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INTERVIEW

第13回エコミクス甲子園、激闘の現場を早稲田クイ研OBが振り返る!(PART.1)

早稲田高等学校・クイズ研究部OBである関根蒔人くん(左)と平井裕一くん(右)

2月16・17日に開催された『第13回全国高校生金融経済クイズ選手権 エコノミクス甲子園マニュライフ生命カップ全国大会(以下、エコミクス甲子園)』。
本大会は全国の地方大会を勝ち抜いた46チームが出場。その中には、灘やラ・サールなど、競技クイズ界でも強豪とされる高校も名を連ねていたが、その結果が示す通り、エコノミクス甲子園はクイズ研究部(以下、クイ研)出身者が優位に立てるクイズ大会では決してない。そこで本記事では、東京大会代表として全国大会に出場した早稲田高等学校のクイズ研究部OBである関根蒔人くんと平井裕一くんに競技クイズプレイヤー目線でエコノミクス甲子園を振り返ってもらい、その奥深さを探ってみたいと思う。

第13回エコノミクス甲子園を制したのは
福井県代表・福井県立藤島高等学校

第13回大会を優勝したのは、前年大会での8位入賞から見事リベンジを果たした福井県代表・福井県立藤島高等学校の鷲田樹音くんと坪田実那美さんペア。
この1年間で「大会に勝つための小手先の勉強」ではなく、「今後の役に立つ意義のある勉強」をしてきたことが優勝の秘訣と語った2人。主催者側から提供された本や資料以外にも、ミクロ経済とマクロ経済に関するテキストなどを買って、経済・金融的な考え方が身に付いたと言い、「優勝という結果以上に得られたものがあった」とチャンピオンにふさわしいコメントで大会を振り返った。

優勝  福井県立藤島高等学校(福井県代表)
準優勝 群馬県立中央中等教育学校(群馬県代表)
3位  茨城県立並木中等教育学校(茨城県代表)
4位  灘高等学校(兵庫県代表)
5位  愛知県立旭丘高等学校(愛知県代表)
6位  智辯学園和歌山高等学校(和歌山県代表)
7位  金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校(石川県代表)
8位  富山県立富山中部高等学校(富山県代表)

関連記事:クイズに賭けた青春!『第1回ニュース・博識甲子園』レポート(PART4)

