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ワロドム・ジアムサクン インタビュー(PART1)

ワロドム・ジアムサクン インタビュー(PART1)

ワロドム・ジアムサクン Warodom Geamsakui

1979年、タイ・サムットプラーカーン県生まれ。タイのトリアムウドムスクサー高校卒業後、日本の大阪大学工学部、そして同大学院工学研究科に留学。現在はシステムエンジニアとして勤務。高校時代にタイの『Shell Quiz』で準優勝。日本では大阪大学クイズ研究会に所属し、2003年に『パネルクイズアタック25』で優勝。2017年には『超クイズサバイバー!』にクイズ王チームとして出演し話題を呼んだ。

ある時は『超クイズサバイバー!』(2017年6月放送)で10人のクイズ王軍団の1人として、またある時は『パネルクイズアタック25』でロザン宇治原の対戦相手として、何度もクイズ番組でその姿を見かけるワロドム。「クイズに強いタイ人」という強烈なキャラクターは、一度見たら忘れられない。いったいどのような経緯で日本を訪れ、そしてクイズの道を進んだのか。

英語で出題されるタイの『高校生クイズ』に
出場し、惜しくも準優勝に

――最近、立て続けにクイズ番組に出場されているワロドムさんですが、「タイ出身のワロドムさんが、なぜ日本語のクイズに強いのか?」など、視聴者の皆さんが気になっている部分をお聴きしたいと思っています。
ワロドム よろしくお願いします。

――まずは子供の頃の話からお聞かせください。幼い頃はどういう子供でしたか?
ワロドム 私、昔から本をすごく読むんですけど、小学生の頃は漫画を全く読まず、雑学本ばかり読んでたんです。なぜかというと、漫画は線が多くて読みづらい。でも雑学本は写真と文字だけですよね。それが読みやすかったんです。

――小学生の頃から活字に親しんでいたというのは「クイズ王あるある」ですね。日本のクイズ王でもそういう人は多いんですよ。
ワロドム 小説はほとんど読まないですけどね。でも、「この小説は誰が書いた」とか、表面の部分は小学生の頃に覚えました。

――なるほど。クイズの素養は小学生の時点で、すでに培われていたわけですね。ちなみに、タイではクイズ番組はどれぐらい放送されているのですか?
ワロドム 少ないですね。高校生を対象としたクイズというか、知識番組が毎週2本あって。

――それはレギュラー番組ですか?
ワロドム レギュラーですね。そのうちの1本は、タイ国際航空がスポンサーをやってる番組で、主にタイの中の知識を問うものですね。「問題が読み上げられて、学生が答えを紙に書く」みたいな。で、もうひとつが、シェル石油がスポンサーをやってる『高校生クイズ』みたいな番組。これが私が出たやつですね。問答は全て英語でやります。他には中高生を対象とした算数・暗算の番組が1本ありました。

――ワロドムさんが出た番組は「全て英語」ということですが、他の番組も英語なんですか?
ワロドム いや、他の番組は普通にタイ語でした。

――タイの方って、基本バイリンガルな感じなんですか?
ワロドム 違いますね。昔ながらの観光立国なので苦手意識があまりないものの、ちゃんとした英語のリスニングとスピーキングって、実は限られた人しかできないんですよ。

――ということは、ワロドムさんの出た番組というのは、限られた人しか理解できない番組ということですか?
ワロドム そうですね。問題はネイティブの先生、あるいは番組のスポンサーの役員さんが英語で読み上げます。で、そのあとで学生がポンとボタンを押して、英語で答えるんですけど、実は隣にもう一人、タイ人の英語講師がちゃんといて。その人が「タイ語ではこういう問題で、答えはこれです」というような解説してくれているんです。

――なるほど、テレビを見ている人は、そのタイ人の英語講師の解説で一応は理解できると。でも、出場する人は英語をちゃんと聞き取れることが必須なんですね。
ワロドム はい。

――レベルが高いなぁ。
ワロドム この番組は1年間のうち、半年ぐらいを通して優勝者を決めるんですね。

――個人戦ですか?
ワロドム いえ、3人1組のチームが、1対1で対戦します。

――出場するチームというのは、どうやって決めるのでしょう?
ワロドム まずスポンサーのシェル石油さんが、「この高校を出場させたい」とピックアップします。そのあとでテレビ局が、その学校に声をかけます。

