2015年3月22日、さいたま市の埼玉会館大ホールで、基本問題による学生No1決定戦『abc the 13th』が開催され、全国から会場に集まった641人の学生たちが、日本一の座をかけて熱戦を繰り広げた。
日本最大の学生クイズの祭典『abc』は、年度末に行われる学生にとって最大の「晴れ舞台」。特に大学4年生にあたる「ラストイヤー組」の中には、この大会を学生クイズの総決算と目する者も少なくない。まさに多くの人がその頂点を目指す、学生クイズの最高峰だ。
前半戦は、団体戦形式の『EQIDEN』。各大学・高校ごとに5人〜10人のチームを組み、陸上競技の駅伝のように、正解することで次々とたすきを回していくという趣向の大会である。今年は全国から48のチームがエントリー。1度負けたらそこで敗退してしまう過酷な戦いに熱い火花が散った。
『EQIDEN』は「予選」「往路」「復路」の3部構成。ベスト4を決める「往路」では、残り1枠に3チームがリーチで並ぶ均衡した展開に、観客席からは大きな歓声があがった。
激戦を制したのは慶應義塾大学。序盤から終盤まで隙の無い布陣で、他を圧倒。前回優勝の東京大学との直接対決を制し、悲願の初優勝を飾った。
後半戦は、個人戦の『abc』。前回優勝の青木寛泰(東京大学1年/『第32回高校生クイズ』優勝)を中心に、ニュージェネレーション同士の対決に、注目が集まった。
ペーパークイズ1位はそんなニュージェネレーションの代表格である原滉明(千葉大学2年)。昨年、彗星の如く現れたダークホースが、1年間で誰にも負けない知識を蓄えた。原が口火を切った形となり、予選通過枠のほぼ半分が昨年未通過のメンバーという、下剋上の様相に。前回ファイナリストの佐谷政裕(早稲田大学3年/『高校生クイズ』ベスト4)が予選で姿を消すなど、波乱の大会となった。
その下剋上ムードを一蹴し、優勝を掴み取ったのは前回チャンピオン・青木。対戦相手である高校の後輩・池内敦(開成高校2年)、大学の先輩・荻田直道(東京大学2年/『Qさま!!』出場)に1セットも渡さない圧巻のクイズで、歴代最多タイとなる3度目の栄冠を勝ち取った。
終了後、早くも「来年は前人未到の4勝か」と記録へ期待が高まったが、マイクを握った青木から発せられたのは突然の「引退宣言」。中学3年生からチャンピオンとしてのクイズを立派に戦い抜いた男が出した、1つの答えだった。
「やり切りました。悔いは無いです」
自ら有終の美を飾ったチャンピオンの顔は、今までのどの優勝の時よりも晴れやかだった。
『abc the 13th』
優 勝:青木寛泰(東京大学1年)
準優勝タイ:池内敦(開成高校2年)
荻田直道(東京大学2年)
筆記一位:原滉明(千葉大学2年)
優 勝:慶應義塾大学
準優勝:京都大学
第3位:東京大学
第4位:開成学園