本大会前日から戦いは始まっていた

――エコノミクス甲子園には過去に先輩も出場していましたが、2人は今年が初出場ですか?
関根 平井くんは僕が今年誘ったので初めてなんですけど。僕自身は先輩に去年誘われて全国大会にも出場しています。去年は本当に先輩のお陰で全国大会に出場できたようなものだったのですが、今年も全国大会に2年連続で出場できました。
――平井くんをパートナーに選んだのはどうしてでしょう?
彼は本当に単純な性格なので(笑)。声を掛ければ出てくれるだろうなと。ほかにも声掛けてもよかったんですけど、けっこう政治経済のテストでも良い結果を出しているという話を聞いたので、そういったところもあって彼に声をかけました。
平井 まだ古舘伊知郎さんがキャスターだった時代の報道ステーションが好きで、毎日TVを見ていたんですね。それで色んなことを学んだ気になっていたので、行けるかもって(笑)。
――ちなみに2人ともクイ研OBということですけども、入部したのはいつのことですか?
関根 僕は中学・高校共に早稲田なので中学1年から入っていて、平井くんは中学3年生の途中から鉄道研究会から転部してきました。
――どんなきっかけがあったんですか?
平井 きっかけは中2のときに関根くんと一緒のクラスになったことです。仲良くなって「クイ研来なよ」ってことをずっと言われていて。それで、中3のときに「行ってみようかなぁ」ってふっと思って(笑)。
――関根くんは何かきっかけがあったんですか?
関根 昔からクイズ番組が好きだったのもあるんですが、小学校の時に早稲田の文化祭に参加して、一番楽しかったのがクイ研だったので、合格したら即決でそのまま入部しました。
――平井くんは途中から入部して、初めて見る競技クイズの世界は驚きの連続だったのではないですか?
関根 そうですね。僕が知っているクイズといえばTVで見る『クイズ!ヘキサゴン』とか和やかなものだったので、みんなでワイワイ言いながらやってる部活なのかなと思ったら、入部してみたらみんなの目が怖くて(笑)。
――そんな2人によるコンビが誕生したわけですが、事前対策はどんなことをしましたか?
関根 基礎から始めなきゃと思っていたので、教科書レベルの現代社会の教科書は読んでましたし、新聞は平井くんが読んでいました。
平井 あとは、政治経済の授業で配られたプリントも色々と見ました。
関根 ただエコノミクス甲子園は、教科書以上の詳しい投資の知識なども問われることがあるので、そういう知識は新たに勉強しなきゃいけないと思って対策しました。
平井 出題される問題の3割ぐらいの知識は部活を通して色々と知っていて、そういった面では部の活動が役立ったのかなと思います。特に名前が特徴的な単語は覚えていくようにしたりとか。
――事前対策はどのくらい活かせたと思いますか?
平井 僕は単語をある程度覚えていけば大丈夫かなと思っていたんですけど、詳しい経済の計算は全然お手上げで(笑)。
関根 競技クイズの感覚でいったら問題にならないだろうなっていう単語も出やすいという話は聞いていたんですが、大会では計算から答えを導き出す問題も大きな割合を占めていたので、対策が甘かったなと感じています。
――とは言いつつ、2人は地方大会を勝ち抜けて東京代表になりました。地方大会も難しかったですか?
関根 地方大会のペーパークイズは教科書レベルがほとんどだったので。そんなに点数が取れたわけじゃないですけど、難しくはなかった気がします。地方大会ごとに形式が違うと思いますが、基本的に早押しに加算されるのは少しだけでした。
平井 ペーパークイズは2人で一緒に解く形式で、時間が余ったので答え合わせもして、彼が言うなら間違いないなとか思いながら、そこそこは正解した感触がありました。少なくとも、1位まではいかないけど10位ぐらいには入ってるだろうと。
――コンビネーションは発揮できましたか?
関根 競技クイズの知識とかノウハウで解けるものを僕が答えて、平井くんは教科書レベルの知識を拾っていくみたいな感じで、そういう相乗効果はあったと思います。最後のボードクイズも僕が分からないところで彼が正解を取ってくれました。
――そして全国大会を迎えるわけですが、前日に行われるプレゼンテーションとペーパーが翌日の本戦にも影響するというのはエコノミクス甲子園ならではですね。
関根 そのプレゼンテーションに予想外に苦戦してしまって。2人からなるチームが4つ集まって、色々と話しながら意見をすり合わせていくんですけど、これはもちろん競技クイズにはまったくないことなので、特別な大会だなっていう印象を凄く受けました。
――「環境問題と経済活動のつながりが学べる授業案について」というテーマで、チーム全員でプランを作るというものでしたね。一緒になったチームはどこの学校だったか覚えていますか?
関根 宮崎第一と……
平井 長野県の松本深志、長崎県の精道三川台かな。
――どこの高校がリーダーシップを発揮して進めていったのでしょう?
関根 早稲田の僕でした……でも難しかったですね。人の意見を聞かなきゃっていうのは当然なんですけど、お題が難しくて。だから、まず「どういうことなんだ」ってテーマを理解するところから始めたんですね。次に環境問題からアプローチしていった方がいいのか、それとも経済活動からアプローチしていった方がいいのか、とか。そういうことで凄く悩んで、そのまま昼食になっちゃったんですね(笑)。ようやく形になったのは確か締切の15時ギリギリで、何とか間に合わせたという感じで。
――最終的にはどういったものができあがったのですか?
関根 ほかのチームはゲームとかVRとかを使って体験させるというアイディアだったんですけど、僕らにはそういった発想が全くなくて普通の授業プランになっちゃったっていう(笑)。凄く酷いってわけじゃないんですけど、普通になってしまいました。
平井 よくある話し合いみたいな授業を提案したんです。
関根 10個ぐらいのチームに別れてたんですけどVRを使うアイディアを出したチームはプレゼンも上手かったですし、敵わないなって思いましたね。
――平井くんはプレゼンで印象に残っていることはありますか?
平井 ほかの班で学校の後輩に電話して「これどう思う?」って聞いたところがあって。そんなことを思いつくなんてさすがだなって。


