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INTERVIEW

『クイズマジックアカデミー』20周年記念インタビュー! 「対戦」「協力」「店舗大会」。『QMA』が開拓したクイズゲームの可能性

今年20周年を迎えた『クイズマジックアカデミー』。史上初めて筐体同士をインターネット回線でつないでオンライン対戦を実現し、全国のゲームセンターを舞台にした店舗大会が数多く開催されるなど、クイズ文化の発展に大きな役割を担ってきた人気アーケードゲームシリーズだ。今回は『クイズマジックアカデミー』をきっかけにクイズの世界に足を踏み入れ、現在では競技クイズの世界でトッププレイヤーとして活躍している徳久倫康をインタビュアーに迎え、コナミに20年の歩みを振り返る取材を行った。

聞き手・徳久倫康(とくひさのりやす)
1988年、東京都生まれ。早稲田大学文化構想学部にて作家・思想家の東浩紀に師事し、東が創立した株式会社ゲンロンに2021年度末まで在社。現在は「QuizKnock」を運営する株式会社baton所属。主な戦歴に『第3回Knock Out~競技クイズ日本一決定戦~』優勝、『JQSグランプリシリーズ』初代・第3代・第4代王者など。また、ユーザー主導による『クイズマジックアカデミー』の大規模大会「賢竜杯」で準優勝を記録している。

技術革新と表裏一体だった
『QMA』の20年

――『クイズマジックアカデミー(以下『QMA』)』20周年おめでとうございます。まずは20周年を迎えられたご感想をお願いします。
コナミ 遊んでくださってるお客様のおかげで、20年続けられたのは本当にありがたいです。20年も続くタイトルはそんなに多くないですからね。いまだに学籍番号A(※プレイヤーに割り当てられた識別番号。シリーズ1作目からのプレイヤーにはアルファベットの『A』がつく)を誇ってくださっている方もいらっしゃるので、そういったファンの方々に支えられているおかげだと思います。もう、ひたすら感謝ですね。
――20年間プレーされ続けてきた理由は、どのように分析されていますか?
コナミ まずクイズというテーマが普遍的だということですね。それとタイミングも大きかったと思います。ちょうどe-amusement(※コナミアミューズメントが提供するアーケードゲームをインターネットでつないで通信対戦、全国ランキング、プレイデータの保存などを行うネットワークサービス)というものが出てきたところに、うまくマッチして、プレーしていただく方が一気に広がったことで、長く続いたんだと思います。全国オンライントーナメントで16人がマッチングするというゲーム性も画期的でしたし、何よりオンラインで問題を定期的に追加していくというのはそれまでなかったですからね。
――それまでのクイズゲームは、収録された問題を全て回収したらゴールでしたから、第1作(2003年)は本当にエポックメイキングでした。

↑『クイズマジックアカデミー』第1作(2003年)