――なるほど、予選があるわけじゃないんですね。
ワロドム 予選はないですね。主催者選抜です。で、選ばれたチームが半年通して対戦すると。

――出場するのは何チームくらいですか?
ワロドム 毎年48校だけですね。

――48ってなんか日本の都道府県みたいですけど、その数字に意味はあるんですか?
ワロドム 1回戦から4回戦までは1対1で戦うんですけども、決勝戦だけは3チームが出るんです。なので48チーム。

――なるほど。48チームのトーナメントを勝ち上がった3チームが、決勝で戦うという感じなんですね。ちなみに、そのチームのメンバーというのは、どうやって決めたのでしょう?
ワロドム 私の高校の場合は、単純に120問の読み上げ予選をしました。

――それは学校の中で?
ワロドム はい、学校の中で。本番は英語でやるということで、英語の先生が問題も担当したんですよ。

――へぇー! 学校の先生が問題を作ったんですか!
ワロドム 私の高校の英語部は何度も出場者を出していたので、ノウハウを持ってるんです。「どう選抜すればいいか?」「どう勉強させればいいか?」ってことを、顧問の先生はよくご存じでした。

――ワロドムさんが行かれてた高校は、その番組の優勝者を出したことがあるんですか?
ワロドム けっこう出しますね。

――じゃあ、日本でいうとラ・サールとか東大寺学園みたいな感じなんですね。
ワロドム 「タイの開成」と言ってもいいと思います(笑)。私のチームは第30回大会で準優勝だったんですけども、それまでの29年間で3~4回は優勝してたはずです。

――名門なんですね!
ワロドム クイズを売り物にしてるわけではないんですけどね(笑)。でも、私の高校っていうのは、チュラーロンコーン大学っていうタイのトップの大学に学生を送るための……こういうのって、何ていいましたっけ?

――進学校?
ワロドム そう、進学校なんです。しかも生徒の数が1学年に生徒が1,000人以上いて、みんな賢いもんですから、中にはクイズが得意な人も当然いるわけで。

――なるほど。ちなみに、ワロドムさんは惜しくも準優勝ということですが、その番組で印象に残ってる問題ってありますか?
ワロドム そうですね。1回戦の1問目、「車を加速させる装置を何というでしょう?」みたいな問題が。

――それが英語では、どういうふうに出たんですか?
ワロドム 「What is a pedal for raising the speed of a car?」ですね。で、「スピードを上げるペダル」ということで、私、「アクセル」って答えたんですよ。

――あぁ、なるほど。
ワロドム ところが、これがどうやら、出題者が準備した正解とは違ったみたいで。

――え、違うのですか? ちなみに、用意されてた正解というのは?
ワロドム 「Gas pedal」。アクセルのことを、アメリカの一般的な英語ではこう言うらしいです。だから、「用意していた正解と違う」ってことで、カメラが一旦止まってました。

――正誤判定の人が戸惑ってしまったと(笑)。
ワロドム ただ、問題を読み上げたネイティブの方が「それで正解だよ」って言ってくれて。

――なるほど、問読みの人が正解と判定してくれたのですね。
ワロドム そんなこともありました。

――それがワロドムさんにとって、記念すべきテレビでの初正解?
ワロドム そうです。

――いやぁ、タイ時代からすごく面白いですね。
ワロドム ありがとうございます(笑)。その頃からクイズに魅力を感じてました。

――それはどういった点に?
ワロドム 私の学校は進学校なので、みんな頭よくて、けっこう競争が厳しかったんですよ。なので、何かで息抜きはしたいなぁと思ってたんです。たぶん、みんなそう思ってたんですけど、私の場合、その息抜きの方法はクイズになったと。

――タイの高校も1年から3年までですか?
ワロドム そうですね。

――クイズに興味を持ったのは、何年生の時でしょう?
ワロドム 3年生のときですね。1~2年生の頃は、学校内で予選があるということを全然知らなくて、単に番組を見るだけでした。でも、「こういう問題なら、自分でも十分戦える」って思ったので、3年生のときに英語部の先生に「予選情報を教えてください」って。

――で、そこから準優勝という結果を残したと。ちなみに、この結果についてはいかがですか?
ワロドム 優勝できなかったのはもちろん残念ですけど……。ただ、ひとつ言い訳がありまして。というのは、この時のタイの『高校生クイズ』では、30年目にして初めての、ある形式をやりだしたんですよ。

――その「初めての形式」というのは?
ワロドム 番組の前半は、普通のクイズを15問やったんです。そこまではいつもと同じだったんですけど、問題なのはそのあと。後半の15分は、なんと言えばいいんだろう……。キーワードが出るので、チームのうちの1人がヒントを出すんですよ。で、残り2人がそのキーワードを当てる、みたいな。