――外部と連絡を取ってはいけないルールもないんですね。
関根 全然ありませんでした。
平井 判定してくださった企業の方にも「授業を受ける側の中学生の声を直接聞くのは凄いね」って褒められていて。「なるほどなぁ」って本当に感心しました。
――その後、前夜祭をへて最後の最後にペーパークイズが待っているわけですが、ここまでくるのに疲れもありますよね。何問ぐらいあったんですか?
関根 単純に知識を問うのが20問ぐらい、そのあとに計算問題とか記述問題とか。本当に国立の社会のテストみたいな感じで、疲れていたのもあって凄く難しく感じました。
――それでペーパーとプレゼンを経て全国大会本番の順位付けも決まると。
関根 そうなんです。プレゼンが本当にできたチームは1位から10位まで独占みたいな感じなんですね。僕たちはプレゼンもペーパーも振るわなくて35位以下(笑)。
平井 僕たちのチームだけで35位以下独占みたいな(笑)。
――前日に行われるプレゼンテーションとペーパーの結果は全国大会の第1ラウンドから響いてくるんですもんね。最大2問の早押しで、前日の結果が高い方が1問だけで切り抜けられるという。

関連記事:参加者数は過去最多の2340人!金沢大学附属高校が『第11回エコノミクス甲子園』の頂点に立つ!

大会本番は1問目からサドンデス

――それで第1ラウンドは早押しクイズで、対戦校が前日の成績で3位になった愛知大会代表の旭丘高等学校。1問目の
「マーケット・オブ・ザ・ハイグロウス・アンド・エマージングストックスの略である東京証券取引所/が運営……」
という問題に「マザーズ」と答えた早稲田が先手を取って、残り1問を賭けた戦いになりました。ところが続く2問目で
「1987年10月19日にニューヨーク株式/……」
と、だぶ早いタイミングで押した旭丘が「ブラックマンデー」と答えて第2ラウンドへの切符を手にする結果に。第1ラウンドの中でもかなり早いタイミングでボタンが押された問題でしたが……。
関根 僕らが遅かったですね、2問目の場合は。それだけです。
――もっと早く取れたと?
関根 取れましたね。ちょっと緊張しちゃったんで(笑)。サドンデスって本当に緊張するんですよ。この戦いでは実質僕らが押さないと何もならないのでそれが怖かったですし、普段競技クイズでサドンデスになったときは、いつも死にそうなんですね、本当に(笑)。落ちるか消えるかなので。そういう状況に2問連続で置かれたので本当にキツかったですね。

――対戦校はクイ研だったのでしょうか?
関根 知っている人でした。
平井 第1ラウンドの後半はクイ研同士の対決だったかと思います。
関根 事前にアンケートがあったんですよ。「クイズ研究部と対戦したい学校は」って。そしたら当たったのが成績3位の高校だったという……現実的にクイ研との対戦は避けておけばよかったなぁって(笑)。
――クイ研出身者の性が出てしまいましたね(笑)。さて続く第2ラウンド「歩み寄れ!商談成立クイズ」は、1ラウンドで敗北したチームで行う最大7問の4択クイズで、ステージの上に立って札を上げる四択問題でした。


●ルール
・前半後半の2組に分けられ、各組上位3チーム、合わせて6チームが準決勝ラウンドに進出
・チームの2人が別々に四択問題に解答する。
・各チームは7マスに分けられた舞台の両端に分かれて立ってもらう。
・正解した人は内側に1マス進むことができる。
・クイズに正解して2人の距離を縮め、2人が同じマスに入るか隣同士のマスに入れば勝ち抜けとなる。

