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佐世保北高校が全国787チームの頂点に! 金融知力日本一を決める「第18回エコノミクス甲子園 マニュライフ生命カップ 全国大会」が開催

▲佐世保北高校の生徒とマニュライフ生命 取締役代表執行役社長兼CEOのブノワ・メスレ氏

2024年2月25日(日)、国立オリンピック記念青少年総合センターにて「第18回エコノミクス甲子園 マニュライフ生命カップ 全国大会」が行われた。

「エコノミクス甲子園」は、全国の高校生に、お金に関する幅広い知識(金融知力)を楽しみながら学んでもらうために誕生したイベント。同じ高校に通う2人1組のチームでエントリーすることができ、今回の第18回までにのべ5,814校・29,425名の高校生がチャレンジしてきている。

この度開催された全国大会には、366校・1,574名(787チーム)による地方大会・インターネット大会を勝ち抜いた44校(88名)が出場し、プレゼンテーション発表と筆記試験を経て幅広い形式のクイズに挑んだ。その模様をレポートする。


23~24日に行われたアクティビティや前夜祭の様子を紹介する開会式のあと、さっそく第1ラウンド「QUIZ PRICE MAKER」が開始。

・全出場チームが11チーム×4組に分かれて行う、各組11問の早押しクイズ
・問読み終了後、10、20、30……100とカウントがスクリーンに表示され、正解した場合はボタンを押した時点でのカウントの値が加点される (不正解の場合は減点)
・獲得ポイントは土曜日ラウンド(前日24日に行われた「筆記試験」と、保険商品の販売戦略をテーマにした「プレゼン」)のポイントに加算
・一度解答したチームは正誤にかかわらず退場
・前の問題に解答したチームの左隣のチームはCAO=Chief Answering Officerとなり、カウント終了までに誰もボタンを押さなかった場合はCAOが解答(1問目のCAOは客席から見て最も右側のチーム)。正解すれば+100ポイント、不正解でも±0ポイント。
・11問目まで残ったチームはCAOとして解答
というルールだ。

1組目は、「標的企業の株式を買い集めて圧力をかけ、その企業の経営者や関係者に高値での買い戻しを迫る敵対的買収者を、ドル紙幣と脅迫状を意味する英語から何というでしょう?」(A.グリーンメーラー)という問題からスタートし、最初にボタンを押した東京代表・筑波大学附属駒場が見事正解して100ポイントを獲得。続く群馬代表・群馬県立高崎、兵庫代表・灘も90~100ポイントを獲得して温かな拍手に包まれ、序盤から調子良くポイントを積み重ねていく高校生たちの笑顔が印象的なスタートとなった。

カウントが進んでからの高得点を狙った押し合いも目立ち、2組目、3組目、4組目と順調に進んで第1ラウンドの得点が決定した。

第1ラウンドの上位12チームはそのまま第3ラウンドへと勝ち抜けるため、次はそれ以外の下位32チームが参加する第2ラウンド「QUIZ THREE HINTS」だ。8チーム×4組に分かれて行う各組4問の5択クイズで、ジャンルと3つのヒントが順に発表される3ヒントクイズ。

ジャンル「組織」
ヒント1:2021年にコスタリカが加盟しました
ヒント2:フランスのパリに本部が置かれています
ヒント3:先進国クラブとも呼ばれる
(A.Bの経済協力開発機構(OECD))
といった具合に出題され、少ないヒントで解答するほど得点が高くなり、不正解時のマイナスも少ない。

第3ラウンドに進出できるのは各組上位2チーム(計8チーム)ということで、1つ目のヒントで解答して勝負に出たチームの逆転劇も見られ、参加者・観覧者をハラハラさせる展開となった。

休憩を挟んでの第3ラウンド「QUIZ DRAFT PICK」は、第1ラウンドの上位12チーム+第2ラウンドの上位8チームが参加。

10チーム×2組に分かれて行う各組6問のボードクイズで、正解すると、国・企業を獲得。 6問終了後にランキング投票が行われ、そのランキングに基づいて、獲得した国・企業が得点化される。