こちらがタイの『高校生クイズ』で準優勝した時の盾

――なるほど。昔、日本のNHKでやってた『連想ゲーム』みたいな形式ですね。
ワロドム 「やったことないわ、そんなん!」っていう(笑)。

――その形式って、前の年までは無かったのですか?
ワロドム 無かった。

――つまり、いきなりバラエティ企画が入っちゃったわけですね。
ワロドム そうそう。

――そのルールを聞いたとき、当時のワロドムさんの内心はどうだったのですか?
ワロドム 「これってクイズ番組なの、バラエティ番組なの?」って(苦笑)。

――まさに同じ頃の日本の高校生たちが、『高校生クイズ』で毎年思っていたようなことを(笑)。
ワロドム 実は収録の2週間くらい前に、「次の収録では、あなたの学校は××高校と対戦する」みたいな予告がくるんですけど、決勝戦の時だけ「連想ゲームがあります」って書いてあったんですよ。それを見て「えー!」って思って(笑)。それまでは放課後に3人で英語のクイズを出し合って練習してきたんですけど、この時は「連想ゲームって、どんな練習したらいいの?」って。どうしたらいいのか、誰もわからなくて(苦笑)。

――ちなみに、3人で練習していたという英語クイズは、早押しなんですか?
ワロドム 早押しです。英語の早押しというのは、日本語の問題とはかなり違う点があります。というのは、英語のクイズって、だいたい5W1Hから始まるんですよ。Whatとか、Whoとか……。

――「何を聞くのか?」っていうことが、最初に明示されるわけですよね。
ワロドム そうです。なので、押し方や確定ポイントは全然違います。日本語の問題と比べると、確定ポイントがはやいんだなぁと思います。だって「誰でしょう?」とか「何でしょう?」っていうのが、最初にわかっちゃってますので。

――要は、そのあとのキーワードで反応しないといけないってことですよね。
ワロドム はい。例えば「Who composed the music piece The Blue Danube?」という問題です。

――『美しく青きドナウ』というタイトルが出るところで、みんなが一斉に押すわけですよね。
ワロドム はい。この問題だと、最初に「Who」が出てますから「誰でしょう?」ってのがわかりますよね。で、「Who composed the music piece」で、「あ、作曲家を聞く問題だな」と。なので、最後のキーワードで一斉に押すわけです。

――日本語と英語、両方のクイズを経験したワロドムさんから見て、どっちの早押しのほうが面白いと感じますか?
ワロドム 私は日本語のほうが面白いと思います。日本語の問題ならではの特徴といえば、「〇〇は××ですが~」っていうパラレルですね。これは、タイにはなかった形式です。

――英語だと、パラレルって作りづらいですよね?
ワロドム 作りづらいんです。で、私、日本に来て、大学のクイズ研究会に入って、「こういう問題形式があるんや!」ってわかったので、1年後、学校が休みでタイに戻った時に、後輩のチームに出してみたんですよ。

――反応はどうでしたか?
ワロドム みんな、キョトーンとしました。「何それ?」って(笑)。例えば「韓国の首都はソウルですが、北朝鮮の首都はどこでしょう?」っていう問題。これ、出題したんですけど、初めて聞いた問題形式なので、みんな確定ポイントのかなり前に押して間違えてました。「The capital city of South Korea is/……(is Seoul but where is the capital city of North Korea?)」でみんなボタンを押して、ソウルって。

――ですよね(笑)。でも、パラレルを知らない人からしたら、ひっかけ問題からね。
ワロドム 向こうにとってはひっかけ問題だけど、こちらの人には普通ですし。

――そこはやっぱり文化の違いなんですね。

語学の習得をしながら
日本にまつわる知識も身につく

――続いては日本編というか、留学してからのことをお聞かせください。大阪大学に留学されたということなんですけど、阪大に入られた経緯というのは?
ワロドム まず来日したのは1997年、消費税が5%に上がった年ですね。この年は1年間、日本語だけを勉強してました。で、そのあと、国費留学生同士で行く大学を争ったわけです。要は、成績が上の人から行きたい大学を選ぶと。ちなみに、一番賢いのはシンガポールとベトナムの学生さん。彼らはだいたい東大に行きます。

――つまり、タイだけでなく他の国の人とも争うってことですか?
ワロドム はい、そうです。この入試は、日本政府から奨学金をもらう留学生が毎年、だいたい100人ぐらいいるんですけど、その100人の中だけで順位付けします。