――舞台映えする形式でしたが、これも競技クイズにはない魅せ方でしたね。立ち位置が舞台前方になる高校は客席の注目も集まるから凄くプレッシャーを感じているのが伝わってきました。相方が正解しているのに、自分が間違ってばかりで膝が震えている子もいて……。
関根 僕も全然答えられなくて同じような状態でした。みんなが正解して舞台中央に移動していくから残っているのがバレるんですよ(笑)。そのせいで、ますかす緊張してしまって……。
平井 「焦る焦る」って言ってましたもん(笑)。
――第2ラウンドは平井くんが引っ張っていく展開に?
平井 けっこう冴えてました。これはないな、これはないなって。
――いくつか問題を見ていきましょう。早稲田が出場した前半戦の1問目は
「2017年に金融庁は金融行政方針の中で家計の資産形成において重要な3つの原則を発表しました。それではその3つの原則に含まれないのは次のうちどれでしょう」

A=長期 B=積立 C=分散投資 D=比較分析

という内容でした。この問題は正解できましたか?
平井 いえ、当たってないです。確か正解したのは2~4問目だったと思います
――2〜4問目はこんな問題でしたね。
第2問「IMFの加盟国が外貨不足に陥った際に特別引出権と引き換えに受け取る自由利用可能通貨にあたらない物は次のうちどれでしょう」

A=日本円 B=ユーロ C=スイスフラン D=スターリング・ポンド

第3問「GDPから環境の悪化などを差し引き、家事労働などを加えることで求められる福祉に関する経済指標は次のうちどれでしょう」

A=NNW B=GNP C=HDI D=NI

第4問「財務諸表でその額がマイナスである時に用いられる記号は次の4つのうちどれでしょう」

A=四角 B=アスタリスク C=ターンエー D=三角

――次のラウンドに進んだ灘は「2人で答えを変えると確率1/2になるので、分散投資がうまくいきました」とコメントしています。事前に対策を立てていたようですが、早稲田は事前に迷ったときの約束事はあったんですか?
関根 全然決まってなかったね(笑)。とにかく四択は答えがわからなかったら運なので。迷ったら同じ答えにすると決めておけばよかったです。
――なるほど、ここも戦略の有無が命運を分けたのかもしれませんね。ここで残念ながら早稲田は敗退となりましたが、次の第3ラウンドの「インサイダークイズ」は24チームを2組にわけて戦う8問のボードクイズ。各自ヒントが書いてある封筒を渡されて、ボードクイズに正解したチームは予選順位の上位から順に「交換」か「解答」を選択することができ、「交換」を選んだ場合、その相手が承諾するとそのチームと情報が入った封筒を交換できる、というルールでした。「情報の交換相手として指名されたチームは情報の交換を承諾しても拒否しても構わない」というルールが特徴で、拒否したチームはかなり手堅いヒントをもっていることになりますね。
関根 普段ニュースを見てるかどうかが問われるラウンドだったのかなと感じました。前半戦で最初に客席に向けて公開されたヒントが確か「約2万円です」だったので、「じゃあ『日経平均』?」みたいなことを言ったら当たったので、前のラウンドで勝てなかったのが悔やまれました(笑)。

▼前半戦・各チームに配られていたヒント
「1950年台に算出が始まった、日本」
「経済を代表する指標の一つで」
「東証一部に」
「上場している企業のうち」
「代表的な企業の平均」
「株価は何と呼ばれるでしょう?」
「昨年サイバーエージェントが採用され」
「古河機械金属が除外されました。」
「現在はダウ式ではありません」
「平日は毎日更新され、5秒毎に変化します。」
「先物に使用されます。」
「約2万円です。」

――前半戦の答えが「日経平均」で、後半戦の答えが「リーマンショック」でした。前半戦の「日経平均」だと「約2万円です。」「経済を代表する指標の一つで」あたりが手堅いヒントに、後半戦の「リーマンショック」だと「住宅バブルが崩壊したことで金融市場が麻痺」「グローバルファイナンシャルクライシスなどと呼ばれているファニー・メイやフレディ・マックなどの企業の経営状況の大幅な悪化が引き金のひとつ」あたりが当時メディアに度々登場した事件に絡みのキーワードですね。リーマンショックはニュースを見ていればわかりやすかったかなと思ったんですけど、この傾向は次の「敗者復活ラウンド」で、より顕著に表れました。32チームで行われる4問の近似値クイズでしたが、かなりの難易度だったと思います。問題を見ていきましょう。

