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幻の『第14回アメリカ横断ウルトラクイズ』出場者が集結!「『QUIZ JAPAN』第8回トークライブ」レポート

幻の『第14回アメリカ横断ウルトラクイズ』出場者が集結!「『QUIZ JAPAN』第8回トークライブ」レポート

さる10月8日(日)、渋谷・東京カルチャーカルチャーにて『第14回アメリカ横断ウルトラクイズ 出場者&視聴者大同窓会ナイト!」が開催された。

『アメリカ横断ウルトラクイズ』は、歴代の優勝者による書籍(『クイズ王の本』『クイズは創造力』『能勢一幸のクイズ全書』)、出場者によるブログなどにより、ほとんどの回でツアー中の様子や裏話が明かされている。しかし『第14回』だけは唯一、参加者による証言が公にされてこなかったことから、クイズファンの間では長年にわたり「謎に包まれた回」とされてきた。しかし、先ごろ刊行された『QUIZ JAPAN』第8号では、82ページにも渡るボリュームで第14回の本土上陸メンバーによる座談会を掲載。27年間にわたり明かされることのなかった『第14回』の深部に迫ることに成功したのだ。

今回のイベントは、その『QUIZ JAPAN』8号の発売を記念して企画されたもの。『第14回』の放送以降はメディアに登場することのなかった、幻の『ウルトラ』出場者たちを目にすることができる貴重な機会とあって、会場には熱心な『ウルトラ』ファンが集結。超満員の観衆の中でのトークライブとなった。

イベントは『QUIZ JAPAN』編集長の大門弘樹と、熱狂的な『第14回』ファンでもあるクイズ作家・日高大介の司会進行によりスタート。まずはおなじみのテーマ曲が流されると、福留アナの名調子をオマージュした日高による生ナレーションにより、次々とメンバーが紹介された(以下、文中敬称略)。

・荒川区民の期待を背負い、浴衣でファイトの元大学生・込山尚人
・タヒチで大ピンチ!その後、司法試験は見事合格!俺は落ちない原田泰孝
・放送当時は浪人生、そして現在は放送作家。不死身の男・ゾンビ亀谷知孝
・「芸能問題だけ強い」と言われつつも見事3位。現在はIT企業のサラリーマン・小林広次
・抜群の勝負度胸で本土上陸、でももっと先まで行きたかった、おっかさん・三浦禮子
・勝ったらバク天! 現在は小学校の先生となった、戦場の軽業師・三宅光紀
・成田の敗者復活から夢にまで見たアメリカへ。夢の真っただ中・細見知弘
・セクシーな水着姿でタヒチのゲリラクイズに挑戦! 姉御と呼ばれた、島村有希子
・結婚式まで残り9日、グランドテートンから無事帰国、あつしさんのお嫁様・高井恵子
・何かを求めて日常を脱するウルトラ挑戦!笑うサラリーマン・森田彰
・元田園調布郵便局の黄門様、栄光の第14代クイズ王、佐藤光邦

『QUIZ JAPAN』8号にも登場した7人、直前にツイッターでアナウンスされた三宅・細見に加え、シークレットゲストとしてイベント開始まで明かされていなかった高井・島村が登場すると、感激のあまり早くも目を潤ませる観客の姿も。そんな会場のボルテージはメンバー一同にとっても驚きだったようで、『第14回』の人気を27年目にして初めて実感したようだった。ちなみに高井は、「身内だけの同窓会だと思って来てみたら、まさかこんなすごいイベントだとは…」と会場で初めてイベントの趣旨を理解したという。それでも、当時と変わらない優しい語り口で、持参した「オレゴン街道のチーム分けで使ったバンダナ」「翌年の『第15回』に参加するためにお揃いで作ったTシャツ」といった貴重な品を披露、会場から歓声を浴びていた。

11人の自己紹介、チャンピオン・佐藤による乾杯に続いて、まずは登壇者たちに、事前に答えてもらったアンケートを元に当時を振り返ってもらった。まず「ウルトラクイズで記憶に残る問題は?」の質問に、東京ドームの○×第3問目「制服の警察官は事件がないとき、不安を与えてしまうのでむやみに走ってはならない」を挙げたのは高井。なんでも、『14回ウルトラ』には現在のご主人と一緒に参加していたが、この○×が出題された時には、たまたま目の前にいた第13回優勝者・長戸勇人が○に行こうとしていたところだったという。それを見て「○に行こう」と思ったものの、ご主人が「×だ」と主張したので仕方なくついていったところ……なんと×が正解! 「後から思えば、それがアメリカ上陸の分岐点だったと思う」と振り返った。

実際、この『第14回』は、前年の『第13回』とは大きく異なり、東京ドームの予選で、クイズの実力者がことごとく敗退したいわくつきの回。そのせいか、「ウルトラクイズに参加して一番驚いた事は?」の質問には亀谷が「クイズマニアが居なかったこと」と回答した。この答えを受けて、日高が11人の登壇者たちに「この中で『第14回』が初めての『ウルトラクイズ』出場だった人」と質問すると、なんと森田を除く10人が手を挙げた。『第14回』が、クイズ番組の経験はおろか『ウルトラクイズ』の予選参加経験すらない人々によるドキュメンタリーだったことが改めて明らかになった。

「『第14回』のチェックポイントの中で印象に残ったところは?」という質問に対し、複数の登壇者が名を挙げたのがタヒチとグランドテートン。中でも、タヒチで行われたゲリラクイズは登壇者たちに大きなインパクトを残したようで、様々な思い出話が飛び出した。島村はタヒチの砂浜に突然呼び出され、重いトランクを引きずって運ばされたときに「『ウルトラクイズ』は本当に事前に何も教えてくれないんだ」と実感したという。