コナミ インターフェイスでいえば、タッチパネルは今でこそ当たり前ですけど、当時としては画期的でしたね。タッチパネルを導入したのは『麻雀格闘倶楽部』に次いで2番目でした。『QMA』は幸い普及台数もそれなりにあったので先陣を切って、いろいろな新技術を試していたことを思い出しますね。例えば『QMA7』(2010年)で導入したPASELIも、協力プレーという新しいモードを開発して、使っていただけるように工夫したり。『QMA』の新モードは、技術革新と表裏一体でしたね。
――懐かしいですね。あの頃の協力プレーは地下何十階という深さで、途中でトイレにも行けないので、なかなかのハードモードでした(笑)。また、『QMA』の魅力としては、多彩なキャラクターも外せません。
コナミ 最初はテレビ番組っぽい世界観だったんですけど、ちょうど当時『ハリー・ポッター』が流行っていたこともあって、当時のデザイナーがそちらの方向性にキャラクターを持って行ったんです。その時の判断は大きかったですね。
――ノルマを達成してもらえる「ご褒美絵」があったりと、初期のイラストはかなり攻めてましたね。『トーキョーグリモワール』(2016年)では世界観が大きく変わり、この時にキャラクターデザインも一新されました。
コナミ 『QMA』はキャラクター数がすごく多いので、デザイナーのプレッシャーは相当なものがありました。生徒だけで20 キャラ以上ある上に、その次の『THE WORLD EVOLVE』(2017年)ではさらにそれぞれのエボルグリムも追加されましたから。新しいイラスト1枚追加しようとすると、描かないといけない人数が多いので、その辺のコストは大変ですね。
――すでに多くのプレイアブルキャラクターがいるので、新キャラの追加もハードルが高そうですね。
コナミ 何作かごとにキャラクターを入れ変えるという方向性もあったとは思いますけど、追加方式にしたために増える一方になりました。一番新しいプレイアブルキャラのヴァニィは『暁の鐘』(2015年)から登場したのですが、当初は実況キャラとしての登場で、プレイアブルキャラになったのは2年後の『THE WORLD EVOLVE』からです。でも、やはり単純にプレイアブルキャラを増やしていくのは難しいので、新キャラはゲスト的なキャラクターとして登場することが多くなりました。
――『天の学舎』で登場した妖精のティアルとセレスト、『トーキョーグリモワール』から登場したイナリとムジナですね。
コナミ メインの生徒じゃないキャラクターを増やすことで、世界観が広げられればいいなと。エボルグリム生徒もそうですね。エボルグリムはちょうど声優さんの音声収録をする話が出たところで、絶好のタイミングでした。セリフのパターンはすごく少なかったんですけどね。一気に倍の数のキャラクターデザインをしないといけなかったので、そこは大変でしたが楽しくやらせていただきました。
――世界観といえば、『トーキョーグリモワール』で舞台が実在の町をモデルにした「トーキョー」になったり、制服が一新されたりと、かなりイメージが変わりましたが、あのときはどのようなコンセプトだったのでしょうか?
コナミ やはり長く続けてきたので、ここら辺で一度大きく印象を変えてみようという話になりまして。とはいえ、長く遊んでくださっている方にとっては人生の一部みたいになっているコンテンツですので、もはや我々の開発チームのものではなく、お客様のものなんですよ。
――キャラクターに関していえば、一度『QMA7』で削減され、次回作で復活したことがありましたね。
コナミ はい。それもありましたので、「キャラクターは変えない」というのが大前提としてありました。その上で、どう印象を新しくしようかと。最初は「江戸時代を舞台にする」みたいなアイデアも出て、最終的に「異世界転生」がピッタリだったので、ファンタジーから真逆の「現代の日本」に転生する世界観になりました。ちょうどラノベで「異世界転生モノ」が流行していたので、若い方にもプレーしていただけるかなと。
――世界観を刷新した一方で、ゲーム性は変えなかったというのも面白いですね。
コナミ アイデアはいろいろ出たんですよ。例えば「キャラクターを1人選ぶんじゃなくて、プレイヤーはクラスの先生になって、生徒みんなの経験値を貯めていく」とか。1つのカードで1人しかキャラを使えないというのはもったいないかなという発想ですね。ただ、『QMA』の場合はキャラクターごとに性能差があるわけではないので、使い分ける理由がないんですよ。そこがなかなかゲームに落とし込むのが難しくて不採用になりました。
――言われてみれば、自分も最初になんとなく選んだキャラをずっと使っています(笑)。
コナミ その分愛着がわくというのはありますけど、『QMA』独自のシステムですよね。