第1問「日本銀行の発表によると2018年3月現在の日本の家計の金融資産に占める現金・預金の割合は何%でしょう。小数第一位までお答え下さい」

正解は「52.5%」

第2問「1991年に起こったバブル崩壊以降の日経平均株価の最安値は何円でしょう。小数点以下を四捨五入して円単位でお書きください」

正解は「6995円」

第3問 「2018年11月5日現在で日本経済団体連合会、通称経団連に所属する企業は何社でしょう。なお日本の法人数は200万社です」

正解は「1381社」

第4問 「現時点での円ドル為替レートは何円でしょう。ヤフーファイナンスのトップページの情報を参照します。1000の単位まで四捨五入してお答えください」

正解は「110円44銭」

――残念ながらここでも早稲田は復活ならずでしたが、やはり難しかったですか?
関根 詳しい数字は分からなかったですけど、僕は好きな問題でした。大体このぐらいだろうというところまでは絞れたけど、細かい数字をいかに詰めきれるかが勝負の分かれ目になるクイズでしたね。最近の情報をチェックしていなかったのが他校を上回れなかった原因ですね。
――平井くんはどうでした? 報道ステーションの知識がここで活かせたりとか。
平井 めちゃくちゃ暇な時に株価のチャートを見たことがあったんですよ。50年分くらいの株価が載っていて、スクロールしながら落差が大きい時代をなんとなく覚えていたので、だいぶ正解に寄せられたと思います。
――具体的にいくらと書いたか覚えていますか?
関根 7,600円ぐらいだったと思います。


――だいぶ近いですね。第3問目の「経団連に所属する企業の数」もニュースを見ていれば……。
関根 そうですね。200万社という情報があったので、これは答えが相当バラけるなと思ったのと、近似値問題の傾向として少ない数字の方が正解になるものなので、とにかく桁数が4桁ぐらいで書けば大体当たるなと踏んでいました。
――なるほど、競技クイズのノウハウがそういった場面でも役に立ってくるわけですね。

エコノミクス甲子園名物
戦略性が求められるクイズが波乱を起こす

――次の準決勝ラウンドが「派閥対抗! 出世の椅子取りクイズ」。16チームで行う全10問の4択クイズで、4チームでひとつの派閥を作り4派閥に分かれて戦うという形式でした。これは派閥内で話し合ってそれに合わせるかどうかはともかく正解数の多いチームが正解数の少ないチームから椅子を奪い、正解したチームは1ポイントを獲得。不正解のチームにペナルティはなしというルール。派閥内でもポイントが高いチームから勝ち抜けになるので、どこかで派閥の仲間を出し抜く必要も出てくるという、なかなか考えさせる形式ですよね。
関根 そうですね。ほとんど初めての人、初対面の人と信頼関係もあまりない中でやるというのが面白いし、同時に難しいルールだなと思いましたね。部活とかでチーム戦をやるときは、基本わかる人が答えるものですが、チーム戦でありながら各々が解答権を持っているというルールは競技クイズでは見たことがないです。とても興味深かったです。


――競技クイズに取り入れられそうですか?
関根 そうですね。大会で大々的にやるには難しいですけど、普段の部活とかでこういった、ルールでやったら盛り上がると思いますね。
――では1問目から見ていきましょう。椅子の移動、ポイント加算の状況も1問ごとに紹介していきます。
第1問 「気候変動を経済分析に統合した功績を認められ、2018年のノーベル経済学賞を受賞したアメリカ出身の経済学者は次のうち誰でしょう」

A=ウィリアム・ノードハウス B=ジャン・テロール
C=オリバー・ハート D=アイカス・ディート

――圧倒的にAを選択したチームが多いなか、正解は「A=ウィリアム・ノードハウス」。この結果、智辯和歌山派閥の椅子が宇都宮派閥に移動。

※★=椅子の数 ()内の数字はポイント
智辯和歌山派閥 ★
○智辯和歌山(1)、並木中等(1)
×藤島(0)、福岡(0)

