』や『99人の壁』への出演経験もある参加者も。しかし、第1ラウンドを制したのは西軍だった。
第2ラウンドの「山手線一問多答クイズ」は、この武将3名+大将の4人1組で戦っていく。両軍が交互に答えを言っていき、不正解となった時点でその人は失格。先に全滅した軍が敗退となる。
1問目の「小学校で習う漢字1026字のうち、画数が3角のものは全部で24個あります。その漢字をお答えください」では、東軍が武将2名+大将に対して、西軍が残すところ大将のみというなかなか苦しい一騎打ちから東軍が勝利。その後、日髙が「ほかにわかった方?」と客席に聞いた際には小さな子供たちも元気よく答え、すべての解答が出揃うと林は「集合知ってすごい」と一言。
2問目の「スタジオジブリの長編アニメ映画」を問う多答クイズも東軍が勝利し、第2ラウンドは東軍が制した。
大将が「皆さん全員守備力が高いというか、守備範囲が広くて非常に頼りになりました」(林)、「かなりマイナーな作品をお答えいただいたので助かりました」(猪俣)と振り返ると、最終ラウンド「東西対決早押しクイズ」へ。早押しクイズに挑戦する武将を4名ずつ選出するため、再び○×クイズからスタート。ある程度人数が絞られた段階で勝ち残った参加者がステージ前に集まり、「早挙げクイズ」へと移行するのだが、ここで印象的だったのは西軍として参加した親子の姿だ。
お母さんが先に正解しステージに上がったため、その息子である小学校低学年くらいの男の子はどこか心細そうにしていたのだが、「鉄パイプを立方体に組み合わせて作られた、公園などにある遊具の名前といえばいったい何?」という問題に「ジャングルジム!」と答えて見事正解。ステージに上がると真っ先にお母さんのもとへと駆け寄った。大将である猪俣は目線を合わせて優しく笑みを向け、男の子も笑顔があふれた。
そうして両軍4名ずつの武将が決まり、東軍には第2ラウンドにも参加したクイズ番組経験者の男性が再び○×を突破し登壇。7ポイント先取で勝利となる「東西対決早押しクイズ」だが、ここまでのラウンドですでに1対1となっているため、実質6ポイント先取の勝負が始まる。
ボタンチェックを行い、まずは武将対武将の対決。早押しでスルーになりそうな問題では、「間違えてもいいよ! ボケてもいいよ」という日髙の発言に押されてか、先ほどのお母さんが自分のボタンではなく息子のボタンを押して子供に答えさせるという微笑ましい(?)一幕も。それがきっかけとなったのか、その男の子も、「気象庁が行う桜の開花予想で満開とされるのは、標本となる木のつぼみのうち、約何割が咲いたときでしょう?」という問題では周りの大人が躊躇する中、自らボタンを押し、「8!」で見事に正解! 大人に囲まれながらの参加ではあったが、彼の活躍は「勇気を出せば、誰にでも正解するチャンスがある」というクイズの楽しさを改めて教えてくれるようだった。
今回のイベントならではの温かい空気に包まれながら進行していき、5ポイント勝ち抜けの西軍大将VS東軍武将戦を経て、いよいよ4ポイント勝ち抜けの大将戦へ。ここまで同点のため、この大将戦の結果で勝敗が決まる。
ここでのクイズの様子を再現すると、
1「SNSなどで自分と同じ意見の人/……」(A.エコーチェンバー効果。林は「サークル」と誤答)
2「岐阜県の白川村と姉妹都市/……」(A.アルベロベッロ。猪俣は「五箇山」と誤答、解答権移動で林が正解)
3「本名をフリードマン・エンドレ/……」(A.ロバート・キャパ。猪俣が正解)
4「足踏み、胴造り/……」(A.射法八節。林が正解)
5「成田から飛行機で2時間半ほどで行けることから、日本から一番近いヨーロッパとも呼ばれる/……」(A.ウラジオストク。猪俣が正解)
6「人間の鼻の中で静脈が集まって/……」(A.キーゼルバッハ部位。猪俣が正解)
7「1994年には、娘のチャンドリカ・/……」(A.バンダラナイケ。猪俣は「ネルー」と誤答、解答権移動で林が正解)
といった流れ。クイズ王らしい早押しと知識量で6問目までを終え、次で西軍が勝利なるか……というところで7問目を林が正解し、3-3で両軍がリーチに! 張り詰めた緊張感と、子供たちから「頑張れー!」と声援が送られる中で、出題された問題はこちら。
「金の産出量世界/……」
勝負をかけたのは東軍の林。「ガーナ」と解答するも不正解のブザー。解答権が移動し、問題文が最後まで読まれる。
「金の産出量世界一の国は中国、銀の産出量世界一の国はメキシコですが、銅の産出量世界一の国はどこでしょう?」
これを猪俣が「チリ!」と答え、西軍の勝利が決定した。その後の表彰式では、猪俣は最高勲章(西軍)に「ジャングルジム」を答えた男の子を、林は敢闘賞(東軍)に2回○×を突破したクイズ番組経験者の男性を選び、2名にトロフィーを授与。
最後は大将がそれぞれ「負けはしたんですけど、皆さんに助けられて素晴らしいクイズになったかなと思います。自分の団体とかでイベントをやらせてもらっているので、また一緒にできる機会があればぜひ一緒に楽しめたら」(林)、「テレビでクイズをしているときはカメラがあるので皆さんのお顔は見えないんですけど、今日はたくさんの方に集まっていただいて皆さんと一緒に楽しむことができたので、いい思い出になりました」(猪俣)とコメントし、約1時間半のイベントを締めくくった。
4年前に続き、弊誌「QUIZ JAPAN」がイベントをプロデュースさせていただいたが、歴史的な古戦場を舞台に大空の下で、普段テレビで観ているクイズ王と一緒にクイズの団体戦を戦うという、緊張感とワクワク感が程よく味わえるカジュアルなイベントとして、年齢を問わず楽しんでいただけたのではないだろうか。また「クイズ関ヶ原」が開催された暁には、現地の会場で再びめいっぱいクイズを楽しんでいただけるように次回開催の報を待ちたいと思う。