「知識がある人しか勝てない」という部分を
いかに打破するか

――先ほど「協力プレー」の話が出ましたが、『QMA』には様々なモードが追加されてきました。まず「協力プレー」モードの変遷について、あらためてお聞かせください。先ほどは直接のきっかけとして「PASELI」で遊べるモードというお話をお聞きしましたが、敵キャラが登場したりと、RPGのような世界観が一気に広がった気がしますね。
コナミ もちろん魔法学校を舞台にしているので、RPGっぽい世界観ではあったんですが、『QMA5』の時にクイズ魔神が登場したあたりから、そういう要素が増えていきましたね。そのような世界観がベースにあったので、同時期のコンシューマー(DS版)でもアーケードでもそれぞれが活かす流れになって、ダンジョンを進んでいくという最初の「協力プレー」が生まれました。
――「協力プレー」は、それまでのオンラインでの対戦と、「検定試験」という1人プレーがメインだった『QMA』に、「仲間と協力して進めていく」という新しい遊び方を生み出しました。ソーシャルゲームやオンラインゲームの流行という背景もあると思いますが、このあたりの狙いはどうだったのでしょうか?
コナミ 当時の『QMA』としては、やっぱり「知識がある人しか勝てない」という部分を打破したいというのがありました。つまり、正解することがプレーヤー同士の戦いではなくて、他者と一緒に勝利を目指すことにつながる。そういう遊び方を目指しました。
――クイズを正解することで行動ゲージが溜まるというのが『QMA』ならではですよね。
コナミ それが一つの形になったのが『天の学舎』の期間限定イベント「邪神封印戦」ですね。「ゲージが溜まると行動が選択できる」「ダメージが蓄積すると部位が破壊される」というアイデアが、RPGが好きなスタッフから出ました。そこから次の「マジック☆コロシアム」(『暁の鐘』)で「ジョブ」が導入されて、さらに「グリムバスターズ」(『トーキョーグリモワール』)、「グリムバスターズEVO」(『THE WORLD EVOLVE』)へと進化しました。
――クイズゲームでありながら単にクイズの得点を競うのではなく、「クイズに正解する」ということが別の何かのアクションになるというのが斬新ですよね。
コナミ そうですね。ただ、クイズに答えた後に何をするのかが煩雑だと、クイズの必要性が弱くなってしまいます。「邪神封印戦」みたいなコマンドバトルも「リコードアリーナ」もそのあたりのバランスが難しかったですね。クイズがなくても成立してしまってはダメですから。
――たしかに『MAXIVCORD』で導入された「リコードアリーナ」もそれまでの『QMA』とは全く違う「カードゲーム」という要素が斬新でした。ある種の中毒性があるモードで、かなりプレーさせていただきました。このモードはどういう狙いで作られたのでしょうか?
コナミ 元々は「キャラクターをうまく活用して、もう少し楽しんでいただきたいな」というところがスタートでした。これまでのイラストなどのビジュアル素材はいっぱいありますから、それらを使って「クイズ+カードバトル」の企画を立ててみようじゃないかと。でも、始めてみたら……大変でしたね。
――どういった部分で苦労されたんですか?
コナミ 一言で言うと、世の中にまだないゲームを作る大変さですかね。もちろん我々も面白いと思って作ってるんですが、「これは本当に面白いのか?」という正解を誰も持ってない状態で突き進まなきゃいけなかったので……。本当に紙でカードを作って、アナログテストプレイも相当やったんですよ。プレーされていて、特にどのあたりが面白かったですか?
――特にゲームバランスがいいんですよ。いろいろな相性があって、1つのデッキが覇権を取ることができないという絶妙のバランスで。その上で、クイズが正解できるかどうかでも、さらに変わってくるという。戦略としては3問全て正解する前提で組むんですけど、大事な局面に限ってクイズを間違えたりするので(笑)。先ほどのお話ともリンクしますが、クイズゲーム要素とカードゲーム要素のハイブリッドで、とても楽しいゲームになっていました。でも、『QMA』はシリーズを重ねるごとに選べるモードが増えていったので、開発の皆さんにかかる負担もどんどん増えていきますよね。第1作では対戦モードだけだったのが、「検定クイズ」や「協力プレー」が生まれて、さらに「リコードアリーナ」まで。
コナミ そこは確かに苦労がありますね。基本的に一度追加した要素は残していく方針で運営しているので、 バージョンアップのたびに増えていっているんですよ。今回の『黄金の道標』でも「ソロクエスト」という1人用のモードも追加しましたし。
――「ソロクエスト」はどういうところから生まれたのでしょうか?
コナミ 実は今一番遊んでいだいているのが「検定クイズ」なんです。それと「協力プレー」も人気なので、「じゃあ、この2つのいいとこ取りをしたモードを作ったら、喜んでもらえるんじゃないか」というところからスタートしました。
――20年前は対戦モードが柱だったのが、時代とともにユーザーのプレースタイルも変わってきたということなんでしょうか?
コナミ それはあると思います。1人用の需要というのは増えてきているんですよ。マッチング人数自体は外的な要因もあるんだと思うんですけど、たとえマッチングできたとしても、対戦するモードをしないっていう人は一定数いるんじゃないかと思います。だから、もう少し気軽に遊べるモードも用意した方がいいんじゃないかなと。
――先ほど、PASELI向けのモードとして「協力プレー」が作られたというお話がありましたが、「負けるのがストレスになる」という意見があって協力し合うというモードになったというお話も聞いたことがあります。確かに、常に対人競争が求められるのも、けっこうしんどいですよね。
コナミ みんながみんなやれるかというと、そうではないですよね。多様性な世の中になってきて、お客様のニーズや年齢層も変化して、わざわざ 競わなくてもいいっていう感じになっていったんだと思います。そういう時代の変化みたいなものに対応してきた20年間だった気がします。
――「検定クイズ」が一番人気というお話でしたが、検定のテーマはどのように選ばれているのでしょうか?
コナミ バージョンアップのタイミングで1年間の大まかなテーマをセブンデイズウォーさんと相談して決定しています。さすがに15年近くやっていると、なかなか新しいテーマがないんですけど(苦笑)。そこは「昭和歌謡」「平成ゲーム」「令和アニメ」みたいに時代で区切ったり、あの手この手を考えてもらっています。「ラジオ」みたいに、意外とこのテーマはなかったなというのが、人気だったりすることもありますね。
――「ラジオ」では実際に出題されたラジオ番組のパーソナリティーの方がSNSで反応されたりしているのを見かけました。以前のテーマだと「ミステリー&サスペンス」なんかも有名な作家さんもプレーされたりして話題になっていました。それを見て、普段は『QMA』に触れない層の方もプレーするきっかけになることもありそうです。「検定クイズ」ならではの魅力ですね。