宇都宮派閥 ★★★
○宇都宮(1)、弘学館(1)、昭和薬科(1)、山形南(1)

旭丘派閥 ★★
○旭丘(1)、松山東雲(1)、甲府南(1)、富山中部(1)

中央中等派閥 ★★
○中央中等(1)、金大附属(1)、灘(1)、土佐塾(1)

――続く第2問は
「恐怖指数とも言われるS&P500のオプション取引における価格の変動を元に算出される指数は次のうちどれでしょう」

A=ISM指数 B=VIX指数 C=RTS指数 D=ベイ指数

――Bを選んだチームが多いなか、正解は「B=VIX指数」。この結果、旭丘派閥の椅子が智辯和歌山派閥に移動、椅子の数を取り戻しました。

智辯和歌山派閥 ★★
○智辯和歌山(2)、並木中等(2)、藤島(1)、福岡(1)

宇都宮派閥 ★★★
○宇都宮(2)、弘学館(2)、昭和薬科(2)、山形南(2)

旭丘派閥 ★
○旭丘(2)、松山東雲(2)、富山中部(2)
×甲府南(1)

中央中等派閥 ★★
○中央中等(2)、金大附属(2)、灘(2)、土佐塾(2)

――続く第3問 
「まだ製造途中であり、そのまま販売することができない在庫を表すのは次のうちどれでしょう」

A=未完品 B=仕掛品 C=半製品 D=中途品

――この問題もBを選んだチームが多数。正解は「B=仕掛品」。旭丘派閥の椅子が智辯和歌山派閥に移動。ここで旭丘派閥の椅子が0に。

智辯和歌山派閥 ★★★
○智辯和歌山(3)、並木中等(3)、藤島(2)、福岡(2)

宇都宮派閥 ★★★
○宇都宮(3)、弘学館(3)、昭和薬科(3)、山形南(3)

旭丘派閥
×旭丘(2)、松山東雲(2)、富山中部(2)、甲府南(1)

中央中等派閥 ★★
○中央中等(3)、金大附属(3)、灘(3)、土佐塾(3)

――次の第4問は
「様々な分野の専門家が集まって社会開発や経済などの調査や分析を行い問題解決のための提言を行う研究機関は次のうちどれでしょう」

A=シンクタンク B=ヘッドクォーター
C=ブレインステム D=コンサルティングファーム

――全チームがAを選択。正解は「A=シンクタンク」。全チーム正解したので椅子の移動はなく、ポイントが加算されるのみ。続く第5問は
「保険契約を組み込んだ金融派生商品のひとつで高い利子収入を得られる一方、巨大災害が起こった場合に償還元本が減少する金融商品は次のうちどれでしょう」

A=キャットボンド B=ドッグボンド
C=ラビットボンド D=マウスボンド

――Aにまとめた派閥が3チームあるなか、宇都宮派閥だけがDを選択、正解は「A=キャットボンド」。宇都宮派閥から智辯和歌山派閥に椅子が移動。智辯和歌山派閥が頭一つ抜ける状況に。

智辯和歌山派閥 ★★★★
○智辯和歌山(4)、並木中等(4)、藤島(3)、福岡(3)

宇都宮派閥 ★★
×宇都宮(3)、弘学館(3)、昭和薬科(3)、山形南(3)

旭丘派閥
○旭丘(3)、松山東雲(3)、富山中部(3)、甲府南(2)

中央中等派閥 ★★
○中央中等(4)、金大附属(4)、灘(4)、土佐塾(4)


――折返しの第6問は
「個人が日本の業者を利用してFX取引を行う場合の証拠金倍率の上限は次のうちどれでしょう」

A=10倍 B=20倍 C=25倍 D=50倍」

――全チームが選択した「C=25倍」が正解。全チーム正解なので椅子の変動はなし。

智辯和歌山派閥 ★★★★
○智辯和歌山(5)、並木中等(5)、藤島(4)、福岡(4)