また、タヒチの話の途中では、ゲリラクイズで敗退し本土上陸を果たせなかった悲運の挑戦者・勝俣が客席からステージに呼び上げられた。勝俣からはここで「実は最初の空席待ちクイズの時、最初に席につくこともできたが“様子を見たほうがいいかな?”と思って譲ってしまったら、その後最後まで順番が回ってこず負けてしまった」という、まさかのエピソードも飛び出した。ここで、ゲリラクイズでからくも勝ち抜けた原田と、惜しくも敗れた勝俣がともに「タヒチはビデオで観返さないほどトラウマになっている」と語ると、突如舞台裏から放送でも使われたボードゲーム『ウルトラクイズ』の早押し機が登場! 27年分のトラウマを払拭すべく、勝俣と原田によるゲリラクイズのリベンジマッチが行われた。勝俣は『第14回』と同じく「ポテトチップ」を「フライドポテト」と誤答するシーンを再現してみせたが、直後に日高に促され「ポテトチップ」と正解して27年前の雪辱を果たすと、ギャラリーから大きな拍手が贈られた。

一方の原田は、「ウルトラクイズで記憶に残る問題は?」という質問に対して「バック・トゥ・ザ・フューチャークイズ」での「セントルイス」を挙げた。「バック・トゥ・ザ・フューチャークイズ」は“一度出題されたクイズの答えが、問題を変えて1時間後に再度出題される”という、『第14回』を象徴する形式だが、原田は2回目のクイズの終了後、スタッフから「“問題!”の時点で“セントルイス”と答えちゃえばよかったのに」と言われそう。もし実行していたら「問題が読まれる前に正解を導き出す」という、『ウルトラ』の歴史に残る伝説のシーンとなったところだが、原田曰く「そんな勇気はなかった」とのことだった。

その他にも、島村はタヒチのゲリラクイズで「結婚式!」と答え勝ち抜けた場面を、込山はソルトレークのバラマキクイズで「シャーベット」を「イチゴ」と誤答して敗退してしまう場面を再現するなど、『第14回』のファンにとってはたまらない贅沢なシーンが続出! また、細見は「アーチーズで負けた時に“敗者復活戦があるに違いない”と思っていたが、スタッフから無情にも“はい、罰ゲーム”と言われて現実を思い知らされた」という話を、三宅は「中学時代の夢に『第14回ウルトラ』で優勝する事とノーベル平和賞を取ることと書いた」というエピソードを披露。『QUIZ JAPAN』の座談会に参加していなかった2人の話には、熱心なファンからもどよめきが起こっていた。

第一部の最後の質問は「あなたにとって『ウルトラクイズ』とは何ですか?」。これに「その瞬間に私が生きていた証」と答えたのは森田。まさに森田の冒険が刻まれた『第14回』を繰り返し観てきた当時の視聴者が、27年の時を経て会場に集まったことが、この言葉を証明しているのではないだろうか(森田によると、「実は『第14回』のツアー中にも同じ質問をされた」そうで、その時は「子々孫々まで名前を残す道具」と答えたという)。

休憩・写真撮影会を挟んでの第2部は、来場者からの質問に答えるコーナー。最初の質問は込山に対する「ファッション誌に特集されていたのは本当ですか?」。これに対し本人が「自分の手元には無いんです」と答えると、なんと来場していたファンがその実物を持参していたという驚きのハプニングも。

また、「バスの窓に“澤野さんはオレのモノだ”と書いていたが、本当は誰のモノなんですか? まさかおまえちゃうやろな、三宅!」という質問が読まれると、司会の日高から「こんな口調の人は……あの人しかいないですよね! 第13回チャンピオン・長戸勇人さん!」と明かされた。日高の呼びかけに応じて長戸が登壇すると、割れんばかりの拍手の中で、第13回と第14回のチャンピオンのツーショットが実現! 「佐藤さんとは初対面なんです!」と言って興奮する第13回チャンピオンを、第14回のチャンピオンがおだやかに迎えハグした。

かくして、2時間半のイベントはあっという間にタイムアップ。すると最後に込山が「我々の14回は『ウルトラクイズ』が大好きな普通の人が活躍した、クイズの形をしたドキュメンタリーで、『ウルトラクイズ』の懐の深さを感じました。今回気持ちよく迎えてもらって、話を聞いてもらって、我々のほうが感謝しています」と、企画者と会場を訪れた全てのファンに対しての感謝の言葉を述べた。

エンディングでは『第14回』準決勝終了後の回想シーンでもおなじみの、イーグルスの『デスペラード』が流された。曲にあわせ一人また一人と舞台を去っていく中、番組と同じタイミングで日高が「どうした込山ぁー」叫び、直後に込山が「チキショー」と返すと、『第14回』を愛してやまない日高は、こらえきれず涙を見せた。

イベント終了後には、登壇した11人全員によるサイン会が行われた。そのサインの行列は延々と続き、なんと1時間半もの間、熱気が止まなかった。中にはサイン会のために『第14回』の問題集や『シェーン』のDVDといったグッズを持ってきた人も! そんなファン一人ひとりに対し、感謝をこめて真摯に応対する出場者の姿が印象的だった。

『第14回』は、『ウルトラクイズ』に出るためにクイズの勉強をしたわけではない、普通の人々による青春ドキュメンタリーだった。そして、そんな普通の人々と、彼らのありのままの姿に憧れた当時の視聴者たちの、夢にまで見た邂逅がこのイベントで実現した。しかし、まだまだ語り足りないこと、聞き足りないことが残されているに違いない。第2回が開催される日を、ぜひ期待して待っていてほしい。

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