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INTERVIEW

『99人の壁』佐藤二朗インタビュー

『99人の壁』佐藤二朗インタビュー

昨年の大晦日、今年の4月と、放送されるたびに大反響を巻き起こしてきたクイズ特番『99人の壁』が、3回目の放送で遂にゴールデンに進出することとなった。題して『超逆境クイズバトル!! 99人の壁 夏の大花火』(フジテレビ系にて8月15日(水)19時より放送)。

『99人の壁』とは、100人のチャレンジャーから選ばれた1人が、自分の得意なテーマに関する5問のクイズで100万円に挑戦、残りの99人は文字通り壁役として阻止に回るという「クイズの攻防戦」。今回は、100人の参加者が自由に選んだジャンルで対決する「無差別級」と、平成の30年間に活躍した日本人に詳しい100人が集まった「平成の日本人編」の2部構成となっている。

今回の放送でも、前回に続き賞金100万円獲得を目論むToshl(X JAPAN)、リベンジを狙う能町みね子ら著名人を含む、ひと癖もふた癖もあるチャレンジャーが多数参戦。そんな出場者たちを束ねているのが、MCを務める俳優の佐藤二朗だ。今回は第3弾の収録直後の佐藤に、この番組にかける想いをうかがった。

――『99人の壁』の収録、お疲れ様でした。まずは本日の感想からお聞かせください。

佐藤 ……疲れました(苦笑)。やっぱ、まだ不慣れなんでね。司会をするのは今回で3回目ですけど、「大丈夫なんだろうか?」とか「俺はちゃんとできているんだろうか?」と思ってしまって、全然楽しむ余裕がないんです。

――「まだ慣れていない」とのことですが、佐藤さんがクイズ番組のMCをされるというのはインパクトがありました。最初にこの番組のMCのオファーが来た時は、どのように思われましたか?

佐藤 正直言うと「自分は役者なんで、MCなんて難しいことは無理」ですね。実は、今でもわりと本気でそう思っているんですけど(苦笑)。なので、最初は「できないんでお断りしよう」と思ってたんです。

――ですが、オファーを受けました。その理由みたいなものは……。

佐藤 企画書が非常に熱の入ったものだったんですよ。僕へのラブレターというか、「もう、あなたしかいないんだ!」みたいな感じの、完全に僕を落とそうとしてる企画書で。ドラマや映画の企画書を目にすることはあるんですけど、こういう熱い企画書って初めてで。それでちょっとグッと来まして、「じゃあ、ちょっとお話をお聞きします」と。

――話を聞いてみて、いかがでしたか?

佐藤 最初に「大晦日の朝の10時からやります」「この番組はフジテレビの社内コンペから生まれた企画で、千葉(悠矢)という24歳の入社2年目のやつが企画して、そいつが演出もします」「番組を作るにあたっては、百戦錬磨の先輩たちが全力で支えます」ということを言われましてですね。それで「じゃあ1回だけ、大晦日にお祭り気分でやってみようか」ということで決めました。

――ところが、大晦日の放送が大きな話題を呼び、4月には第2弾も放送されることになりました。2回目の話が来た時は、どう思われましたか?

佐藤 これがね、人というのは現金なもので……。「2回目がある」と聞いた時は、やっぱりうれしかったですよね。だって、全くダメだったら2回目はないわけですから。1回目のときは不慣れだったとはいえ、MCを全力でやらせていただいたわけですけど、それがひとつの作品として評価してもらえたのかな、と。

――なるほど。ちなみに、実際にMCをするにあたって、佐藤さんの中で「クイズ番組の司会者」のイメージみたいなものはお持ちだったんですか?

佐藤 クイズの司会者というと……まずは田宮二郎さん。大好きな俳優なのであの番組(初代『クイズタイムショック』)は観てたねえ。それから児玉清さんがやってた番組(『アタック25』)なんかもすごい観てたし。あの児玉さんのクイズの司会っぷりが、すごい好きなんですよ!

――児玉さんの司会の、どういったところが好きだったのですか?

佐藤 なんか独特じゃないですか。おかしなパネルを取ると「あっ、25番を取るべきだったんじゃないか、今のは!」みたいなことを言ったりとか。そういうのが「面白いなあ」と思って。で、今は章ちゃん(谷原章介)がやってますけど、それも楽しく観てます。……でも、クイズ番組を観てはいましたけど、どれも観る分に楽しいなと思っていただけで。まさか、自分が司会をやることになるとは思いませんでしたね。

――今、名前が挙がった田宮さんや児玉さんの司会と、ご自身の司会を差別化しようみたいなことは考えましたか?