やや複雑なルールだが、各組開始時に3つのランキングと30の選択肢が発表されたあと、ボードクイズが出題。それぞれのチームはクイズの回答と、獲得したい選択肢を発表し、正解したチームは希望した選択肢を獲得(ただし選択肢が他チームとかぶった場合は獲得できない)。
選択肢がすべて獲得されるか全6問が終了した段階でランキング投票に移り、最初に発表された「3つのランキング」に各チーム1票ずつ投票し、「得票数が最も多かったランキング内での選択肢の順位」が得点計算に用いられる。

たとえば
[ランキング]
A:人口
B:島の数
C:面積

[選択肢]
1:長崎県
2:広島県
3:神奈川県
4:滋賀県

30:岩手県

で「島の数」ランキングが採用された場合、1位の「長崎県」を獲得していれば30ポイント加算、2位の「北海道」を獲得していれば29ポイント加算というようになり、クイズに正解した段階では得点が全くわからないという、戦略もかなり重要なラウンドだ。

「インターネット上で売買を行う電子商取引のことをアルファベット2文字で何というでしょうか」(A.EC)に始まり様々な金融知識が問われる中、解答は合っていても希望選択肢がかぶっていて得点できず、惜しい結果となるチームが続出する。
自チームの戦略やコメントなどを発表できる「中間アピール」の時間には、「ディズニーが欲しいです」「自分はゲームが好きなのであの企業を取りにいきます!」と自由にアピールしながら、各々の希望国(企業)を狙って健闘した。

そしてランキング投票の結果、1組目は国の「国連分担金」「経済成長率」「経常収支」より「国連分担金」ランキングが、2組目は企業の「株価上昇率」「設立年(古い順)」「総収益」より「総収益」ランキングが採用され、決勝進出チームが長崎代表・佐世保北、山口代表・慶進、愛知代表・岡崎、千葉代表・県立千葉で確定。発表時は特殊ルールならではの空気感で、岡崎と県立千葉の1ポイント差という結果には会場から歓声が上がっていた。


決勝戦である第5ラウンドを前に、敗者復活戦(第4ラウンド)「QUIZ SURVIVAL」も。ここまでに敗退した40チームが、それぞれ金融機関の担当者とともに3人1組で舞台全体を使った2択クイズに挑戦し、決勝の残り1枠を目指して戦うラウンドだ。
金融機関の担当者が1人にならなければ、チームメンバーが別の選択肢を選ぶことができ、金融機関の担当者がチームの一員になるという心強さもあってか、高校生と担当者が笑顔で相談する姿も見られた。
不正解エリアにいる人は退場するというルールで徐々に絞られていくが、途中で全チームが脱落してしまったため、最後は、直前に舞台上に残っていたメンバーが最も多いチームによる「近似値クイズ」で勝負をつけることに。

問題は「2022年における、個人の自己破産が受理された件数は何件でしょう?」(A.63005件)。難易度が高かったのか数千件~数十万件と解答が分かれ、8000件と解答した富山代表・富山中部が決勝への1枠を勝ち取った。
コメントを求められた富山中部の2人は「最高です」「最高以外の言葉が浮かばないです」と嬉しそうに語り、いよいよ
■長崎大会代表・長崎県立佐世保北高等学校(2年・田代豊、2年・大久保優樹)/10年ぶり2回目の全国出場
■山口大会代表・慶進高等学校(2年・山中駿、1年・福岡綾乃)/2年ぶり2回目の全国出場
■愛知大会代表・愛知県立岡崎高等学校(2年・清水忠勝、2年・緒方健太)/2年連続2回目の全国出場
■千葉大会代表・千葉県立千葉高等学校(2年・桝谷隆太、2年・山本拓真)/3年ぶり3回目の全国出場、過去2回優勝
■富山大会代表・富山県立富山中部高等学校(2年・藤木冬磨、土地爽太)/5年ぶり2回目の全国出場
の5チームによる決勝戦(第5ラウンド)「QUIZ DISCLOSURE」へ。