ユーザー側から生まれた
店舗大会という文化

――ここまで様々なゲームモードについてお話を伺いましたが、それ以外にも例えば全国大会でも区間賞バトルだったり、チームバトルだったりと、期間限定の様々なバリエーションがありました。長く続くシリーズでありながら、常に新しい遊びを模索されていますね。
コナミ そうですね。ただ、クイズゲームとして遊ぶところは20年の間にかなり完成されたので、最近は変えるのが難しいんです。無理に変えると逆に違和感になってしまいますから。先ほども言いましたが、『QMA』はもはや制作側のものではなく、お客様のものなんですよ。だから、お客様にアンケートを取らせてもらって、好評なところは伸ばして、改善してほしいというところは改善するというのが運営の基本的な指針なんです。
――長く続いているシリーズものにとっては、「評判のよいところは変えない」というのが大事なのかもしれませんね。
コナミ 20年の間に、新しいこともいろいろ試してきていますけど、やっぱりクイズが主体じゃないと受け入れないので、そこは忘れないようにしています。
――『QMA』はお客様のもの……というお話でいうと、ユーザー側が自発的にコミュニティを作って、自ら大会を開催していったというのは、アーケードゲーム史の観点でもかなりエポックメイキングなことなのではないかと思います。
コナミ 確かに店舗に集まって自主的に大会を開催するというのは、他のゲームではなかったんじゃないですかね。そうした盛り上がりを受けて、『QMA4』からは店舗側で設定して店舗大会を開催できるモードを実装しました。
――当時は毎週のように店舗大会に参加していたので、店舗大会モードが実装されたときは「大会文化が認めてもらえた」という気がして、かなりうれしかった記憶がありますね。「得意なジャンルや形式を武器として選択する戦略性」「自分と同レベルのプレイヤーとマッチングされる階級制」「正解率とタッチパネルの入力速度が点数化されて競う」といった複合的な要素が『QMA』のゲームとしての面白さだと思います。クイズ好きがハマるのはもちろんですが、こうした『QMA』ならではのオリジナリティーが、むしろゲーマーの方に刺さったのではないでしょうか。また、『QMA』でクイズの面白さに触れて、そこから競技クイズの大会に足を運ぶようになった私(徳久)のようなプレイヤーもたくさんいます。
コナミ そうなんですね。そういうお客様の盛り上がりという点では、ジャパンツアーも思い出されますね。おかげさまで、あの頃は店舗大会が年間に1000個ぐらいあったんですよ。お恥ずかしい話なんですけど、1年に500大会ぐらいしか開かれないだろうなと予想して設計していたせいで501個目の大会を開く時にゲームが起動しなくなるというトラブルがありまして……。
――需要がありすぎたんですね(笑)。
コナミ 元々たくさん大会を開催していただいていたんですけど、ジャパンツアーとして登録できるようになって、さらに数が増えたんでしょうね。開発スタッフの中には『賢竜杯』を見学させていただいたりもしましたけど、ユーザーさんの熱量を知るいい機会でしたね。こんなにも大勢の大人たちが詰めかけて、しかもこのゲームで泣いてくれている方までいらっしゃったり……。
――いろいろな店舗からすごい数の筐体を手配して、会場に持ち込まれていましたね。
コナミ 本当にすごかったです。ありがたかったですね。だからジャパンツアーというのは、コロナ禍の前まで本当にいい仕組みだったなと思いますね。
――コロナ禍の前といえば、コナステの導入というのも大きかったですね。
コナミ そうですね。やっぱりお近くのゲームセンターから筐体がなくなってしまったり、そもそも近場にお店がないという方をフォローできるようになったのは大きいですね。
――私は『QMA』をコナステでプレーするためにタッチパネルのついたパソコンを買いました(笑)。
コナミ ありがとうございます。実はコナステとアーケードは現状うまく住み分けできているんです。特に大きいのは時間帯ですね。コナステはお店が閉まってる時間でもプレーできますから。