宇都宮派閥 ★★
○宇都宮(4)、弘学館(4)、昭和薬科(4)、山形南(4)

旭丘派閥
○旭丘(4)、松山東雲(4)、富山中部(4)、甲府南(3)

中央中等派閥 ★★
○中央中等(5)、金大附属(5)、灘(5)、土佐塾(5)

――続く第7問は
「投資家のために株式や証券を保管し、受け渡しや決済を一手に行う機関は次のうちどれでしょう」

A=ガルデルコープ B=カストディアン
C=パイロテージ D=ガーディアン

――正解は「B=カストディアン」。宇都宮派閥だけが間違い、宇都宮派閥から旭丘派閥に椅子が移動。

智辯和歌山派閥 ★★★★
○智辯和歌山(5)、並木中等(5)、藤島(4)、福岡(4)

宇都宮派閥 ★
×宇都宮(3)、弘学館(3)、昭和薬科(3)、山形南(3)

旭丘派閥 ★
○旭丘(4)、松山東雲(4)、富山中部(4)、甲府南(3)

中央中等派閥 ★★
○中央中等(5)、金大附属(5)、灘(5)、土佐塾(5)

――次の第8問
「ずばり貸借対照表を表すのは次のうちどれでしょう」

A=CF B=SS C=PL D=BS

――正解は「D=BS」。全チームが正解し、ポイントのみ加算。

智辯和歌山派閥 ★★★★
○智辯和歌山(6)、並木中等(6)、藤島(5)、福岡(5)

宇都宮派閥 ★
○宇都宮(4)、弘学館(4)、昭和薬科(4)、山形南(4)

旭丘派閥 ★
○旭丘(5)、松山東雲(5)、富山中部(5)、甲府南(4)

中央中等派閥 ★★
○中央中等(6)、金大附属(6)、灘(6)、土佐塾(6)

――第9問は
「株式市場において売買を成立させるつもりがないのに特定の銘柄の大量注文と取り消しを繰り返すことであたかも活発に取引されているように見せかける行為は次のうちどれでしょう」

A=見せ玉 B=角打ち C=振り飛車 D=逃げ馬

――正解は「A=見せ玉」。勝ち抜けを見越してか、中央中等派閥の灘が単独で勝ち抜ける展開に。智辯和歌山派閥が椅子を上限の4つ持っているので移動はなし。

智辯和歌山派閥 ★★★★
○智辯和歌山(6)、並木中等(6)、藤島(5)、福岡(5)

宇都宮派閥 ★
○弘学館(4)、昭和薬科(4)
×宇都宮(3)、山形南(3)

旭丘派閥 ★
×旭丘(4)、松山東雲(4)、富山中部(4)、甲府南(3)

中央中等派閥 ★★
○灘(6)
×中央中等(5)、金大附属(5)、土佐塾(5)

――そして最終問題の第10問
「次の4つの株価指数を構成する銘柄が多い順に正しく並び替えたのは次のうちどれでしょう」

ア=日経平均株価 イ=TOPIX ウ=S&P500 エ=ハンセン指数

A=イウアエ B=ウイエア C=イアエウ D=アウエイ

――正解は「A=イウアエ」。この結果、智辯和歌山派閥の椅子が旭丘派閥に、宇都宮派閥の椅子が中央中等派閥に移動。

智辯和歌山派閥 ★★★
×智辯和歌山(6)、並木中等(6)、藤島(5)、福岡(5)

宇都宮派閥
×弘学館(4)、昭和薬科(4)、宇都宮(3)、山形南(3)

旭丘派閥 ★★
○富山中部(5)、甲府南(4)
×旭丘(4)、松山東雲(4)、

中央中等派閥 ★★★
○中央中等(6)、灘(7)
×金大附属(5)、土佐塾(5)

――この結果、各派閥から下記のチームが決勝に進出しました。
・智辯和歌山派閥…智辯和歌山、並木中等、藤島が決勝進出
・宇都宮派閥…全チーム敗退
・旭丘派閥…富山中部、旭丘が決勝進出
・中央中等派閥…灘、中央中等、金大附属が決勝進出

※PART.2はコチラから

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