佐藤 ……正直、何も考えてません!(キッパリ) 番組は楽しんで観てたけど、「ここを盗もう」とか「ここを参考にしよう」ということは考えてないし、「あえて違うふうにやってやろう」とも考えてないです。まあ、そもそも形式もそれぞれの番組で違うんで。だから、そこは「僕ができることをやる」ということですね(笑)。

――その結果が、3回目の放送につながりました。

佐藤 2回目を春にやり、そして今回は夏にやり……。もう「フジテレビはどうかしてしまったんじゃないか?」「ヤケになってんじゃねえか?」なんて思っているんですけど(苦笑)。

――あはは(笑)。

佐藤 でも、(総合演出の)千葉は24歳と若いし、僕もMCでは完全に若輩者なんで、若輩者同士でしょ?まあ、そういう勢いだけの番組がひとつぐらいあってもいいかな、って。だから、「もうやめようか」って言われるまではやろうかなあと思ってますね。

――今回は新しい形式のクイズもあったので、段取りなどで苦労されたのではないかと思うのですが……。

佐藤 うん。でも(総合演出の)千葉がね、「あたふたするようなことがあったら、そのままあたふたしてくれればいいですから」って(笑)。なんで「まあ、じゃあいいか」と。俺、千葉のこと、めっちゃ頼ってますからね。

――そういえば今日の収録中にも、何度か千葉さんに話しかけられていましたね。

佐藤 そうなんですよ。正直に言っちゃうと、2回目のオンエアを観たときに「あっ、進行で変に間が空いても、そこは編集で上手くやってくれるんだ」とわかったというのがあって。だから、「オンエアでは無かったことになるんだから、困ったら途中で千葉に話しかけてもいいよな」と(笑)。そういう意味では、僕は精神的にめっちゃ彼に依存してますね。年齢的には、僕の半分ぐらいの年なんですけどね。

――なるほど。

佐藤 (いきなり隣を向いて)千葉、俺はお前にめっちゃ依存してるからな!

――そういえば、ツイッターで「若い才能に期待する」なんて感じで、千葉さんにエールを送られていましたよね。

佐藤 あれは「若い才能に期待する」とか、そんな偉そうなものじゃなくて……。この番組の収録の時って、フジテレビの先輩が千葉のことをすごい支えてくれてるんですよ。例えば今日、先輩のプロデューサーがフロアに出てらしたじゃないですか? そしたら、編成のすごい偉い人が「アイツがフロアにいるのを久しぶりに見たな」とかって言ってて。そういう風に、一生懸命にやってる千葉を、経験豊富で百戦錬磨な先輩が必死に支えるっていう姿がね、ちょっとグッと来るんですよ。そういうのは収録の現場だけでなく、普段の打ち合わせとかを見てても垣間見えてて。なので、あのツイートは「まぁ新米同士、この番組の面白さを信じて頑張ろうぜ」みたいな感じですかね。

――解答者も、回を重ねるごとに豪華になっています。

佐藤 前回は芸能人枠(スペシャルワンマッチ)で、Toshlさんや長嶋一茂さん、滝沢カレンさんが出てくださいましたけど、今回もToshlさんにまた出ていただいて! もう恐縮しちゃうんですけど。

――タレントさんももちろんですが、素人の出場者と佐藤さんのやり取りも面白いですよね。

佐藤 これは1回目からそうなんですけど、みんな、まるでリビングにいるかのように話すんですよ(笑)。……そういえば、前回はずーっと子供がしゃべってて。アイツなんかはもう、完全に自分ちにいるような感じだったんですけど(笑)。

――あはは(笑)。

佐藤 実は僕、昔から動物と子供に好かれるんですけど、なんか同じようなものを感じさせるんですかね? 精神年齢が同じくらいとか……(苦笑)。でもまあ、そのおかげか全体の雰囲気も一体感があるので、「そういうのも楽しんでもらえればなあ」と思いますけどね。

――一番印象に残っている出場者は誰ですか?

佐藤 やっぱり、「ミスター切手」ですかねえ。彼は第1回で、1問目か2問目で失敗しちゃったんです。で、そのあとで「アガサ・クリスティ」がテーマのご婦人がいいとこまで行った時に、アガサ・クリスティに関する記念切手の問題が出て。そこで切手が得意な彼が答えて盛り上がったんですけど。その「ミスター切手」が2回目にも来て、100万円を獲ってったんですよね。彼は印象深いですね。

――佐藤さんが思う、この番組の一番の魅力はどこでしょうか?