――各国からの選りすぐりの学生だけで競い合うと。
ワロドム はい。アジアの人が多いですね。ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシア……。遠いところだと、ペルーとかブラジルもいましたけど。で、そういう学生が東京か大阪、2か所に集まります。私の場合は大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)ですね。東京は東京外国語大学です。

――なるほど。
ワロドム で、さっき「日本語だけ勉強して」って言いましたけど、実際は「日本語を中心に勉強しました」というのが正確です。私は理系なんで、物理学や数学も習いましたけども……それは、専門用語を習得するのが主な目的でした。

――つまり大阪大学に入る前に、1年間だけ大阪外国語大学で、日本語とか理系の専門用語をいろいろ勉強したと。
ワロドム はい、そうですね。で、大阪外大ではもちろん中間試験や期末試験があるんですが、その成績で行ける学校がだいたいわかるんですね。「今のこのくらいの順位では、ここら辺だなぁ」と。ということで、シンガポールとかベトナムの友達はみんな東大に行きます。じゃあ、自分はなんで阪大にしたかというと、成績がそれくらいだったのと、もう一つの決め手がありまして。実は、阪大にはタイ人の先輩が結構いらっしゃったんです。なので「これなら生活しやすそうだなぁ」というわけで阪大に決めましたと。

――では、なぜ阪大でクイズ研に入られたのでしょう?
ワロドム 大学に入って最初に考えてたことは、単純に「勉強以外にやることを見つけたい」「日本人の友達を作りたい」の2つですね。で、もちろんどこの大学でもやってると思いますけど、学校が始まってわりとすぐにサークルオリエンテーションがあったんです。その時、運よくパンフレットの中にクイズ研究会っていうの見つけまして。最初は阪大にクイズ研究会があるの、知らなかったんですよ。私は98年入学ですけど、その年に『アメリカ横断ウルトラクイズ』が1回だけ復活したんです。なので、たしか阪大クイズ研はパンフレットの中で、『ウルトラクイズ』のことを宣伝文句にしていたと思うんですよ。

――97年に来日したけど、外語大に1年間いたから、阪大入学は98年なんですね。クイズ的には、すごくいいタイミングですね。
ワロドム ……まあ私、『ウルトラクイズ』なんて知らなかったですけどね。

――まぁ、タイで放送してるわけじゃないですもんね(笑)。
ワロドム だけど興味を持ったので、サークルオリエンテーションで応対してもらいました。で、早押しボタンに触ってみて「ああ、これは面白そう」と。で、そのあと他のサークルも見学しにいったんですけども、クイズ研究会が一番面白そうだったので、最終的に入会したというわけです。

――この時、応対してくれたクイズ研の人を覚えてますか?
ワロドム 三木智隆さんがいらっしゃいました。他の先輩もいたんですけど、今もまだ現役なのは三木さんくらいですね。

――ワロドムさんが入会された時、クイズ研の皆さんのリアクションはどうでした?
ワロドム 驚きをもって迎えられたと思います。おそらく、外国人が来るというのは予想だにしてなかったはずです。

――その時はもう日本語を習得されていたと思いますが、早押しクイズは答えられましたか?
ワロドム かなり狭い知識範囲だけしかボタン押せなかったのです。まぁ、来日して1年しかたってませんし、クイズ界でよく出る問題は当然知らなかったし……。

――では、最初の頃は苦戦したと。
ワロドム そうですね。最初の2年間は苦労した覚えはあります。日本のこと、まだよくわかってなかったから。でも、「サークル全体で強くなろう」ということなんで、私だけ特別扱いされることはありませんでした。

――それでもクイズを続けたのは、やっぱり早押しの楽しさですか?
ワロドム そうそう。たまーにわかる問題が出ますからね(笑)

――その頃に正解できた問題というのは、どういうジャンルでしょう?
ワロドム 社会、中でも世界地理とかですね。あとは新聞に出ているようなものならわかりました。……実はクイズをしていて、副産物がありまして。クイズをする時って、ちゃんと問題を聞き取ろうとしますよね。で、問題を出す時には、まともな文章を書かなければいけない。なので自分にとっては、クイズはいい日本語の練習になりました。

――確かに、一番いい勉強法ですよね。だって、言葉の勉強になる上に知識も仕入れられるわけですから。
ワロドム そうなんです。だから、ぜひ留学生にすすめたい活動なんですけどねぇ。

――これはぜひ広めていきたいですね、外国人の方に。
ワロドム 聞き取りと書き出しの練習にもなって、さらに日本にまつわる知識も身につく。これは留学生にとってのメリットになると思いますよ。

パート2に続く)

 

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