地方大会から見守ってきた各金融機関の担当者からのエールをそれぞれ受け取ったあと、ルール説明が始まる。

形式は12問のボードクイズで、各チームは事前に3桁のナンバーを設定。正解すると、指定した不正解チーム(全チーム正解の場合は指定した他チーム)のナンバーを推測でき、12問を通して3桁すべて当てられるとそのチームを脱落させることができる。最後まで生き残った(他チームにナンバーを当てられなかった)チームが優勝となる。

全問終了時点で複数のチームが残っていた場合と、残っていたチームが同時に敗退した場合は、設定したナンバーが最も大きいチームが優勝するというルールもあり、事前のナンバー設定も勝敗に大きく関わってくる。
第1問はマニュライフ生命取締役代表執行役社長兼CEOのブノワ・メスレ氏によって英語で出題され、県立千葉が単独正解。さっそくナンバーを1桁当てられてしまうチームもあり、金融・経済に関する知識だけでなく様々な能力と運が問われている。

第2問からは日本語での出題だが、不正解チームは、桁と数字が一致した「ジャスト」の数と、数字のみ一致した「シフト」の数を発表する必要があるため、それをヒントに探り合いが続いた。
第8問で敗退した富山中部は、悔しさを滲ませながらも「大変良い機会になって楽しかったです」と振り返り、第10問で敗退した岡崎は、笑顔で「自分たちなりにベストは出せたので良かったです」「相方とペアで協力し合えていい経験になりました」と語った。

3チームで迎えた最終問題には、なんと全チームが正解。佐世保北は慶進に対して「946」を予想し、県立千葉・慶進は予想を同じ数値で返す「リフレクト」を使用。しかし、いずれも3桁一致とはならなかったため、3チームの中で最も大きいナンバー「792」を設定していた佐世保北が優勝となった。
(※富山中部は「836」、岡崎は「403」、慶進は「627」、県立千葉は「681」)
10年ぶり2回目の全国出場にして初優勝を果たした佐世保北チームは、「優勝できたのは相方のおかげ」「運による部分が多かったんですけど、運も味方につけることができた」とコメント。

準優勝・3位となった2チームも「決勝まで進めると思っていなかったので先輩に感謝しています」「去年は県大会で負けてしまって、全国に出られたのも奇跡。3日間楽しい思い出でいっぱいでした」(慶進)、「決勝はクイズのほうは相方に任せて自分が当てにいくっていうのでやっていたんですけど、仕留めきれなくて申し訳ないです」「悔いがないかと言われたら嘘になるんですけど、やれることはやったかなと。決勝でも楽しめましたし、優勝は後輩にやってもらいたいなと」(県立千葉)とそれぞれ振り返ったあとは、閉会式へ。

育英奨学金対象者と進学支援生の発表ののち、筆記ラウンド1位となった鳥取大会代表・鳥取県立鳥取西高等学校(4年ぶり4回目の全国出場)2年・吉田泰希さんと、総合第1~5位となった佐世保北、県立千葉、慶進、岡崎、富山中部の各チームの表彰が各社から行われた。
賞状・トロフィー・副賞のほか、優勝チームにはニューヨーク研修旅行もしくは「国際経済オリンピック(IEO)」日本代表出場権が贈られ、閉会後の取材に応じた佐世保北チームは「一緒に経済について勉強し、努力してきたので、結果が出てすごく嬉しい」「副賞は、IEO日本代表としての出場権を選択したい」と優勝の喜びを語った。

「エコノミクス甲子園」は、毎年夏ごろにエントリー受付を開始。参加費無料で出場者には事前学習教材が提供されるため、ぜひ同じ高校に通う仲間とともに気軽にエントリーしてほしい。

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