佐藤 とにかく「自分の得意分野で勝負できる」というところですよね。普段だったらクイズの猛者たちにかなうわけがないと思ってる人でも、「このジャンルだったら行けるかもしれない」となるわけですからね。

――なるほど。

佐藤 視聴者としても、もし自分の得意分野みたいなのだったら、自分で(テレビの前で)参加できるし、得意分野じゃないなら「こんなことよく知ってんな! すげえなあ」って感じで観れるし。そういう意味では、いろんな楽しみ方ができるというのも魅力だなと思います。

――佐藤さんが司会をされることで、素人さんがいい意味で自由に暴れまわれているのかなと思います。素人さんとのやりとりについて、何か考えていることはありますか?

佐藤 まぁ、クイズとか司会という意味では僕も素人さんなので、「一緒に楽しくクイズの大会をやろうよ」という感じでやってますね。何しろ、出場者の方のほうが進行を把握している場合もあるんで(苦笑)。なので「100人ひとりひとりがMCと思って、責任感を持ってやってくれ」というふうに思いながらやっております(笑)。

――時々、出場者の方と「ちょっと飲みに行こうよ」みたいなやり取りもされていらっしゃますよね。

佐藤 僕自身が「赤提灯俳優」といいますか……。渡部篤郎さんからは「お前と飲みに行くとサラリーマンと飲んでいるみたいだよ」と言われてるので。

一同 (爆笑)

佐藤 僕、芝居をやってなかったら、ホントに普通のオッサンなんですよ。……っていうか、芝居をやってても普通のオッサンですけど(苦笑)。なのに「軽妙にやろう」なんて考えて無理してもしょうがないんで、もうそのまんまやろうと。なんだったら、飲みながらやってもいいぐらいなんですけど……って、それは怒られるのでやりませんけども(笑)。まぁ、そんなつもりで、あまり片意地張らずにやってますね。で、みんなも「それでもいいよ」っていう雰囲気でやらせてくださってるので、逆に「ありがたいな」と思ってます。だから、僕も楽しんでやっておりますよ。……あ、さっき僕、「全然楽しむ余裕ない」って言いましたけど、ちょっと取り消します。どっちかと言うと、楽しみながらやっております!

――佐藤さんの司会について、俳優仲間の皆さんの反響はどうですか?

佐藤 俳優仲間とはね、みんな「観たよ。テレビ番組。なーに、司会やってんじゃん」「いやいやいやいやいや」みたいな感じです(笑)。山田孝之も少しニヤつきながら「司会、観ましたよ」って。

一同 (爆笑)

佐藤 リリー・フランキーさんなんかは1回目も2回目もご覧になってて、「すんげえ面白いよ、この番組」って言ってくださいましたね。実際、この番組は性別も年齢も問わず、いろんな人が観て楽しめるんで、そこは企画として素晴らしいところだと思いますね。

――今回はいよいよゴールデンタイム進出となります。思うところはありますか?

佐藤 ホントに繰り返しになりますけど、フジテレビは勇気ありますよね(笑)。……でも僕自身、役者として、19時台のドラマって出たことないですから。そもそも今、地上波で19時台のドラマってないですよね? 早くて20時台だと思うんですけど、その時間帯に出たのもTBSの『タンブリング』ぐらいで。最近は深夜のドラマが多いので、19時台の番組だと、例えば地方の村に住んでるお年を召したおばあちゃんなんかは「俺のことを知らないんじゃないか?」って思うんです。そういう方たちにもわかりやすく、面白く、茶の間を盛り上げられたらな、という感じですね。

――ありがとうございます。最後に今回の第3弾の見所をお願いします。

佐藤 見所……。(横を向いて)千葉、なんかちょっと俺に耳打ちしろ! それを俺の答えとして言う!

一同 (爆笑)

千葉 (何かを耳打ち)

佐藤 えー、「今回は過去最高のハイレベルな戦いでした。あと、僕の髪型にも注目していただきたい」というふうに千葉は言っておりました。……ごめんなさい、髪型は嘘です。僕の意見でした(笑)。でも、すごいハイレベルだったよね?

千葉 むちゃくちゃレベル高かったです。

佐藤 僕、あまりにも早く押された場合には、牧原(俊幸)さんに問題の続きを聞くんですけど、全部聞いてもよくわかんない。で、答えを聞いても全然わかんない! そういう、その分野に特化した人たちのすごく壮絶な戦いが今回も観れますので、ぜひご期待ください!

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