20年愛されてきた
「『QMA』らしさ」の継続

――少し話題を変えますが、20年間に他社からクイズゲームがリリースされたり、またコナミからも『QuizKnock STADIUM』が新しく登場したりしましたが、そうした別のクイズゲームはどの程度意識されてきましたか?
コナミ 実は他社から早押しクイズのゲームがリリースされるよりも前に、『QMA』にも早押しボタンをつけるかどうかを検討したことがあったんですよ。やはりクイズといえば早押しだろうと。
――時期はいつ頃ですか?
コナミ 『QMA4』(2007年)のタイミングですね。で、実際に早押しボタンを作ってテストプレーもしてみたんですけど、やっぱり『QMA』のゲーム性には合わなくて、そのときは断念しました。その1年後に他社から早押しクイズのアーケードゲームが出たんですけど、逆に「『QMA』は『QMA』なんだな」ということを再認識させられましたね。
――全員に解答権がある『QMA』と、解答権そのものを奪い合う早押しクイズだと、方向性がある意味で真逆ですものね。
コナミ ただ、「『QMA』でもいつかは早押しをやりたいな」という思いはあったので、『輝望の刻』(2020年)の「トリニティクロス」で、3人までが解答できる「早押し限定バトル」として実現しました。早押しクイズの「見た目のわかりやすさ」みたいな部分はゲームとしても魅力的ですので、その部分は『QuizKnock STADIUM』に取り入れさせてもらっています。『QuizKnock STADIUM』は『QMA』とは違う層の方にゲームセンターに来ていただこうというところから生まれたゲームですので、そういう意味でも住み分けはできていますね。
――なるほど。新しい遊び方を常に模索されているというのがうかがい知れました。続いて、筐体まわりのお話を伺わせてください。『QMA』は『賢者の扉』(2012年)以降、パーティシペーション(メーカーとオペレーターとの間でインカムをシェアする)方式に切り替わりました。これによってゲームの制作にはどのような影響があったのでしょうか?
コナミ 昔は1年に1回のリリースだったので、そこに向けて作りこむという感じでしたね。「今回は協力プレーを作ろう」みたいなものがあって、リリースしたら、「じゃあ、来年の次回作はどうしようか」と半年ぐらいかけて、また準備をするというサイクルがありました。今はネットゲームに近いものがあって、区切れ目なく、ずっと運営しています。そこは大きな違いですね。
――さかのぼると、筐体が大きく変わったタイミングもありましたね。
コナミ 『輝望の刻』の時のハイグレードモデルですね。それまで使っていた中のPCの部材が調達できなくなってきたという事情がありまして……。
――確かに最初の筐体が設計されてから17年ほど経過していたわけですからね。考えてみれば、『QMA1』が出た時期は、コンシューマでいえばPS2と同じ頃です。筐体の切り替え、コナステの導入と、ハード面でも様々な課題を乗り越えてきたんですね。『QMA』が誕生してから20年目ですが、20年前と比べると、アーケード業界を取り巻く環境も厳しくなってきている部分もあると思います。これからを見据えて、『QMA』の現在はどう捉えていらっしゃいますか?
コナミ 厳しくはなっていますが、『QMA』や『麻雀格闘倶楽部』も、ゲームセンターでプレーするという環境そのものも魅力の1つなんだと思います。本当にこれまでプレーしていただいているお客様に支えられて続けてくることができました。20年の間には、ユーザーさん同士で結婚されたという方からお手紙をいただいたこともあるんですよ。
――本当に『QMA』が人生の一部になっている方がたくさんいらっしゃいますね。私も『QMA』がなかったら、今このような仕事をすることもありませんでした。続いていること自体が本当にありがたいですね。
コナミ 今はプレーしていないという方でも、20周年のリリースが出たときにすごく反応してくださって。「『QMA』ってまだ続いてるんだ」って。それもすごくうれしかったです。そういった方々にも、また再びプレーしていただけるように、盛り上げていきたいですね。
――生活スタイルが変わると、続けるのが難しくなったりしますからね。でも今はコナステで家でも深夜でもプレーできるし、昔に比べて触れやすい環境が整っているといえそうです。
コナミ 中には300店舗以上を回ってプレーされている方もいらっしゃったり。本当に『QMA』を愛していただいているお客様に支えていただいた20年間だと思っています。
――それこそ、昔はランキングに載っていた人に会いに、そのゲームセンターに行ってみたりとか、『QMA』を通した出会いもたくさんありました。感謝してもしきれないゲームですね。これからも、シリーズのさらなる発展を期待しております!


『クイズマジックアカデミー 黄金の道標』
2023年12月27日より「検定クイズ」で
新テーマ「クイズマジックアカデミー」が実施中!
1月19日からは「検定ウォーズ『クイズマジックアカデミー』もスタート!
『QMA』20年の歩みを検定クイズで振り返ろう!
https://p.eagate.573.jp/game/qma/18/top/index.html

(C)Konami Amusement

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